Ⅰ近代民主主義の原型としてのポリス?…ポリスとは何だったか

ポリスは都市でも国家でも(地理的・空間的観念)ない。それは現れの空間である。

πόλις(ポリス)という語は古典ギリシア時代のアルカイック期には、まず「砦・城砦・防御に適した丘」を意味していました。エミール・バンヴェニストはポリスはἀκρόπολις(アクロポリス)に由来するとしています。アクロポリスとは、「小高い丘、高いところ、城市、成山、平地内の孤立した丘」を意味し、ポリスの中心部となる丘で、のちギリシア都市国家のシンボル的な存在ともなりました。

通常、ポリスでは防壁で固められた自然の丘に神殿や砦が築かれています。アクロポリスは当初は対外的軍事拠点つまり城砦であったが、B.C.7世紀にはポリス市民(近代的市民社会を構成するような個人ではなく家政機関たるοἶκος(オイコス)の長達の共同体成員)の信仰の対象ともなり、都市国家における共同体の絆のシンボルとして神殿が築かれ、ポリスの守護神を祭るようになりました。

ただし、ギリシア歴史時代においてもなおπόλις(ポリス)は「要塞・城砦」を意味した。たとえばトゥキディデスは「アクロポリスはアテナイ人からいまでもポリスと呼ばれている」と記している。バンヴェニストはこの用法を、ヴェーダ語の対応語pur(砦)やリトアニア語のpilis(城、城砦)との比較から、先史的な語義としている。

のちπόλις(ポリス)は都市の発展により、周辺村落を含む国家を指すように変化する。 さらに土地所有者間における市民権概念の出現により、市民全体、市民集団を指すようになったのがポリスの成立経緯といえるでしょう。

さて、そんなポリスの本質的な意味とは何か?

それは、「ポリスの真の空間は、共に行動し、共に語るというこの目的のために共生する人々の間に生まれる。…『汝らのゆくところ汝らがポリスなり』」。 H.アレント『人間の条件』320 頁

に端的に表現されているかと思います。

一般に近代以前の政治観念はどれも人的結合体をさすもので、権力装置や統治機構という枠組みを表すstate の意味での国家の観念が登場するのは近代以降となります。

さて、古代政治思想史の原型をみていくために、まずは、アテナイの直接民主制をみてみましょう。
アテナイの直接民主制とは、民会にはすべての市民が平等の参加資格を持ち、軍の司令官をのぞく公職は、通常一年という非常に短い任期で、それもくじ引きと輪番制によって選出されていた。くじ引きと輪番制というのが非常にユニークですよね。今風で言えば総理大臣を籤で決めるという様なものです。なぜアテナイ人がくじ引きを採用したかというと、くじには、人間を越えた神の意志がそこに反映されると考えていたからだと言われています。

そして、輪番制についてですが、政治とは専門知識を必要とする事柄ではなく、万人が、平等な資格で関与できるという考えが背景にありました。この辺りは、後のプラトン、アリストテレスに下って行くと大分見直されることになるのですが、当初のアテナイではそう受け止めらえていたわけですね。

アテナイの政治といえば、デモス・クラティアですが、ギリシア世界で当時最大のポリスであったアテナイでも、その面積は日本の佐賀県の規模と同じで、人口は約30万人ていどでした。その中で、デモス(市民で成人男子)は1/4でした。まだこの当時は奴隷は言葉をしゃべる道具としてしか見られておらず、あくまでもアテナイ市民で行われていました。デモス・クラティアでは、事由よりも徳(アレテ―)が重視され、近代的な意味での個人主義的な自由はありませんでした。全体から出発して市民を服従させるという方法がとられていたのが特徴です。いわゆる抵抗権のようなものはなく、ポリスへの反抗の自由なく、ありうるとすると他のポリスへ侵攻する自由のみでした。ポリスにおける公的な生活とは、 「完全に私的 private な生活を送るということは、なによりもまず、真に人間的な生活に不可欠な物が「奪われている」deprived ということを意味する。」 H・アレント『人間の条件』87 頁 であり、公的生活の条件とは、 デモスにとって、「私的なもの」をなげうち、ポリスでの「公的なもの」に献身することが美徳と考えられていたが、それは生命の維持や種の保存という、「低次元の」労働が奴隷や女性に押しつけられていたからこそ可能になるものだった。近代民主主義の前提となる個人主義はいまだ存在していませんでした。

Ⅱ古代ギリシァにおける「政治」の発見

アテナイでは、ピュシス(自然)とノモス(作為、慣習、法、制度)が重視され二分法で考えられていました。自然現象から独立した、人間自身の手によってつくられる秩序という意識が重視されたわけですね。なので猿山のボスざるの支配に政治は無いと考えられたわけです。

ギリシアにおける哲学の成立と共に宗教から哲学への移行が進みます。

1.抽象的思考vs.物語(神話)

2.物語の共同体を越えた言語ゲーム
→普遍性(開かれた言語ゲーム)
「閉じた社会」から「開かれた社会」へ 参照K.R.ポパー『開かれた社会とその敵』

3.自由な意識(個)vs.宿命論(摂理)
…自身の前提を疑わない宗教 これは政治的権威にとって好都合(政治神学)
➡「ソフィスト」とは誰か
1.その方法:弁論術(レトリケー)
2.その目的:徳(arete)の育成
「徳の教師」、ソフィストの両義性 (教師か、詭弁を弄する詐欺師か)
ピュシスとノモス‐‐正義論の原型
1.二元論
アンティポン ピュシス:万人が平等にわけもつ真理ノモス:真理に反して制定された正義
2.真理=強者の利益説
カリクレス(Gorgias) ピュシスの正義:より強いもの、より優れたものが多く得る
ノモスの正義:より強いもの、より優れたものに型をはめる悪しきもの
3.ノモス妥協説
グラウコン(Politeia) ピシュス:闘争ノモス:弱者救済の便宜的契約
「不正を働きながら罰を受けないという最善の事と、不正な仕打ちを受けながら仕返しをする能力がない最悪の
事との間の中間的な妥協」としてのノモスの正義
4.正義=強者の利益説
トラシュマコス(Politeia) 法とは支配階級がみずからの利益のためにつくり、それを正しいと宣言してお人
好しの人民を支配する道具。不正こそが得をもたらす。
これらに対するソクラテス=プラトンの反論:
支配者とは羊飼い、あるいは医者のごとき者である。すぐれた者が支配者になるのは、彼らが自分たちより劣ったものに支配されることを恐れるから。(これはプラトンがソクラテスをして語らしめたプラトン説の可能性が高い)正義とは徳とそれについての知恵である。
ソクラテス: 最大かつ最も危険な「ソフィスト」
人間のピュシス:努力による獲得=徳・・・個々人の魂の卓越性
ピュシスとノモスの二元論ではなく、その相互依存性の認識
参考「習慣は第二の天性である」(パスカル)・・・human nature(人間的自然=天性、つまり「人為(努力)」に
より形成される「人間の自然」)
ソクラテスの知徳合一性(「正義とは何かの知を持つ者」=「有徳者」)
プラトン: 哲学(イデア論)と政治の結合
「普遍的なもの」の追求・・・プラトンの両義性(変化を嫌う反動思想家という側面)
変化するもの ・・・現世、肉体
変化しないもの ・・・魂
プラトンの「政治」「哲学」
イデア論と洞窟の比喩 :「哲人王」思想
統治者階級の指導者=全ポリスの統治者
政治力+真理(イデア)認識能力
「哲学者たちが国々において王となって統治するのでないかぎり、あるい
は現在王と呼ばれ、権力者と呼ばれている人たちが真実かつ十分に哲学す
るのでないかぎり、すなわち政治権力と哲学的精神とが一体化されて多く
の人々の素質が現在のようにこの 二つのどちらかの方向に別々に進のが
強制的に禁止されるのでないかぎり、国々にとって不幸の止むことはない
し、また人類にとっても同様だと僕は思う」

プラトンの「全体主義」

公教育の重視…ソクラテス刑死のショックから力で正しい秩序を作り出そうとする
教育=魂の訓練 詩はその妨害、ポリスから詩人を追放
「共産制」の理想
循環する政体に終止符を打つ哲人王=民主主義批判
自由と放任に終始し、資質のない、単なるクジで選ばれた指導者は国々にとってたいせつな
ことの判断能力を欠くまま民衆のごきげんとりに走るその結果人々の「魂の空洞化」が生じ、
僭主(独裁者)が生まれる。
支配者に許された「高貴な嘘」

***********参考文献*********
伊藤貞夫『古典期アテネの政治と社会』、東京大学出版会
ハンナ・アレント『人間の条件』、ちくま学芸文庫
カールR. ポパー『開かれた社会とその敵』、未來社
納富信留『プラトン─哲学者とは何か』、日本放送出版協会
プラトン『ソクラテスの弁明』、岩波文庫
プラトン『国家』、岩波文庫

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【監修者】宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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