ストレスの正しい治し方
あなたの脳の中では、今日も新しい神経が生まれています。若く健康な神経はお互いに繋がることで力を出し、脳を成長させています。そんな脳の神経には健康なもの、つまり元気なものや不健康なもの、元気のないものがあります。健康な神経は太く長い幹を持ち、沢山の枝を伸ばしているのに対して、元気がない神経はひょろひょろっと細く、短い幹で横から出る枝の数もわずかでそれも短いです。
そんな元気な神経と元気ではない神経を見ると何か栄養を与えたくなりますよね。神経に肥料の様な役割をするタンパク質が「BDNF（脳由来神経栄養因子）」です。BDNFは、神経を成長させたり、保護したり、その神経が変化する可塑性を助けています。また、記憶をつかさどる海馬をはじめとした脳内の神経で産生され、神経同士が情報伝達するときのコード化や伝達を受けた神経がスムーズに働けるようにサポートしています。
つまり、BDNFは、私たちの脳内の神経が健全に働くためにはなくてはならない栄養であり、日々、私たちの学習や行動を陰で支えています。しかし、このBDNFは残念なことにストレスによって減ってしまいます。ストレスで脳の神経の栄養が減ってしまうなんて「あの上司が私の大事な神経の栄養を奪っているんだ」とストレスの原因になる第三者を探すのはやめておきましょう。
というのは、脳にとってストレスというのは、免疫システムの誤作動により自分自身の神経細胞を攻撃したことによって生じているのです。いわば脳にとってストレスというのは、ずばり感染のようなものなんです。外部からウイルスが侵入すると脳の視床下部から副腎皮質ホルモンという放出ホルモンが出て、それを受けた下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが出て、それを受け、副腎皮質からコルチゾールを出します。コルチゾールは、サイトカインというタンパク質を介してウイルスを攻撃します。これが免疫の仕組みです。
しかし、私たちがストレスと呼んでいる精神的ストレスはこの免疫システムの誤作動なのです。予想外のことが起こると実際にウイルスが侵入したわけではないのに、先ほどの説明のような働きによりコルチゾールが出されます。しかし、この場合コルチゾールが攻撃する対象はありません。すると、充満したコルチゾールは自分の脳の神経細胞を攻撃してしまうのです。
その際に最も攻撃対象になりやすいのが海馬です。精神的ストレスによって、私たちの脳jは自分の免疫システムで自分の海馬の神経を攻撃してしまうのです。実際に、うつ病の人の脳画像を見ると痩せた海馬が映ります。では、この痩せた海馬を太らせるにはどうしたらいいのでしょうか。その答えが実は運動をする事にあるのです。以前は、ストレスにさらされた状況から回復するにはゆっくり休むことが重要だと思われていましたが。現在は、その真逆で、ストレス状態の改善には身体作りから始めることが一番適しているといわれています。脳にとっては、休息ではなく、運動が栄養になるのです。
それでは、神経の栄養であるＢＤＮＦの働きをもう少し詳しく知っておきましょう。知れば知るほど運動で脳の栄養を増やしていきたいと思うようになるはずです。
・神経可塑性（神経の成長）：長期記憶が増える。神経同士で交わされる伝達能力の向上。学習する能力の改善。
・神経栄養伝達：神経細胞の生存能力を促進させる。神経細胞が分化して増えて行くことを促進させる。
・神経保護作用：虚血状態になって損傷してしまうことを抑制する。神経の幹である軸索が損傷するのを抑制する。
この中で特に注目したいのは学習能力の改善という機能です。これが発見された研究では、ラットを7日間自由に走らせた時の海馬におけるBDNFのmRNAの発言を記録しました。すると、走ったことにより遺伝子の発現率が2倍も向上しました。BDNFの増加は運動の走行距離と依存関係にあり、走行距離が長い程増加し、長期間定期的に運動することによってBDNFが増加することが示唆されたのです。
またこんな研究もあります。ラットの子宮を摘出してホルモン上閉経を迎えた状態で女性ホルモン（エストロゲン）投与と運動を組み合わせて行うとBDNFが増加したのです。この研究がどういう意味を持つかはまた別の記事で紹介しますが、主に骨粗しょう症の予防目的などで投与される女性ホルモンは運動と組み合わせることで脳機能の維持や改善にも有効であるということです。
なた、脳機能と運動の関連ではうつに対して有効だとされています。抗うつ剤を飲むことと同時に運動も行うとBDNFが増加することが明らかになっているからです。抗うつ効果は薬剤よりも運動の方が高いと考えられています。
立川ヨガ 立川エリア唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」
