西洋政治思想史(8)

Ⅰ ホッブズ問題…方法論的個人主義の問題
社会的なものをあらかじめ個人のなかに埋め込まずに、いかにして社会が、そうした個人の合理的
選択(自己の効用の極大化)の結果「創出」されるかという議論が持つジレンマ
・ゲーム理論における囚人のジレンマ
もし相手が必ず黙秘することを知らない限り、
相手が自白した場合の大きな損を考えて
これを避けるため双方が自白する。
•ジレンマの解消
1.合理主義仮説
2.方法論的個人主義(特にそのバリエーションとしての利己主義仮説)
3.信頼
4.没コミュニケーション
•方法論的個人主義と全体論
全体=部分の総和?
方法論的個人主義…「合成の誤謬(fallacy of composition)」?
他方で全体論が持つ「国益」「公益」等の擬人化された観念のもつイデオロギー性
「狼としての人間」(エゴイズム仮説)を棄却する必要性
Carl Schmitt 問題
「真の政治理論とは、すべて、人間を『悪なるもの』と前提する」。
・・・「万人の万人に対する戦争」こそ政治的な思想体系の基本前提?
現代社会科学(特に合理的選択論)の病
利己心仮説という亡霊におびえ、自らの公正化志向をゆがめにゆがめて、不平等是正を世間で一番通用する利己
的主張の体裁を通して実現しようとする。その結果、欲望の増大、地域エゴ、羨望の合理化へと社会が突っ走る
ことになる。 佐伯胖『「決め方」の論理』265 頁
Ⅱ ホッブズの「正義論」
•アリストテレスの正義論…市民の討論による不正なノモスの理性的修正
全般的正義:「善き人」が果たすべき義務
特殊的正義
/ 配分的正義justitia distributiva:比例的平等性
\ 矯正的正義justitia commutativa:算術的等価性
配分的正義>矯正的正義(正義の原形式)
•ホッブズの目的論的自然法
矯正的正義(交換的正義)=契約者の正義‥‥「契約」遵守に起因
配分的正義=裁定者の正義‥‥「信約」遵守に還元される
•正義=「約束を守る」…自然法の一項目(第三自然法)
ホッブズの自然法は自然権に従属:究極的には「自己保存」のためのもの。
(義務論的自然法の目的論的再定式化)
しかし「自己保存」は本当に「究極的な目的」たりうるか?
目的論的な道徳的命令はありうるか?(仮言命法的)科学的倫理学?
そもそもホッブズの自然法は内容的にはローマ法以来の伝統的法観念と異ならない。
科学と倫理…個人主義的な利他主義の可能性、あるいは科学的倫理学?
「仮言命法der hypotethsiche Imperativ」←→「定言命法der kategorische Imperativ」
規範を事実から導出できるか?…「自然主義の誤謬」(G. E. Moore)
Ⅲ ホッブズの自然法…無神論的唯物論者も必要とする神(超越者)
ホッブズと隠れた神
•『リヴァイアサン』の口絵
個々の人間を部品として成立した「人工的人間」
としての大怪物リヴァイアサン
平和と防衛とを人間に保証する地上の神
•リヴァイアサンをイコノロジーする 参照:仲手川良雄『歴史のなかの自由』
Leviathan: 現世での神の代理、中継ぎ
ホッブズの神 → 政治理論は「超越者」を必要とするか?
•「神学」から離脱した「近代的」政治理論は自らが神になることを意味した。
このことはホッブズの「自然法」の性格にも見て取れる
「法」ならぬ自然「法」の拘束力はどこから?

  1. 理性の命令
  2. 神の命令
    どちらの解釈をとっても矛盾が生じる
    •問題は実定法の正しさの根拠 & 道徳と法の関係 → 自然法論と法実証主義
    Moralism vs Harm principle 危害原理 (J.S. Mill)
    道徳原理 vs 禁止・命令
    内面の法廷 vs 外面の法廷?
    Natural law 自然法という問題:自然法と自然法則、あるいはピュシスとノモス
    ドイツ語のNaturrecht とNaturgesetz
    法と権利、義務と自由
    「自然法」の衰退と「自然法則」の支配
    「歴史法則」(マルクス主義)、「自然法則」(ナチズム)の「法則性」を実定法の根拠として発動さ
    せ、貫徹される「全体主義」・・・H.アレント『全体主義の起原』
    参考文献*
    萩原能久「政治的なものの概念」、萩原能久編『国家の解剖学─政治学の基礎認識』、日本評論社
    J.W.N.ワトキンス『ホッブズ─その思想体系』、未來社
    岡田章『ゲーム理論・入門─人間社会理解のために』、有斐閣アルマ
    ウイリアム・バウンドストーン『囚人のジレンマ─フォン・ノイマンとゲームの理論』、青土社
    佐伯胖『「決め方」の論理─社会的決定理論への招待』、東京大学出版会
    テッサ・モーリス・スズキ『批判的想像力のために:グローバル化時代の日本』、平凡社ライブラリー
    ジョージ・E. ムーア『倫理学原理』、三和書籍
    仲手川良雄『歴史のなかの自由』、中公新書
    ジョン・スチュアート・ミル『自由論』、岩波文庫
    ハナ・アーレント『全体主義の起原』、みすず書房
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【監修者】宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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