アステーヤ(不盗)|物を奪うことだけが盗みではない
はじめに──「盗まない」って、そんなに難しいこと?
「不盗(アステーヤ)」という言葉を聞いて、「そんなの自分には関係ない」と思う方は多いかもしれません。
実際、他人の財布を盗んだり、万引きをするような明白な盗み行為は、多くの人がしないでしょう。
しかし、ヨガの教えにおいて「アステーヤ」とは、単に“他人のものを奪わない”という表面的な行動規範ではなく、もっと深い心の態度を問うものです。
それは、こうした問いを投げかけます。
他人の時間を無意識に奪っていないか?
誰かのアイデアや努力を、自分のもののように使っていないか?
「もっと欲しい」という思考によって、他人の幸せを脅かしていないか?
他人を利用し、自分だけが得をしようとしていないか?
アステーヤは、「物理的な窃盗」から「精神的な依存」「欲望による搾取」まで含めて問い直すヨガ的倫理なのです。
本記事では、アステーヤの哲学的背景と現代的意義、そして立川のヨガスタジオオンザショアでの実践的な教えを交えながら、5000文字以上で深掘りしていきます。
1. アステーヤの語源と伝統的意味
「アステーヤ(Asteya)」は、サンスクリット語の「ステーヤ(Steya)=盗む」という語に否定を意味する「ア(a)」がついた言葉です。
つまり、「盗まないこと」「盗もうとする気持ちすら持たないこと」を意味します。
ここで重要なのは、「行動」だけでなく、「意図」にも目を向ける点です。
パタンジャリの『ヨーガ・スートラ』では、アステーヤを単なるルールではなく、人間の欲望や不足感に根ざした“内なる盗みの心”を鎮める修行と捉えています。
盗むという行為の根底には、「自分には足りない」「もっと持っていたい」という意識があります。
この意識がある限り、たとえ盗まなくても、他者への羨望や競争心、比較が常に心を乱す原因となるのです。
2. 「盗み」は形を変えて現代に蔓延している
現代社会において「盗み」は、古典的な窃盗という形ではなく、もっと洗練された、気づきにくい形で私たちの日常に存在しています。
2-1. 時間の盗用
– 遅刻やドタキャン、レスの放置によって、他人の時間を奪っていないか?
– SNSでの“つながり疲れ”や既読スルーも、相手の心のリズムを乱していないか?
2-2. 労力やアイデアの搾取
– 誰かの仕事や知識を「当然のように」使っていないか?
– 引用元を明記しない投稿や、他人の意見を“自分の手柄”にしていないか?
2-3. 心の支配
– 誰かの自由な判断をコントロールしようとしていないか?
– 無意識のうちに、他人の選択肢を奪っていないか?
このように、私たちは自覚しないまま、他人の自由・エネルギー・空間を侵害していることがあります。
これがヨガのいう「アステーヤ=不盗の修行」なのです。
3. 欲望と欠乏の心理構造
「なぜ人は盗むのか?」という問いに、ヨガは「欠乏感」に原因を見出します。
「私は足りない」「もっと欲しい」という意識が、心に緊張と不安を生み、それが他人のものへの執着へとつながります。
この状態をヨガでは「アパリグラハ(不貪)」とセットで語りますが、アステーヤはより社会的な側面に焦点を当てています。
現代の資本主義社会は、「もっと得をしろ」「もっと手に入れろ」「他人より上に立て」と私たちを煽ります。
しかしこの競争の論理の中で、私たちは知らぬ間に「奪うこと」こそが当たり前になっていくのです。
ヨガの教えは、それに抗います。
「すでに与えられている」「足りている」という意識こそが、盗みの衝動を鎮め、穏やかな心を育む土壌になるのです。
4. アステーヤの実践法:日常に「奪わない姿勢」を
では、実際に私たちはどのようにアステーヤを日常に取り入れていけばよいのでしょうか?
立川のヨガスタジオオンザショアでは、アステーヤを以下のように、日常の小さな行動に落とし込んで実践を促しています。
4-1. 時間を守る・集中する
→ 遅刻をしない。ダラダラ過ごす時間を減らす。相手の「今ここ」に集中する。
4-2. 感謝を言葉にする
→ 誰かの助けや提供に「ありがとう」を必ず伝える。与えられた時間・知恵を当然としない。
4-3. 比較をやめる
→ 他人の成果を羨むのではなく、自分の中にすでにある豊かさに気づく。
4-4. 所有しない空間に気を配る
→ 公共の場所を丁寧に使う。スタジオやカフェの空気を心地よく保つ。
こうした習慣は、他人との関係を良くするだけでなく、自分自身の“心の穏やかさ”を保つ知恵にもなります。
5. ヨガマットの上でのアステーヤ
ヨガの実践においても、アステーヤは重要な指針になります。
他人のポーズと自分を比較して、優越感や劣等感にとらわれる
クラスの時間中に集中を欠き、周囲の空気を乱してしまう
教えを聞かず、自分勝手に動いてしまう
これらは、「スタジオの空間」「インストラクターのエネルギー」「クラスの一体感」を奪っていることになります。
立川のヨガスタジオオンザショアでは、「自分のスペースを尊重する=他人のスペースを奪わない」という意識を大切にしています。
初心者の方にも、無理のない範囲で「今の自分の体に正直でいる」ことを指導し、「頑張りすぎないこと=アステーヤの実践」と伝えています。
6. アステーヤと「満ちる」感覚
アステーヤは、「奪わないこと」以上に、「すでに満ちていると感じること」が本質です。
不足ではなく充足を基盤にする生き方――それは、競争ではなく信頼に基づいた暮らし方です。
ヨガを通じて体と心が調い始めると、「もっと◯◯しなければ」という焦燥が薄れていきます。
「今ここにあるもの」を慈しみ、手放すことができるようになるのです。
オンザショアでは、この「足りている感覚=サントーシャ(知足)」を育てるレッスン設計がなされており、アステーヤの実践が自然と日常に根付くようなサポートがされています。
おわりに──奪わない生き方は、やさしさの表現
「盗まない」という行為は、単なるモラルではなく、「やさしさの形」です。
他人の所有や空間を尊重し、相手の心の自由に干渉せず、奪うのではなく“共に在る”という選択。
その心構えこそが、ヨガの目指す「調和」と「平和」の実践であり、現代にこそ必要な倫理なのです。
あなたがもし今、「自分ばかりが損をしている」「もっと得をしたい」と感じているなら、
一度立ち止まって、「奪うのではなく、与えられているもの」に目を向けてみてください。
そのとき、人生の空気がふっとやさしく変わるかもしれません。
立川で学ぶ「ヨガの思想」
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(1)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(2)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(3)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(4)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(5)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(6)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(7)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(8)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(9)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(10)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(11)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(12)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(13)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(14)
『ヨーガ・スートラ』を学んでヨガを深く知る(15)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(2)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(3)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(4)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(5)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(6)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(7)
バガヴァッド・ギーターの教え(ヨガの古典の経典を通してヨガを学ぶ)(8)
お勧めのヨガスタジオ
ヨガを定期的にレッスンしたい方や、豊富なバリエーションからヨガやピラティスだけで無く、ボクササイズやキックボクササイズ、HIITなどのエクササイズをしたい方には、立川駅徒歩1分、国内唯一の、イタリア溶岩石「バサルティーナ」を使用した、立川溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」をおすすめしたいと思います。バサルティーナは火山石の中で最も美しい色調と流れがある溶岩石で、古代ローマの時代より建築家に愛されてきました。現在も国内外の有名ブランドや、美術館などにも好まれて利用されています。イタリア中部バーニョレッジョで採掘されるバサルティーナについて、また溶岩石の効果についてより詳しくお知りになりたい方はこちらをどうぞ!
スタジオ名 | 立川エリア唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」 |
住所 | 〒190-0012 東京都立川市曙町2丁目14−10 エトロワビル 3F |
TEL | 042-595-8039 |
事業内容 | 溶岩ホットヨガ、ピラティス、キックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、バトルロープ、総合格闘技、パーソナルトレーニングなど |
特徴 | 50種類の豊富なレッスンと早朝から深夜まで開催しているヨガのレッスンなど |
対応エリア | 立川、西国分寺、国分寺、国立、昭島、東大和、日野、青梅、あきる野、府中、武蔵村山、福生、羽村、八王子など |
定休日 | 年中無休 |
URL | https://ontheshore.jp/ |
立川エリアで唯一の熔岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」でアナタも今日からヨガを始めてみませんか?
立川ヨガ 立川エリア唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」

【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |