西洋政治思想史(3)

Ⅰ プラトンにおける「政治」=「哲学」
現実の感覚界の流動性と不変なイデア
「人々をよりよくする」アレテーの育成
本当の「政治家」=ソクラテスとその刑死
ポリスの秩序、カタチの設計
古代ギリシアの「イソノミア」が持つ非政治性
Isonomia とは
政治現象としての自由は、ギリシアのポリスの出現と時を同じくして生まれた。ヘロドトス以来、それは市民が
支配者と被支配者に分化せず、ノー・ルールのもとに集団生活を送っているような政治組織の一形態を意味してい
た。このノー・ルールという観念はイソノミアという言葉で表現された。 (アレント『革命について』)
イソノミア=無支配 対等な市民、これが古代的な人間とその人間の自由の条件
「全体主義者」プラトン? K.R.Popper『開かれた社会とその敵 第一巻 プラトンの呪縛』
1.イデア論の歴史法則主義(historicism)解釈
歴史の始源にある理想国家?
2.politeia=全体主義国家論
階級間の越境禁止/教育の国家統制/共産制の理想/反民主主義・エリート主義
支配者の育種/正義=自らの(階級的)分をわきまえること
*「変化をとめよ」、「自然に帰れ」とする政治思想
*「誰が支配すべきか」という、政治哲学を支配し続けた誤った問い
Popper のプラトン解釈の問題点
「魂への配慮」抜きにプラトンを解釈した「奇説の中の奇説(佐々木毅)」?
「全体主義」なるものが成立する前提
全体と個、普遍と個別の区別
パターナリズム=悪
古代ギリシアにおけるCollectivism と人間の自由
プラトンは全体主義者か理想主義者か
友敵思考の拒絶と友敵思考(他人に厳しく自分に甘い)
プラトンvs.ソクラテス?
プラトンの呪縛
「プラトン哲学の真の恐ろしさは、<現実>から目を逸らす理想主義や彼岸主義などではなく、現実そのものを見据
える破壊力にある。太陽そのものを見ようとする者は、視力を失う。しかしその光にあえて挑戦するこの<逆転>こ
そが、以後の西洋のあらゆる思索者が魅了され、戦慄し、反撥したプラトンの呪縛の正体であった。」 (納富信留)
「全西洋哲学史はプラトン哲学に対する膨大な注釈にすぎない。」(ホワイトヘッド)
*ポパーにとってプラトン哲学のコンテキストとは<政治・哲学>が死滅し(アレント)<哲学>が
<政治>にぬかずくことになった二〇世紀前半の全体主義による「われわれの文明」の破壊であった。
全体主義とは… 参照:フロム『自由からの逃走』
•自由に付随する不安や孤独(未知のものへの恐怖)、責任
•現実の重圧から逃げ出し、「代償満足」に走りがちな人間
*批判的思考を導入した「閉じた社会」から「開かれた社会」への移行は人類の発展にとって偉大な
一歩であったが、その移行の内部において、前批判的で部族的社会への母体内的安全性への回帰願望
(反動)が用意されていた。
知恵の樹から食べた者には、楽園は失われる。部族生活の英雄時代へ帰ろうとわれわれが努めれば努めるほど、
ますます確実に<異端裁判>に、<秘密警察>に、美化された暴力組織讃美にたどりつく。理性と真理の禁圧に始
まって、人間的なもののすべての最も野蛮で最も狂暴な破壊に終わる。調和した自然状態への帰還はない。われわ
れが後へ進むならば、われわれは道を全部歩まなければならない。−−われわれは野獣に帰らなければならない。
「プラトンの呪縛」の正体 →H. Arendt『人間の条件』におけるプラトン批判とアリストテレス解釈
•哲学(イデア論)と政治の直結(真理と権力の結合)
•暴力と嘘の正当化
•アレントのプラトン批判
•(theoria-episteme)を知る哲人王によるpoiesis-techne としての政治
「『国家』において哲人王は、職人が自分の尺度や物差しを使うようにイデアを用いている。彼は、彫刻家が像を作
るように、自分の都市を<作る>のである」 (『人間の条件』、357 頁)
「そうするとまた、一人の人間のあり方に最も近い状態にある国家が、そう(最善の国家)だということにもなるわ
けだね。」 (『国家』上、374 頁)
Ⅱ アリストテレス
非アテネ人による、アテネ没落を目前にしたギリシァ哲学の集大成
•そのソクラテス批判
知徳合一説批判→テオリアvsプラクシス
•そのプラトン批判 –イデアの普遍性←これは実在たりえない
– 質量(ヒューレー) 質量・基体
– 形相(エイドス) 本質・「何であるか」
– 始動(アルケー) 物事の生成、運動の始点
– 目的(テロス) 物事の生成、運動の終着点
*人間の認識能力は実在するものの認識である。
アリストテレスの学問区分 (『ニコマコス倫理学』上、第6 巻)
学の形態 知の形態 具体的学科/特徴
theoria ─ episteme 数学、自然科学、形而上学
…運動原理が対象そのものの中にある
praxis ─ phronesis 倫理学、政治学、家政学
…運動原理が対象たる行為者の中にある
poiesis ─ techne 芸術、詩学、医学
…運動原理が対象の外の行為者の中にある
•政治学とプロネーシス(実践知)
•人間を人間たらしめているポリス(「人間は本性上、ポリス的動物zoon politikon である」)
•ポリスにおける最高善の実現、そのためにポリスという共同生活の場で、あるべき秩序をめぐって
市民が対話を繰り広げ、ポリスの秩序を形成していく実践の重視
•対話の実践を支える知の形態としてのプロネーシス
変転きわまりない政治生活を確立・維持するのに必要なプロネーシスには厳密な論証、確実性は不要
アレントのアリストテレス解釈

  • theorie – vita contemplativa
    行為(action) – praxis –
    仕事(work) – poiesis – vita activa
    労働(labor)
    Marx:労働の哲学者 Platon:仕事の哲学者
    –行為の世界の予見不可能性、不安定性へのPlaton の不満
    *近代政治学と知
    •自然支配(そこには人間の暴力が作動)と人間支配
    ・人間の複数性をどう評価するか?
    →techne 型政治学:マキアヴェッリ
    →episteme 型政治学:ホッブズ~現代

  • ******参考文献(前回挙げたもの以外で)******
    佐々木毅『プラトンの呪縛』岩波書店
    エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』、東京創文社
    アリストテレス『ニコマコス倫理学』(上・下)、岩波文庫
    アリストテレス『政治学』京都大学出版会
    アリストテレスの『政治学 politika』
    第一巻:ポリス、家族、村落
    「自然による奴隷」と「法による奴隷」
    第二巻:最善の国制とは
    ─プラトンの共産主義批判
    第三巻:市民について
    王制/貴族制/国制と
    その堕落形態:僣主/寡頭制/民主制
    第四巻:混合政体論
    第五巻:国制の病理─体制転換論
    第六巻:民主制と寡頭制の比較
    第七巻:最善の国制(理想ポリス論)
    第八巻:理想のポリスにおける教育
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【監修者】宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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