西洋政治思想史(15)

政治思想基礎 第十三講 啓蒙の弁証法 法学部 萩原 能久 http://www.law.keio.ac.jp/̃hagiwara/ hagiwara@law.keio.ac.jp Ⅰ 『啓蒙の弁証法』 Max Horkheimer/Theodor Adorno, Dialektik der Aufklaerung 1944 なぜ人類は真に人間的な状態に歩みゆく代わりに、一種の新しい野蛮状態に落ち込んでいくのか。 1)神話から啓蒙へ 2)神話は啓蒙である 3)啓蒙は神話に退化する 4)呪術からの解放という呪術 1)神話から啓蒙へ 自然の客体化(主体=人間=主人)の成立 呪術社会…人間、自然、神々は一体 アニミズムとミメーシス的認識 神話(ミュトス)から科学(ロゴス)へ:人間の自然からの疎外と人間による自然支配 啓蒙は神話を破壊するために、あらゆる素材を神話から受けとる。 2)「神話」は啓蒙である 啓蒙はラディカルになった神話的不安である。 理性があらかじめ対象の中に埋め込んで置いたものが「発見される」という手口 *「自分が自分で作った土俵」に登って勝負することをすべての「知」に要求する、そして「勝つ」 客体に対する主体の優位 自然に対する人間の優位(人間の自然支配) 3)「啓蒙」は神話である 「自己がどうなろうと自然を支配しよう」とする啓蒙 その原理とは必然的に全体(主義)化し、すべてのものを(自分自身をも)飲み込む 抽象化と普遍化、その前ではあらゆる具体性、個別性は沈黙する 数と量という数学原理が思考にとってかわる数量化できないものは切り捨てられる。 4) 「呪術からの解放」という呪術 「自由な主体という神話破壊的原理」の神話化 その道徳原則:あらゆる自然的なものを自己支配的主体のもとへ従属させること(カントの「自律」) これは「盲目の自然の支配下に服すること」(サドの絶対的無道徳性)と同一となる あるいは主人は奴隷と同一となる オデッセイアと啓蒙理性 トロイア戦争を終えて故郷イタケーをめざし放浪するオデッセウス 自然神の誘惑を数々の「詭計」で切り抜ける。 例:セイレーンたちの誘惑 自然を隷属させようとする人間の努力の歴史は、また人間による人間の隷属化の歴史である。 文化産業 ─ 大衆欺瞞としての啓蒙 アメリカ文化:ハリウッドの映画産業、ラジオの娯楽放送に見られる徹底した規格化、画一化、全体化によ る芸術の批判的機能の喪失。 文化産業の自己検閲:同じ事の繰り返し(ステレオタイプ化)と新しい事の排除、体制の補完物化 文化産業が提供するのは昇華ではなく抑圧 芸術作品は、断念をある否定的なものとして造形したことによって、安売りされていた欲望をいわば請け戻し、断 念されたものを媒介されたものとして救出したのである。これこそが、つまり破られたものとして充足を描きだす ことこそが、美的な昇華作用の秘密である。文化産業は昇華するのではなく抑圧する。 反ユダヤ主義 ユダヤ人にあたえられるイメージ パラノイア(二分法に耐えられず、すべてのものをみずからの尺度で一元化)してしまう。 •資本主義社会ではこのパラノイアが個人を越えて集団化され、客観的精神となって支配の下での迫害の許容 と他者への迫害の風潮が普遍化 アウシュビッツと市民社会 「アウシュビッツの後に詩を書くことは野蛮である」(『プリズメン』) 「アウシュビッツのあとで人間はまだ生きることができるか」(『否定弁証法』) •生きるための「冷酷さ」 Ⅱ科学/合理主義のイデオロギー化 「科学=中立な道具、悪にも善にも仕えうる」とのテーゼについて これは科学というものに内在的なイデオロギー化要素見抜けない。 →「近代」そのものの「知」のあり方としての科学への反省的視点 J.ハーバーマス『イデオロギーとしての技術と科学』 Habermas, Technik und Wissenschaft als >Ideologie< 1969 科学:二重の意味でイデオロギー 目的合理性? 1)科学は「目的合理的」ではない 価値、規範を追放した実証科学の隠されたイデオロギー性 (目的に盲目なまま、手段の技術的合理化のみに走るだけでなく、 その手段が目的に転化される) TheoriedeskommunikativenHandelns1981 2)目的合理性のみが唯一正しい認識のあり方ではない システムと生活世界の乖離 → 生活世界の「植民地化」 公共圏の解体:後期資本主義における社会と国家の分離 の瓦解による「公共圏の再封建化」 近代における政治…暴力と倫理のはざまで 《近代》・・・共同体のくびきからの人間解放 ・・・神の死 →「主体」の誕生 かつては神や共同体に基礎づけられていた「倫理的なもの」が主体自身のなかの何かに基礎づけられる必要 → 私の行動を律するのは「共同体」(他人の目)でも「神」(誰も見ていなくとも神の目はあざむけない) でもなく、自分自身となる。このことは国家の刑罰の変遷にもあらわれている。 暴力支配から意味による支配へ 国家 暴力装置として‥‥力による支配 イデオロギー装置として‥‥意味(無意味)による支配 •近代において、後者の占める比重が高まる。 M.フーコー『監獄の誕生』 刑罰における「暴力」から「イデオロギー」への移行 1)国王の「力」の誇示、「見せしめ」 2)「社会体」の防衛 3)一望監視装置(パノプティコン)による管理、規律・訓練 知と権力の共謀 •不可視のイデオロギー装置にどう対抗できるか?しかも社会にくまなく張りつめられたその匿名の権力構 造のなかで、われわれは「共犯者」なのである。

**************参考文献***************

マックス・ホルクハイマー/テオドール・アドルノ『啓蒙の弁証法』、岩波文庫 テオドール・アドルノ『否定弁証法』、作品社 テオドール・アドルノ『プリズメン』、ちくま学芸文庫 細見和之『現代思想の冒険者たち15 アドルノ』、講談社 ユルゲン・ハーバーマス『イデオロギーとしての技術と科学』、紀伊國屋書店 ユルゲン・ハーバーマス『理論と実践』、未來社 ユルゲン・ハーバーマス『コミュニケーション的行為の理論』、未來社 ミシェル・フーコー『監獄の誕生』、新潮社

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【監修者】宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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