ジヴァムクティヨガ (Jivamukti Yoga) について
1. ジヴァムクティヨガの起源と背景
ジヴァムクティヨガは、1984年にアメリカ・ニューヨークで、シャロン・ギャノン (Sharon Gannon) と デイビッド・ライフ (David Life) によって創始された比較的新しいヨガスタイルです。彼らはアシュタンガヨガをはじめ、インド伝統のハタヨガを学びながら、動物愛護や環境保護、菜食主義(ヴィーガニズム)などの倫理的観点をヨガ実践に結びつけることを目指しました。
「Jivamukti(ジヴァムクティ)」という言葉は、サンスクリット語の“ジーヴァン (Jivan)”=「個の魂」と“ムクティ (Mukti)”=「解放」から成り、「生きたままの解放」「この世で悟りを得る」という意味を持ちます。これは、ヨガの練習を通じて「真の自己(アートマン)を解放し、苦しみから自由になりながら日常世界を肯定的に生きていく」という理想を示唆しています。
ジヴァムクティヨガは、いわゆる「スピリチュアルなヨガ」の要素を色濃く残しつつ、現代的な社会活動や芸術、音楽など多方面のカルチャーと結びつきやすい点で注目を集め、アメリカを中心に世界中で多くの支持者を獲得してきました。
2. ジヴァムクティヨガの5つの基本的理念
ジヴァムクティヨガは、次の5つの基本理念(The Five Tenets)を軸に構成されています。これらは単なる身体的エクササイズを超え、ヨガを包括的な生き方・思想として取り入れるための指針でもあります。
アヒムサー (Ahimsa):非暴力・菜食主義
動物への暴力を含むあらゆる暴力を避け、他者との共存や環境保護を目指す。創始者のシャロンとデイビッドは、ヴィーガン(完全菜食主義)のライフスタイルを強く推奨しており、環境・動物に配慮した行動を訴えている。バクティ (Bhakti):献身・神への愛
ヨガの伝統に根ざす「神への献身(バクティ)」を重要視し、マントラを唱えたり、キールタン(神の名を歌う)を行ったり、神聖な存在や自然への感謝を意識する。ナーダ (Nada):音と音楽の活用
ジヴァムクティヨガのクラスでは、音楽(現代的な楽曲からインド古典音楽まで)を積極的に取り入れ、リズムや音の波動によって瞑想的状態や感情表現を深める。マントラ詠唱などもこの一環である。シュトラ (Shastra):聖典の学習
ヨガ哲学やインドの古典聖典(『ヨーガ・スートラ』『バガヴァッド・ギーター』など)を学び、クラスのテーマとして取り上げる。知識(ジュニャーナ)を通じて深い洞察を得ることを重視する。ダヤー (Dhyana):瞑想
伝統的なラージャヨガの教えを参考に、内面を静める瞑想実践を含む。クラスの最後に短い瞑想を行うほか、日常生活でも瞑想の習慣化を推奨。
これらの理念は、ジヴァムクティヨガのクラスの中で具体的なアーサナ(ポーズ)練習やマントラ詠唱、哲学的トピックの紹介などを通じて体験されます。
3. ジヴァムクティヨガのクラス構成と特徴
3-1. アーサナ(ポーズ)の要素
ジヴァムクティヨガのクラスは、アシュタンガヨガをベースにしたダイナミックなフロー(Vinyasa)が特徴です。流れるようにポーズを連続させながら呼吸を深め、運動量の多いパワフルなシークエンスを展開することが多いです。ただし、必ずしも決まったシークエンスがあるわけではなく、インストラクターやクラスのテーマによって変化に富みます。
太陽礼拝(Surya Namaskar)やヴィンヤサフロー
連続的にアーサナを組む中で音楽がかかったり、マントラが唱えられたりすることがあり、フィジカルな爽快感と精神的集中を同時に味わうスタイル。難易度の高いポーズも取り入れる
アームバランスや逆転ポーズ、深い後屈などを行うこともあり、身体を挑戦的に動かしていく。初心者向けにバリエーションを用意しているクラスもある。アライメントへの注意
アイアンガーヨガほど厳密ではないが、各ポーズでの正しいアライメントも大切にしており、的確なアジャスト(身体の調整)を行うインストラクターが多い。
3-2. マントラや音楽、哲学的トーク
ジヴァムクティヨガのクラスでは、しばしば以下の要素が組み込まれます。
マントラの詠唱(Chanting)
クラスの最初や途中、最後などに、サンスクリットのマントラを唱える時間を設けることがある。これは、アヒムサーやバクティ(献身)の精神を高める手段として位置づけられる。音楽(Nada Yogaの要素)
レゲエやポップス、インド古典音楽など、インストラクターの好みやクラスのテーマに合わせて多彩な音楽が流される。リズミカルに身体を動かしながら、音楽の力で意識を高揚・集中させる。哲学的テーマのミニレクチャー
インストラクターが『ヨーガ・スートラ』や『バガヴァッド・ギーター』、インド神話などから引用し、クラスにテーマを設定することがある。動物愛護や環境保護、社会的正義など、現代的課題とヨガ哲学を結びつけるメッセージが語られる場合も多い。
3-3. 瞑想とシャヴァーサナ
クラスの終盤には、身体を落ち着かせるシャヴァーサナ(屍のポーズ)や短い瞑想の時間が設けられます。ここで、先ほどまでダイナミックに動いていた身体と心を静寂へ導き、クラスを包括的な調和状態で締めくくります。マントラを唱えながら瞑想する、あるいは黙想の中で教訓的な言葉を噛みしめるなど、精神性の深め方はインストラクターや参加者の好みに左右されます。
4. ジヴァムクティヨガの主な効果
ジヴァムクティヨガを定期的に実践することで得られる効果には、以下のようなものがあります。
身体能力の向上
アシュタンガ由来のパワフルなフローやアームバランス等を繰り返す中で、筋力と柔軟性、持久力がバランス良く鍛えられ、心肺機能も高まります。呼吸と心のコントロール
ヴィンヤサフローに呼吸を連動させることで、マインドフルな状態を獲得しやすくなり、日常のストレスや不安への対処能力が向上する場合が多いです。スピリチュアルな充実感
マントラや音楽、哲学的テーマによって、自分の内面や他者・社会・自然とのつながりを再認識し、「何のために生きているのか」といった深い問いに対する洞察を得やすくなります。社会的意識の拡大
アヒムサー(非暴力)や動物愛護、環境保護などのメッセージを学ぶことで、ヨガが個人の健康を超えて「社会や環境への関わり方」へと広がるきっかけになります。芸術的・創造的刺激
ジヴァムクティヨガは音楽やアートとの親和性が高いため、クリエイティブなエネルギーを刺激されると感じる参加者も多いです。
5. ジヴァムクティヨガの注意点と取り入れ方
運動量がやや高い場合が多い
ジヴァムクティヨガのクラスは、基本的に運動強度が中~高めに設定されることが多く、初心者には少々チャレンジングな場合もあります。無理をせず、初心者向けクラスやインストラクターに相談しながら段階的に慣れていくのが望ましいです。宗教色やメッセージ性の強さ
マントラやバクティ要素、動物愛護・環境保護などのメッセージがクラス中に語られることが多いため、最初は抵抗を感じる人もいます。ジヴァムクティヨガは決して特定宗教への勧誘ではなく、各自がそのメッセージをどこまで受け入れるか自由なスタンスで参加できます。ライフスタイル全般への影響
クラスで動物や環境への配慮を説くメッセージを聞くうちに、食生活や消費活動を見直す参加者が少なくありません。一気にヴィーガンになる必要はありませんが、そうした価値観との出会いを柔軟に受け止め、自分なりの形で取り入れると良いでしょう。インストラクター選び
ジヴァムクティヨガは特に「インストラクターによってクラスの色合いが大きく変わる」傾向があります。音楽やマントラの使用頻度、強度、メッセージの濃さなど、自分に合った指導者を探すためにも体験クラスや複数のインストラクターのクラスを試してみることをおすすめします。
6. ジヴァムクティヨガを学ぶには
6-1. ジヴァムクティヨガセンターや公認スタジオ
世界の主要都市にはジヴァムクティヨガの直営センターや公認スタジオが存在し、そこで正式なメソッドに基づいたクラスを受けることが可能です。各地の指導者養成コース(ティーチャートレーニング)を修了したインストラクターが質の高いクラスを提供しています。
6-2. 一般ヨガスタジオでのクラス
ジヴァムクティヨガ公認のインストラクターが、一般のヨガスタジオやフィットネス施設でクラスを開講していることもあります。公式資格を持つ指導者を探して参加すれば、本格的なジヴァムクティヨガ体験が可能です。
6-3. オンライン学習
近年はオンラインレッスンや配信クラスが充実しており、自宅からジヴァムクティヨガのクラスを受講できる環境も整ってきています。ただし、オンラインの場合は直接的なアジャストが受けられないため、怪我防止の観点からも基礎をある程度習得した上級者~中級者に向いていると言えるでしょう。
6-4. 書籍や映像教材
創始者のシャロン・ギャノンやデイビッド・ライフ、認定指導者が執筆した本やDVDなどが市販されており、ジヴァムクティヨガの哲学やシークエンスを学ぶことができます。アーサナの解説やマントラの意味、ヨガ哲学の背景など詳しく紹介されている書籍は、クラス受講と並行して学習するのに有用です。
7. まとめ
ジヴァムクティヨガは、アシュタンガヨガをベースにしたパワフルで動きのあるヴィンヤサと、音楽、マントラ、ヨガ哲学、社会的メッセージが融合した現代的なヨガスタイルです。動物愛護や環境保護、非暴力(アヒムサー)を積極的に訴える一方で、音楽やアート、ファッションなどのカルチャーとも親和性を持ち、都市部の若い世代を中心に人気を獲得してきました。身体面はもちろん、精神面・倫理観・社会的意識などあらゆる次元での成長を志向する人にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。
特徴: ダイナミックなフロー、音楽やマントラの活用、ヴィーガニズムや環境保護のメッセージ、哲学的トピックの導入。
効果: 筋力や柔軟性の向上、呼吸の深まり、精神的集中力・落ち着きの獲得、社会や環境への視野拡大。
注意点: 運動強度がやや高い場合が多い、宗教色・メッセージ性が強い(強制ではないが苦手な人もいる)、インストラクターによってクラスの雰囲気に幅がある。
学び方: 公式センターや公認スタジオ、一般スタジオのクラス、オンラインレッスン、書籍・映像教材など。
「身体を動かしつつ、自分の信条やライフスタイルをもう一度見直してみたい」「ヨガを通じて社会や環境に貢献する意義を考えたい」という方には、ジヴァムクティヨガが提案する多面的なアプローチは大いに刺激的で学びになるはずです。ぜひ一度、近くで開講されているクラスやオンラインレッスンを探して、実際に体験してみてはいかがでしょうか。
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対応エリア | 立川、西国分寺、国分寺、国立、昭島、東大和、日野、青梅、あきる野、府中、武蔵村山、福生、羽村、八王子など |
定休日 | 年中無休 |
URL | https://ontheshore.jp/ |
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |