ヨガとピラティスは、目的も出自も違う
「ヨガとピラティスはどう違うのですか」という質問をよく受けます。どちらもマットの上で行い、呼吸を扱い、体を整えるという説明がされるため、外から見ると似て見えます。
しかし、成り立ちも目的も違います。違いを知っておくと、自分の目的に合うほうを選べます。この記事では、両者を並べて整理します。
この記事は運動としての両者についてのものであり、治療や診断に関するものではありません。持病のある方、痛みのある方は、開始前に医師にご相談ください。
1. 成り立ちの違い
ヨガは、インドに起源を持つ長い歴史のある実践です。もともとは身体の運動だけを指すものではなく、呼吸や瞑想を含む幅広い体系でした。現在スタジオで行われているものは、その中の身体的な部分を中心に発展した形です。
ピラティスは、20世紀にジョセフ・ピラティスによって考案された運動法です。リハビリテーションの文脈で発展した側面があり、身体の使い方の再教育という性質を持ちます。
この出自の違いが、そのまま現在の性質の違いにつながっています。
2. 並べて見る
| ヨガ | ピラティス | |
|---|---|---|
| 起源 | インド。長い歴史を持つ実践 | 20世紀。個人によって体系化 |
| 主眼 | 柔軟性・バランス・呼吸・心身の状態 | 体幹の安定・姿勢の制御・身体の使い方 |
| 呼吸 | 腹式が使われることが多い。動きと合わせる | 胸式が使われることが多い。お腹を保つ |
| 動きの性質 | ポーズを保つ時間がある | 反復する小さい動きが多い |
| 器具 | 基本はマット(補助具を使うことも) | マットのほか専用マシンを使う流派も |
| クラスの雰囲気 | 静けさや内省を含むことがある | 身体の使い方の指示が中心 |
もっとも分かりやすい違いは呼吸かもしれません。ヨガでは腹式呼吸でお腹を動かすことが多いのに対し、ピラティスではお腹を安定させたまま肋骨を広げる胸式呼吸を使うことが多くあります。
これは、ピラティスがお腹まわりの安定を前提に動きを組み立てているためです。お腹が動いてしまうと、安定という前提が崩れます。
3. 呼吸の違いをもう少し
ヨガの呼吸は、動きに合わせて変化を作ります。開く動きで吸い、閉じる動きで吐く。呼吸そのものが実践の対象になることもあります。
ピラティスの呼吸は、動作中に体幹の安定を保ちながら息を続けるためのものという性格が強くなります。息を止めると体幹の使い方が変わってしまうため、止めないことが重視されます。
どちらも「呼吸を止めない」という点は共通しています。違うのは、呼吸に何を担わせているかです。
4. 動きの性質
ヨガでは、一つのポーズを数呼吸ぶん保つ時間があります。保っている間に、体の感覚を観察したり、深さを調整したりします。
ピラティスでは、小さい動きを反復することが多くなります。1回の動きの範囲は小さく、外から見て何をしているか分かりにくいこともあります。動きの大きさではなく、正確さが問われます。
この違いから、次のような体感の差が生まれます。
- ヨガ——保っている時間に、伸びている感覚や呼吸に意識が向く。
- ピラティス——動いている間、どこを使っているかの指示に集中する。
どちらが良いということではなく、集中の向け方が違うということです。
5. どちらを選ぶか
目的から考えると、次のような対応になります。ただし重なる部分も多く、明確に分かれるものではありません。
| 目的 | 合いやすいほう |
|---|---|
| 柔軟性を高めたい | ヨガ |
| 姿勢の癖を変えたい | ピラティス |
| 体幹の使い方を身につけたい | ピラティス |
| 呼吸を整える時間がほしい | ヨガ |
| 気分の切り替えをしたい | ヨガ |
| 特定の部位の使い方を学びたい | ピラティス |
| 運動の習慣をつくりたい | どちらでも |
ただし、この表は目安にすぎません。実際には、クラスの内容とインストラクターによる差のほうが大きいこともあります。同じ「ヨガ」でも、強度も内容も大きく違います。
6. 両方やるという選択
どちらか一方を選ばなければならない理由はありません。実際、両方に通っている方もいます。
組み合わせるときの考え方としては、次のようになります。
- ピラティスで体の使い方を学び、ヨガでその使い方を別の動きに応用する
- ヨガで柔軟性と呼吸を扱い、ピラティスで安定を扱う
- 体調や気分によって使い分ける
ただし、最初から両方を始めるのは勧めません。どちらも慣れるまでに時間がかかり、両方を同時に始めると、どちらも中途半端になりやすくなります。片方が習慣になってから、もう一方を足すほうが現実的です。
7. 共通していること
違いを並べてきましたが、共通点も多くあります。
- 呼吸を止めない——どちらも、息を止めることを避けます。
- 痛みが出たら止める——伸びる感覚と痛みは別、という原則は共通です。
- 他人と比べない——形の深さや可動域は人によって違います。
- 継続が前提——数回で大きな変化は出ません。
- 強度を選べる——どちらもクラスによって強度に幅があります。
4番目は、どちらを選ぶ場合でも押さえておくべき点です。数週間で劇的な変化を期待すると、続かなくなります。
8. 初心者はどちらから入るのが楽か
やや主観が入りますが、「何をしているか分かりやすい」という点ではピラティス、「初回の敷居が低い」という点ではヨガという傾向があります。
ピラティスは指示が具体的なため、何を意識すればよいかが明確です。一方で、指示どおりに動かせているかが自分では分かりにくく、最初は難しく感じることがあります。
ヨガは形を真似することから入れるため、初回でも参加しやすくなります。ただし、真似しているだけで何を意識しているかが曖昧なまま進むこともあります。
どちらにしても、3回ほど出てから判断するのが現実的です。1回では、その運動の性質まで分かりません。
9. マシンピラティスとマットピラティス
ピラティスには、マットの上で行うものと、専用のマシンを使うものがあります。違いを整理しておきます。
| マット | マシン | |
|---|---|---|
| 負荷 | 自分の体重 | ばねなどで調整できる |
| 補助 | なし | 動きを補助する方向にも使える |
| 形式 | グループが多い | 少人数・個別が多い |
| 向いている場合 | 基本の動きを学ぶ、費用を抑える | 負荷や補助の調整が必要な場合 |
マシンは「難しい人向け」でも「上級者向け」でもありません。補助にも負荷にも使えるのが特徴で、自分では動かしにくい範囲を補助してもらう使い方もあります。
ただし、どちらでも共通して重要なのはどこを使っているかの理解です。マシンを使えば自動的に効くというものではありません。
10. よくある質問
体が硬いのですが、どちらも無理でしょうか
どちらも柔軟性を前提にしていません。むしろ、硬いことに気づくところから始まります。できる範囲で止まるのが正しい進め方です。
運動が苦手でもできますか
どちらも強度を選べます。運動経験より、その日の体調と痛みの有無のほうが判断材料になります。
週に何回がよいですか
始めるなら週1回で十分です。続いてから増やすほうが、結果として総量が多くなります。
家でもできますか
できますが、最初は指導のもとで形を確認するほうが安全です。とくにピラティスは、正しい位置で行えているかを自分で判断しにくい種類の運動です。
当スタジオの立場
オンザショアは立川駅の近くでヨガ・ピラティス・キックボクシングなどのクラスを行っており、この記事は自スタジオの案内を兼ねています。その前提で読んでください。
そのうえで、どちらが優れているという説明はしていません。目的と、その人が続けられるかどうかで決まるものだと考えています。
体験にお越しいただいた際は、何を目的にしているかを伺ったうえで、どちらのクラスが近いかをお伝えしています。目的によっては、どちらでもなく別の運動をお勧めすることもあります。
まとめ
- ヨガは長い歴史を持つ実践、ピラティスは20世紀に体系化された運動法。
- ヨガは柔軟性・呼吸・心身の状態、ピラティスは体幹の安定・姿勢の制御に主眼。
- 呼吸は、ヨガが腹式中心、ピラティスがお腹を保つ胸式が多い。
- 動きは、ヨガが保つ、ピラティスが小さく反復する。
- 実際の差は、クラスとインストラクターによる部分も大きい。
- 両方やってよいが、同時に始めない。
- 判断は3回出てから。
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個人差があります。体調に不安がある場合は医師にご相談ください。


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