免疫力を高めてコロナウイルスに打ち勝つ食べ方、暮らし方(2)

免疫力を落とすのは「食べすぎ」

飢餓状態が人間の免疫力を高める」とは、つまり、「食べすぎが人間の免疫力を下げる」と言うことです。

アメリカのミネソタ大学医学部の教授だったマレイ博士は、まさに「食べすぎが免疫力を下げる」ことを実証しています。博士が世界的に権威のあるイギリスの医学誌「Lanset」に発表した論文には、古今東西に置いて「食べすぎが病気を作る=免疫力を落とす」事例が多数掲載されています。食べすぎがいかに免疫力を下げるか、博士の論文からいくつか紹介しましょう。

食べすぎが感染症を蔓延させる

古代ギリシャと古代ローマの衰亡の関与した痘瘡は中世時代のイギリスでも猛威を振るいますが、その際、貧しい人々よりも豊かな暮らしを送る金持ちの方をより多く苦しめたそうです。

同じくイギリスで18世紀に刑務所の状況を調査したところ、感染症と食べすぎの関係について以下のことが分かりました。

栄養状態良好な囚人:感染症の罹患率23%。死亡率0.4%
栄養状態不良な囚人: 感染症の罹患率3%。死亡率0.16%

毎年のように流行するインフルエンザも食べすぎと無関係ではありません。

第一次世界大戦中に発生したインフルエンザ(スペイン風邪)は栄養状態が良好な人々が最大の死亡率になったという事実は、インフルエンザの流行が恒例行事になってしまっている我々日本人にある種の示唆を与えているように思います。第二次世界大戦中、過密状態で低栄養状態に置かれていたキャンプの人々は、麻疹やチフスに対して驚くべき抵抗を示し罹患率が最低だったとの事。

食べすぎと免疫力の関係を理解していなかったばかりに、エチオピアのソマリア遊牧民は悲劇に見舞われます。飢饉の際に食料の配給をしたところ、マラリア、ブルセラ症(細菌感染でおこる人獣共通感染症)、結核などの感染症が突然発症するようになったのです。

人間だけではありません。動物にとっても食べすぎは害悪となります。インドでは歓喜に草がなくなるとエサが不足した家畜はやせ細ってしまいますが、伝染病の罹患率はとたんに低下します。しかし、ひとたび雨期に入ると草が生い茂り、潤沢な餌を放埓に食べまくった家畜たちの間では一気に伝染病が蔓延するそうです。

臨床の現場では、極度に栄養状態が悪化している患者に点滴で高栄養を与えると、肺炎などの重篤な感染症を起こすことがあります。体が処理しきれないほどの栄養を摂ることは、健康な人間を病気に、病気の人間を重篤にする悪影響しかないのです。

健康に寄与する食べ方は「小食であること」

「食」は人間の健康の根幹をなすものです。しかし、食が確かに人間を健康にするためには、たった一つだけ条件があります。それは「小食であること」です。

食べすぎと免疫力の低下の関係を示す数々の事例を集めたマレイ博士は、「体が消費しきれないほどの食物を摂ると、老廃物、余剰物となり病原菌の好餌になる」と推論し、マウスを使った実証実験を行いました。

「過食・飽食」が免疫力を落とすメカニズム

マレイ博士はマウス100匹を4群に分け、病原菌に感染していない2群、感染させた2群に分け、それぞれ自由に食べさせる群と、チューブを胃に入れて無理に食べさせる群に分けて死亡率と平均生存日数を観察しました。

結果、感染していないマウスの死亡率はいずれもゼロでしたが、感染症を起こさせたマウスで差が出ました。感染症を起こしておりかつ、食べすぎ状態にあったマウスの死亡率が93%、平均生存日数が3.9日であったのに対し、食べすぎでなかったマウスの死亡率は43%、平均生存日数は8.7日でした(いずれの群も餌を入れなくても、同じ条件にするため胃チューブを入れる)。

この実験から、感染症などの病気や体調がすぐれないとき、つまり免疫が落ちている時に無理に栄養を摂取しても、健康に利するどころか身体を痛めつけることにしかならないことが分かります。こうした実験からマレー博士は「食欲不振は自分の体の防御反応に重要な役割を果たしている」と結論付けています。

食べすぎが病気の原因に

アメリカの国立老化研究所(NIA)でもマウスを使った実験で過食が健康を損ない、免疫力を低下させることを明らかにしました。マウスを以下の3つのグループに分類し経過を観察したのです。

【Aグループ】好きなだけ食べさせる
【Bグループ】摂取カロリーを60%に抑える
【Cグループ】1日おきに「断食と好きなだけ食べさせる」を繰り返す

結果、一番長生きをしたのはCグループでした。

さらに、Cグループは老化による脳の損傷も少なく、アルツハイマー病やパーキンソン病になるマウスもいなかったというのですから、小食がいかに人体の隅々まで好影響を及ぼすかがわかります。そして、3つのグループの中で一番短命だったのはAグループです。

ところで、ご自身の食生活はAグループとCグループ、どちらに近いと思いますか?

宴会を渡り歩いた古代ローマ貴族ほどではなくとも、現代の日本人もやあり食べすぎの日常を送っているといえます。食後、ちょっと小走りでもしようものなら途端に腹痛を起こすようでは原八分目の適量とは言い難く、そうした量の食事を1日3食とっているとしたら、残念ながらAグループのマウスに近い状態です。

過食・飽食をやめれば免疫力が上がる

免疫力が低下する過食・飽食が蔓延している日本において、毎年インフルエンザが流行する事、そして新型コロナウイルスの席巻は、決して不思議な事ではないといえます。

もしも、「新型コロナウイルス対策に精をつけよう」と、沢山食べている方がいらしたら、即刻おやめください。「過食・飽食をやめる」ことこそが、免疫力を上げるのです。

ちなみに、新型コロナウイルス感染症の現場の医師の話によると、重篤になった患者のうち、高齢者と持病がある方を除くと残りの人は、七割が肥満の方だそうです。過食・飽食をしている方は、免疫力が弱っていることの証左ではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の本当の理由

少し古い話になりますが、1986年にイギリスで初めて発見され、その後ヨーロッパの人々を恐怖に陥れた「狂牛病」を覚えていらっしゃるでしょうか。行牛病は正式には「牛海綿状脳症(BSE)」といい、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染したことが原因とされていますが、こうしたミクロレベルのことは大した問題ではありません。

本当の原因は、牛を早く成長させるために羊の骨や肉の乾燥骨粉を飼料に混入して食べさせたことにあります。草食動物の牛に肉を食べさせるという「食い違い」が真因なのです。

狂牛病でBSEプリオンが犯人視されるように、新型肺炎やSARSも「コロナウイルス」が元凶とされていますが、果たして本当にそうでしょうか。医師である私は、真の原因は中国人の栄養状態が急激に良くなったことにあると確信しています。

急激な発展を遂げた中国

前述のマレイ博士やアメリカの国立老化研究所の実験で分かるように、栄養過多は様々な感染症を誘発します。つまり、低栄養の方が感染症に強くなり、高栄養だと免疫力が弱くなるのです。中国はほんのわずかな期間で一気に富裕化へと駆け上がりました。その急激な変化は彼の地の人々の免疫力にも影響を与えたのではないでしょうか。

流行り病は社会を映す鏡

くれぐれも誤解しないで頂きたいのですが、中国の富裕化を批判しているのではありません。これだけ発展した現代においてもなお、過去の歴史同様、文明には疫病がつきものなのだと再認識しているだけなのです。

人類の歴史を鑑みると、1つの文明、1つの国家・社会は、常に何か特有の疫病に見舞われてきました。病気はその時代の社会状況を反映するのです。

13世紀のハンセン病、14世紀のペスト、16世紀の梅毒、17~18世紀の痘瘡、発疹チフス、19世紀のコレラ・結核、20世紀はインフルエンザのほか、ガン、心筋梗塞などの心臓病、そして21世紀を象徴する疫病の座に就くのが、今回の新型コロナウイルスなのでしょう。

疫病がその時々の文明を終焉させ次の文明を築く転機となることも多々あります。1348年に始まり、ヨーロッパ人の四分の一の命を奪った黒死病(ペスト)が、中世を終わらせ近代への礎を築かせ、社会発展の原動力ともなりました。

私がダイヤモンド・プリンセス号の乗客だったら

2020年2月3日、横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号の3711人の乗員・乗客に対して、日本政府は14日間の船内待機としました。1月25日に香港で降船した乗客が新型コロナウイルス陽性だったことを受けての決定でした。

外国からの船舶による伝染病予防のために関係者や動植物を検査し、隔離などの対策をとることを「検疫(quarantine)」といいます。イタリア語で「四十」を意味するquarantaが語源です。

イタリアの水の都ヴェネチアでは900年から1500年までの間に、実に63回もペストが流行しました。そこで、ペスト感染の疑いがある人が乗った船を40日間隔離するようになり、「Quarantine=検疫」という言葉ができたそうです。

日本政府の対応は批判されるべきものだったのか

さて、現代の横浜港に話を戻しましょう。ダイヤモンド・プリンセス号に乗船していたアメリカ人のうち、約30%がアメリカ政府のチャーター機で帰国し明日が、18人の感染が判明し、日本政府への批判が噴出します。アメリカの国立予防接種呼吸器疾患センターのメッソーニ所長は、「船内は感染拡大がひどく、感染リスクが高かった」とコメントし、ニューヨークタイムズ紙は「武漢市よりも感染率が高い船内で無制限に感染が広がった」と酷評、ウォールストリートジャーナル紙は日本政府の対策を「過去に例のない失敗」と断罪する専門家の意見を掲載しました。

いずれもどのような措置をとるべきだったのかという発展的な提案はなく、いってみれば「後出しじゃんけん」のようなもので、おそらく日本政府がどんな対策を講じても何らかの批判をしたことでしょう。

私自身は、日本政府がとった「発熱や咳のある人にはウイルス検査を行い、養成の人は船内で治療。残りに人をウイルス潜伏期間を考えて十四日間船内待機」としたのは地上での感染拡大を防ぐためにも、西洋医学的な ”Quarantine” (検疫)の観点から最良・最上の方策だったと思っています。

とはいうものの、先が見えない状態での乗客の方々の不安な気持ち・ストレスは容易に想像できます。そして、乗客のうちに感染者が日ごとに増加するさまを目の当たりにして、日本の皆さんが抱いた言いしれない恐怖もまた、痛い程にわかるのです。

自分の身を守るためにできること

長きにわたって漢方医学・自然医学を研究してきた私は、正当な西洋医学にとって肺炭の医学者ですが、もしもダイヤモンド・プリンセス号に自分が乗り合わせていたら、自分の身を守るために隔離された船内で次のような対策をとります。

①食事を減らす(1日2食以下にする)
狭い客室で運動不足に陥っている上に1日3食を摂っては新型コロナウイルス増殖のための好餌となるだけです。私は通常1日1食なので、その1食を極力減らします。いつも3食の方なら1食抜くと良いでしょう。

②部屋の中で汗ばむ位の運動をする
人体最大の発熱機関である筋肉を落とさないこと、運動で体熱を上げることは免疫力アップに不可欠です。室内でもできる汗ばむほどの運動は、追ってご紹介します

③生姜紅茶を1日3~4杯飲む
生姜にも紅茶にも抗ウイルス作用があるほか、生姜紅茶は体熱を上げる力が強いというメリットがあります。
また、気がめいりそうな時にこそ、敢えてゆっくりお茶の時間を楽しむ。これで心の平静を取り戻すことができます。

④葛根湯を1日3~4袋服用する
新型コロナウイルス感染症の初期症状は「発熱・咳・倦怠感」などで、風邪やインフルエンザの食症状と重なります。
葛根湯を含め漢方薬という者は、ウイルスや細菌などという概念のなかった約2000年前に作られたものなので、当然ながらウイルスや菌の有無が処方の基準となっていません。漢方薬は「証(しょう)」(自覚症状、他覚症状、診断所見による総合判断)によって処方されるもので、正確な「証」のもとでは神効を発揮するのです。

そして、新型肺炎の初期症状はまさに「葛根湯の証」なので間違いなく効果があります。中~重症化するかもしれない罹患者を軽度に抑えられる可能性は十分にあります。くしゃみや鼻水などの症状もあるようならば、葛根湯をベースにした「小青龍刀」が効くでしょう。

⑤体を温めるアルコールを飲む
アルコールが飲める人は日本酒や紹興酒の熱燗の他、ヨーロッパの風邪の特効薬「赤ワインの熱燗(ホットワイン)」「レモン入りウイスキーのお湯割り」(ビタミンCには殺菌・抗ウイルス作用がある)もよいでしょう。

いかがでしょうか。どれも閉ざされた客室内でもできることばかりです。

客室内でもできると言うことは、今のあなたの暮らしの中なら十分に実行可能な事でしょう。免疫力を保つ、上げることは、存外簡単だと申し上げたのは、こういうことなのです。

「ウイルスに負けない体=病気にならない体」のカギは免疫力
「おいしい」は本能からのラブコール

今なお重用されている古の人々の知恵、ことわざには感嘆するばかりですが、「良薬は口に苦し」ということわざについては、多くの患者さんを診察しているうちに、懐疑的な思いが沸き上がってくるようになりました。

私は患者さんに漢方薬を処方していますが、まだ若かったころ、患者さんの状態が複雑だと薬の処方に確診が持てず、2種類の薬までに行きついたものの、最終的にどちらを処方すべきか迷うことが稀にありました。

そんなときは、決めあぐねている2種類の薬を患者さんにちょっと舐めて貰い、「おいしい」「悪くない」と仰る方を処方しました。患者さんがまずい、苦い、と感じる方でなく、口にあう漢方薬を処方すると、確実に薬効を発揮して症状を改善に導いてくれました。

「その人にとっての良薬」に出会った時、本能は必ず求愛します。本能は良薬に出会った時、伸ばすまいと薬効にアピールするのです。良薬に対して本能が発揮する強烈なラブコールが「おいしい!=好きだ=必要だ」なのでしょう。

本能のラブコールにしたがって処方された漢方薬は必ずその人を健康に導くのですから、人間の本能、侮るなかれ、です。

免疫力アップに導く本能の声

そもそも「免疫」とは、「疫(病気)を免れる」の意味で、西洋医学的には白血球を中心とする病気に対する防御システムを指します。広義には唾液やタンなどの分泌液の殺菌作用、更には髪の毛や皮膚の様に体を覆って物理的に守ってくれるものまで含まれます。いずれも、人間に本来備わっているものに違いありません。

それなのに、免疫力の高い人(丈夫な人)と、免疫力の低い人(病気になりやすい・病気が治りにくい人)がいるのはなぜでしょうか。多くの患者さんを診察して来て実感するのは、健康長寿を保っている方々は生活の中で極めて自然に健康になるための習慣を実践なさっていると言うことです。おそらく、ご自身の本能の声に忠実なのでしょう。

文明が発達し利便性の追求が至上命題とされる社会のありようの中で、本能の声を聞き、その声に忠実にふるまうことはなかなか簡単にはいかないことです。人間の本能は、「健康であること、元気であること」を求めるはずですが、過食・飽食に代表されるように、文明がもたらすものは人間の本能を抑え込んでしまうほど魅惑的なものです。

しかし、「健康=免疫力」とは意外とシンプルなもので、身体の心地よさではかることができるのです。前述の、免疫力アップ対策を試してみたら、きっと

①大小便の出が良くなる
②体が温まる
③何となく気分が良い

という3つの反応が現れることでしょう。この3つこそが本能のラブコールに他ならないのです。

免疫力を上げる4つのポイント
①空腹の時間、②食事の摂り方、③運動、④心

人間の歴史は疫病との闘いの歴史であり、そして共存の歴史でもありました。今またその歴史を繰り返しているにすぎません。新型コロナウイルスの情報に過敏に反応し、右往左往するうちにどんどん不安を増殖させることはナンセンスです。

カミュが1947年に発表した『ペスト』は、医師のリウーの「思い」で締めくくられています。

「ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下着類の中に眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反古の中に、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろう・・・・」(カミュ著、宮崎嶺雄訳「ペスト」新潮社)

実に示唆的な文章ではないでしょうか。新型コロナウイルスによる新型肺炎がいったん治まり、治癒し、終息しても、また必ずや再燃する、と。つまり、「過食・飽食・運動不足」という不健康な、しかし実に文明人的な生活を継続していると、病はまた戻ってくるのです。

どんな病気も文明と人間がつくるもの

原因の本質は新型コロナウイルスではありません。「過食・飽食・運動不足」で、現代人がその免疫力をどんどん低下させていることにあるのです。そう、どんな病気も文明と人間が作るのです。

新型コロナウイルスの猛威が収まったとしても、また新たな病が必ず登場します。自身の免疫力を高めていれば、どんな病が飛び出してきてもいたずらにおびえることなく、基本的な予防(マスク・手洗いなど)を粛々と行うだけで、どっしりと構えていられるのです。

免疫力を高めるために必要なことはたったの4つです。

①空腹の時間を作り、②食事の摂り方にちょっと気を付けて、③運動を習慣化し、④心を明るく保つこと、です。

それでは、これら4つを順に見ていきましょう。コラムの続きはこちら

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【監修者】 宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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