西洋政治思想史(4)

Ⅰ 中世とは何か
中世:西ローマ帝国の滅亡からルネサンスまでの間の約千年
古代-中世-(近世)-近代-(現代)という歴史区分の問題
「暗黒の中世」と「栄光のルネサンス」? ・・・J. Burckhardt の中世観
これに対するJ. Huizinga『中世の秋』:「15 世紀こそ死と暗黒の時代」
modern(modernus)という用語
modus(尺度)+erunus(時をあらわす)
5世紀末にキリスト教支配下の現在のローマと異教が支配した過去とを対比させるものとして成立
「きのうまでとは違う現在」の意識
Ⅱ 信仰と政治
• 「わたしの国はこの世のものではない」(ヨハネの福音書)
• 「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい」(マタイの福音書)
*魂の救済という彼岸的目標と、ヒエラルキー的な現世における教会組織
*反逆の論理(反権力)から忠誠の論理(権力の正当化)へ
Ⅲ 中世ヨーロッパ世界の構造
potestas(権力)と auctoritas(権威)という二つの中心を持つ楕円構造と、その二重構造がもたらす
緊張から生じたエネルギーが中世世界を特徴づけている。また近代 国家は、むしろ、それに先行す
る領封国家からよりも、キリスト教の教義とその組織から吸収したものが多い。
現代国家理論の重要概念は、すべて世俗化された神学概念で
ある。たとえば、全能なる神が万能の立法者に転化したよう
に、諸概念が神学から国家理論に導入されたという歴史的展
開によってばかりでなく、その体系的構成からしてそうなの
である。
(シュミット『政治神学』、49 頁)
ゲラシウス理論(両剣論theory of two swords)から叙任権闘争に至る教皇権と王権の関係
Ⅳ キリスト教的政治観・国家論
*「徳の育成」というギリシァ的世界とは反対のベクトルを持つ道徳的政治理論
アウグスティヌス(354~430)の『神の国』
「神の国civitas Dei」(霊に従って生きようとする者の国)と「地の国civitas terrena」(肉に従って
生きようとする者の国)の混合としての現世
中世の全期間を通じて、キリスト教徒たちは自分たちの生きている時代が「神の国」の実現、「最
後の審判」の直前であると意識していた。
原罪に対する罰と同時にその矯正という役割を担う国家
『神の国』における歴史区分
1)赤子:アダムからノアの洪水まで2)幼年:洪水からアブラハムまで 3)少年:アブラハムからダビデまで
4)成人:ダビデからバビロン捕囚まで 5)初老:バヒロンからキリスト誕生まで
6)老人:アウグスティヌスの時代まで 7)「神の国」:選ばれた者の復活と至福 【右下図参照】
トマス・アクィナス(1225~74) 『神学大全』 キリスト教とアリストテレス哲学の総合
神の宇宙秩序、その一部としての Res Publica
国家=神の意志
*アウグステゥヌスとは異なり、権力と罪の関連はない
「恩寵は自然を破壊せず、むしろそれを前提とし、それを完成する。」
自然的・倫理的政治共同体(アリストテレス)を神を頂点とした宇宙の階層的秩序に読み替える
トマスにおける法の観念
永久法lex aeterna
神法lex divina
自然法lex naturalis
人定法lex humana
自然法と実定法lex temporalis の関係
アウグスティヌスとオッカム(中世後期)
トマスにおける暴政への抵抗権と「正戦論」bellum justun
1 権限のある権威の命令
…私的な武力行使の禁止
2 正当かつ必然的な理由justa causa
…悪・害の矯正・救済
3 正しい意図recta intentio
…勧善懲悪(残忍な復讐や権力欲を戒める)
4 適切な方法
Ⅴ 信仰と理性
人間にとって「すべてを知る(神意の解釈)」ことの不可能性と、それにもかかわらず「知ろう」
とする努力←「賭」としての信仰
2~3世紀の神学者テリトリアヌスのcredo quia absurdum(不条理が故に吾信ず)から11世紀末
のアンセルムスのcredo ut intelligam(知らんがために吾信ず)へ。
この知と不可知の緊張関係に比べれば、「近代の父」デカルトの神学批判と「我思う、故に我あり」
は、信仰と理性のダイナミズムを喪失し、神への信仰をみずからが神になることで解消したものに
過ぎない。その意味で宗教・神話を軽蔑し、自らがその「親」から生まれてきたことを否定する近
代科学はそれ自身が神話である。


*文献*
ジョンB. モラル『中世の政治思想』、平凡社ライブラリー
ヨハン・ホイジンガ『中世の秋』上・下、角川文庫
アウグスティヌス『神の国』1〜5、岩波文庫
トマス・アクィナス『神学大全』(抄訳)
〈中公バックス世界の名著 20〉
稲垣良典『トマス・アクィナス《神学大全》』、講談社選書メチエ
カール・シュミット『政治神学』、未來社

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【監修者】宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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