総負荷量は長期的なトレーニングにも効果
これまで筋タンパク質の合成率についての説明や、筋肉量を増やすことによる筋肥大の短期的な効果について紹介してきました。しかし、筋トレに励むひとにとって、最も重要なのは、継続的なトレーニングによる長期的な効果でしょう。
2012年、マクマスター大学のミッチェル研究員らは、トレーニング未経験者を対象に、レッグエクステンションを1RMの80%で行う高強度グループと、レッグエクステンションを1RMの30%で行う低強度グループにわけ、検証しました。
両グループともに一日3セットで週三回、疲労困憊になるまでトレーニングを行い、これを10週間継続しました。その結果、両グループともに大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の筋肉量は増加した物の、グループ間の筋肉量の有意な差は認められませんでした。2016年の同大学のマートンらが行った多関節トレーニング(複数の関節に負荷をかけるトレーニング)の研究でも、同様の結果が出ています。
つまり、長期的な筋肥大の効果においても、低強度トレーニングの回数を増やして総負荷量を高めれば、高強度と同等の結果が得られることが示唆されたわけです。そして、2017年には、これらの報告をまとめて解析したメタアナリシス(論文の調査、分析)が報告され、低強度でも高強度でも総負荷量を高めれば、筋肥大の効果は同等であることが示されています。
現在は、これらの研究報告の結果から、『筋肥大の効果は総負荷量によって決まる』というのが新時代の筋トレの新しいセオリーとして主流となっています。
但し、ここで忘れてはいけないポイントは、慰労困憊になるまで行っているということです。もうこれ以上は挙がらないという限界まで行うことが大事なわけですね。低強度でも筋肥大するからといって、1RMの30%の強度で10回だけ頑張りましたというのでは、効果はないわけです。その点を勘違いせずに、低強度でも大丈夫なんだ、と思って低強度で15回やったらOKと思ってトレーニングをしても筋肥大の効果は見込めませんので、ご注意ください。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |