ピラティスと猫
01 猫は教えなくても理想の動きを知っている
ピラティスが目指す「人間本来の動きを取り戻す」ということはどういうことかについて猫を通して考えてみましょう。人間も猫も同じ動物です。動物は本来、特に訓練する必要なく、身のこなし方や身体能力を発揮することが出来ます。人間もかつてはそうでした。しかし、ご存じの通り文明の発達と共に人類は身体をどんどん使うことができなくなってしまいました。とりわけ、IT化が進み、デスクワークや定型作業を繰り返すようになると、体を色々と動かす機会が減っていきます。筋肉というのは、大体15分間同じ姿勢でいるとそのポジションを正しいものと理解して形状記憶してしまいます。オフィスワークも車の運転も、電車やバスへ乗ることも、それぞれ偏った形状記憶を筋肉にさせてしまっているのです。
それに対して、猫はもともとピラティスを創始したジョセフ・ピラティスがピラティスを思いつくに至った経緯もある動物で、非常に敏捷性や柔軟性に優れた動物です。猫を飼ったことのある方は分かることだと思いますが、猫を抱え上げて遠くに放り投げても猫はくるんと回転して地面に軟着陸します。これは何の訓練も受けずに、自然と猫なら出来る動きです。ジョセフ・ピラティスは猫を観察しながら、猫たちの示す様々な動きや頻繁なストレッチ運動を見てとると「これを人間の動きに応用できるのではないか」と思いつきました。実は筆者も猫を飼っており(ベンガルの女の子です)、彼女の柔軟性やしなやかな動きというのはやはり目を見張るものがあります。ただ、ジョセフ・ピラティスのように、「これが人間にも応用できるのでは?」とは思えないくらい猫の動きや柔軟でしなやかです。頭さえ入ればどんな小さな穴でもくぐっていきますし、空中から落としても、猫返りしてくるりんとしっかり着地します。まさに人間離れした技を見せてくれますね。ただ、ジョセフ・ピラティスは猫に着想を得て、それを人間にも応用しようと思ったのは、まさにコロンブスの卵ですね。
02 文明化が生んだ弊害
現代人はパソコンやスマホを利用することで非常に便利な生活を手に入れました。しかし、その代償として、目を酷使するばかりではなく(ブルーライト)、前のめりになって首に負担をかけ(猫背)、誤った形状記憶をさえ、いつのまにか背中が丸まり、肩が内旋し、姿勢が崩れ、肩凝りや猫背などの現象を引き起こします。人間も猫というか、他の様々な動物と同様に自然な動きが元来身についていたはずなのですが、文明化によって乱れてしまったわけです。それに対して、ピラティスというのは、自らの意識を呼び覚まして本来の形に戻そうとするエクササイズといえるでしょう。少しルソーの自然に帰れという思想に似ていますね。
なので、ピラティスは性別を問わず有効なのはもちろん、学校で勉強などで長く座っている幼い子供から、体力の衰えと共に姿勢が悪くなるご高齢の方まで全ての人に有効であり、取り組み始めるのに遅すぎるということはありません。
日常生活の要点を一言で表現するならば、お腹を凹ませたまま鼻から息を吸って口から息を吐き、肩、肋骨、骨盤のポジションをしっかりと保つことが大切だといえます。なんだ、それだけのことなのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この基本が一番大切なので、ピラティスをする際にはいつも原点に立ち返って意識してほしいことです。
03 首を伸ばせばお腹は引き締まります
人間の全身の筋肉は連動しており、首を長く伸ばすイメージを持てばお腹が自然と引き上がって、これだけで体幹・コアの筋肉が働きます。お腹が引き挙がることによって背骨も伸ばされるので腰痛防止にもなります。首を長く伸ばしているとそれだけでシルエットがキレイになるのです。座っていても立っていても、いつでもできることですし、常に心掛けてみましょう。首を伸ばす、肩を下ろすことで、くびれをつくる腹横筋は引っ張られお腹の距離が伸びてくることで引き締まります。首を長く伸ばして腹横筋が働くと、腕だけや脚だけでバラバラに動いていた筋肉が全身のバランスを取りながら動くようになります。体幹周りのコアがいわばリーダーとして頑張ることで身体全体の連蔵が生まれるのです。体幹部がしっかりと働けば、背骨が真っ直ぐ伸び、腹筋、背筋がバランス良く働き、疲れることもなくなります。猫のように全身で動くイメージというのでしょうかね。
04 鼻から吸って口から息を吐けば体幹が働く
呼吸はお腹を引っこめて、鼻から吸い、お腹を引っこめたまま暖かい息を吐くことで、体幹部の筋肉が働く状態を作りだすことができます。「はー」と息を吐くと口元の筋肉が緩むので、それと連動して体幹が働きます。また、息は鼻から吸った後、頭を通して背中に入れるイメージを持つと良いです。息を深く吸い込むと頭にも酸素が行き届き脳が活性化して、目も開き、瞳の輝きも増します。頭を酸素が巡っていることをイメージしてください。頭を巡った酸素は背中に入っていきます。もちろん、これもイメージです。でも、実際にお腹を引っこめたまま息を吸うと、肺の下には広がるスペースが作れないので、背骨が自然と押し広げてくれると思います。吸った息で肺を風船のように膨らませて、丸めた背中を伸ばしていきます。息を入れて、背中一つ一つを積み上げていくイメージが大切です。
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TEL | 042-595-8039 |
事業内容 | 溶岩ホットヨガ、ピラティス、キックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、バトルロープ、総合格闘技、パーソナルトレーニングなど |
特徴 | 50種類の豊富なレッスンと早朝から深夜まで開催しているヨガのレッスンなど |
対応エリア | 立川、西国分寺、国分寺、国立、昭島、東大和、日野、青梅、あきる野、府中、武蔵村山、福生、羽村、八王子など |
定休日 | 年中無休 |
URL | https://ontheshore.jp/ |
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |