イシュタヨガ (ISHTA Yoga) について
1. イシュタヨガの起源と背景
イシュタヨガ (ISHTA Yoga) は、南アフリカ出身のヨガ教師である アラン・フィンガー (Alan Finger) を中心に、1960年代にアメリカで生まれたヨガの流派です。「ISHTA」という言葉は、「Integrated Science of Hatha, Tantra, and Ayurveda」の頭文字を取ったもので、ハタヨガ、タントラ、アーユルヴェーダの科学的知見を統合したヨガであることを示しています。さらにサンスクリット語でも「イスhta (Ish-ta)」という単語は「パーソナルな神聖性」や「個々の最上の目的」という意味合いを持ち、まさに「自分に合ったヨガ」を探求する姿勢を象徴しています。
アラン・フィンガーは、父であるマンディンガム・フィンガー (Mani Finger) とともに、ヨガの伝統的な教えを多角的に学び、ハタヨガの身体的側面だけでなく、タントラ哲学やアーユルヴェーダの体質観(ドーシャ理論)などを組み合わせた統合的アプローチを開拓しました。現代では、ニューヨークを拠点とする ISHTA Yoga スタジオをはじめ、世界各地でイシュタヨガを学ぶ場が広がっています。
2. イシュタヨガの理念と特徴
2-1. 3つの要素の統合
イシュタヨガは、「Hatha(ハタ)、Tantra(タントラ)、Ayurveda(アーユルヴェーダ)の統合」を大きな柱としています。
ハタヨガ (Hatha Yoga)
アーサナ(ポーズ)やプラーナーヤーマ(呼吸法)、瞑想を通じて身体と心を鍛え、生命エネルギー(プラーナ)の流れを整える伝統的なヨガの実践。タントラ (Tantra)
「この世のすべては神聖な意識の現れであり、内なるエネルギーを目覚めさせることで自己を解放する」という考え方。イシュタヨガでは、チャクラ(エネルギーセンター)の活性化や瞑想法など、タントラ哲学由来の技法を積極的に取り入れる。アーユルヴェーダ (Ayurveda)
インド伝統医学に基づく健康哲学。体質(ドーシャ)や季節、ライフスタイルに応じてヨガの練習内容を調整し、バランスを保つことを重視する。
これら3つの要素を学びながら、自分自身の身体的・精神的特性に合ったヨガプラクティスを選択・調整することで、より効果的に心身を整えるというアプローチがイシュタヨガの根幹にあります。
2-2. パーソナライズされたヨガ
イシュタヨガの最大の特徴は、「一人ひとりの個性や体質に合わせて練習をカスタマイズする」という点です。アラン・フィンガーは、「ヨガは万人にとって同じ形でなくてもいい」という考えを重視し、個々の肉体的条件(骨格、筋肉のバランス、柔軟性など)やアーユルヴェーダのドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)に応じて、ポーズのバリエーションや呼吸法の強度を最適化することを提唱しました。
一般的なクラスでも、一通りのシークエンスが提示されながらも、インストラクターが「もしこのポーズが合わない場合は、こちらのバリエーションを試してみましょう」とオプションを提供し、参加者が自分の身体や気分に合った形で練習することを推奨する傾向があります。これは、万人に同じポーズを強制するよりも、各人が無理なく継続できるヨガを探求できるメリットがあると言えます。
2-3. 内なる静寂と外なる活力の両立
イシュタヨガは、比較的ゆったりとした流れの中でアーサナを行うことが多く、必要に応じて瞑想や呼吸法の時間をしっかり確保します。パワーヨガほどの激しい運動量はない場合が多いものの、じっくりと身体を動かし、呼吸を深め、チャクラやエネルギーを意識する点に特徴があります。運動量が少なめでも、インナーマッスルや体幹をしっかり使うため、外見的な体力向上だけでなく、内面的な落ち着きやストレス緩和にも効果が期待されます。
3. イシュタヨガのクラス構成
クラスのスタイルはインストラクターやスタジオにより異なりますが、一般的なイシュタヨガクラスの流れは以下のような要素を含むことが多いです。
シッティング(座位)や軽いストレッチでのイントロダクション
まずは座った姿勢で呼吸を観察し、アーユルヴェーダ的な視点からその日の自分の状態(疲れや冷え、イライラなど)を簡単にチェック。呼吸法(プラーナーヤーマ)やウォーミングアップ
身体と心を温めるために、簡単な呼吸法(片鼻呼吸、カパーラバーティなど)や太陽礼拝などを組み合わせる。ドーシャに合わせた呼吸の強度調整も行われることがある。アーサナ(ポーズ)プラクティス
**フロー(連続的な動き)**を軽めに行った後、各ポーズをキープしてアライメントを確認する。
アーユルヴェーダの視点を取り入れ、たとえばピッタ(火の性質)が高い人にはクールダウン効果のあるポーズを多めに、カパ(地・水の性質)が強い人には刺激を増すポーズを取り入れるなどの工夫がされる場合も。
必要に応じてインストラクターがプロップスやオプションを提示し、受講生が自分に合ったバリエーションを選べるようサポートする。
チャクラやエネルギーワーク
イシュタヨガでは、身体の7つの主要チャクラに意識を向けたり、それぞれに対応するマントラや色をイメージしながらポーズを行うことがある。これは、タントラ的なエネルギー観を実践に取り入れる方法の一例。クールダウンとシャヴァーサナ
最後に身体を休めるポーズを取り入れ、シャヴァーサナ(屍のポーズ)で深いリラックスへ誘導する。アーユルヴェーダの視点から温度やカバーなどを調整して、快適に休息できる環境を整えることも大切。短い瞑想やクロージング
クラスの締めくくりに短い瞑想や呼吸の時間を設け、自己観察やアファメーション(肯定的な言葉)を行う。ヨガ哲学や日常生活への応用など、インストラクターが簡単に語りかける場合もある。
4. イシュタヨガの効果とメリット
4-1. 自分の体質・個性に合ったヨガの実践
アーユルヴェーダ的アプローチにより、自分がいまどういう体調・心理状態にあるのかを見極め、その状態に合ったポーズや呼吸法を選ぶことで無理なく効果を得やすくなります。これは、決まったシークエンスを一律に行うスタイルよりも、柔軟かつパーソナライズされたヨガ体験を可能にします。
4-2. 心身のバランス調整とストレス軽減
イシュタヨガは、過度に筋トレ的な要素に偏らず、リラックスと活力のバランスを追求します。運動量がそこまで高くなくても、意識的な呼吸やエネルギーワークを通じて、深いリラクゼーションと心身の調和を得られると言われます。結果的にストレス耐性が高まり、睡眠の質が向上する事例も報告されています。
4-3. マインドフルネスや自己理解の深まり
タントラ哲学を背景に、チャクラやエネルギーの流れを感じながらアーサナを行うことで、身体感覚だけでなく、自分の内面(感情、思考、意志)を観察する力が養われます。これは現代で注目される「マインドフルネス」の要素とも合致し、日常生活における自己理解やストレスマネジメントに役立ちます。
4-4. 継続しやすい柔軟なスタイル
イシュタヨガは大きく分けると、パワー系の要素よりも身体に優しいアプローチが多い傾向があります。もちろん、クラスやインストラクターによっては強度の高いフローを行う場合もありますが、「自分のペースで調整できる」「プロップスを活用しやすい」「バリエーションが豊富」といった柔軟性があるため、初心者から上級者、さらには中高年や妊婦さんにも取り入れやすいと言われています。
5. イシュタヨガの注意点
指導者の質が大きく影響
アーユルヴェーダやタントラに関する深い知識が必要なため、インストラクターによって指導内容に大きな差が出る可能性があります。初めて学ぶ際は、信頼できるスタジオや資格を持つ指導者を選ぶのが望ましいでしょう。過度な期待は禁物
アーユルヴェーダやチャクラ理論など、東洋医学やスピリチュアルな概念には科学的根拠がまだ十分でない部分も含まれます。身体や心のバランスを整える一助として捉えつつ、あまりにもすぐに劇的な改善を期待しすぎないことが大切です。自己判断での無理な調整は危険
「今日はカパが強いから激しいポーズをしよう」といった極端な判断を自己流でやりすぎると、身体に負担がかかる場合があります。自分の体調や運動経験を踏まえ、適度に行う意識を持ちましょう。チャクラワークの受け止め方
チャクラやエネルギーといった概念は人によって受け取り方が異なります。宗教的・スピリチュアル的要素に抵抗がある人もいるかもしれませんが、必ずしもそれらを全面的に受け入れる必要はありません。自分が心地良い範囲で取り入れる姿勢がおすすめです。
6. イシュタヨガを学ぶ方法
ISHTA Yoga スタジオや認定プログラム
ニューヨークを中心に公式スタジオが展開されており、アラン・フィンガーの直系で学べる資格コースやワークショップが開催されています。オンラインでもクラスを受けることができる場合があるので、公式サイトをチェックしてみましょう。一般ヨガスタジオでのイシュタヨガクラス
世界各地のヨガスタジオで、イシュタヨガにインスパイアされたクラスや、認定インストラクターが担当するクラスが行われていることもあります。地元のスタジオ情報や講師のプロフィールを確認してみてください。書籍やオンライン教材
アラン・フィンガーや関連講師が執筆した本や動画教材を通じて、基本的な考え方やシークエンスを学ぶことが可能です。ただし、アライメントや個別アドバイスに関しては、直接指導を受ける機会も並行して持つのが理想です。アーユルヴェーダの知識と併せた学習
イシュタヨガの理解を深めるには、アーユルヴェーダの基礎理論(ドーシャ、食事法、日常ルーティンなど)を学ぶのも効果的。関連書籍や講座を受講し、自分の体質を把握したうえでヨガのプラクティスを調整すると、より大きな恩恵を得やすくなります。
7. まとめ
イシュタヨガ (ISHTA Yoga) は、ハタヨガ、タントラ、アーユルヴェーダの要素を柔軟に組み合わせながら、「一人ひとりの個性や体質に合わせたヨガ」の実践を提唱する流派です。アラン・フィンガーをはじめとする指導者たちは、身体面だけでなく心やエネルギーの面にも焦点を当て、自分にぴったりのバランスを探るプロセスを大切にしています。
特徴
ハタ、タントラ、アーユルヴェーダの総合アプローチ
個々の体質や状態に合わせてポーズ・呼吸法をカスタマイズ
チャクラやエネルギーワークにも注力し、内面的な変容をサポート
過度な運動量ではなく、継続しやすい柔軟さとバリエーション
効果
自分の身体と心の状態を認識し、適切にアプローチする習慣が身につく
ストレス緩和やリラクゼーション、体質改善の可能性
マインドフルネスや自己理解の深まり
注意点
指導者による知識や質にばらつきがあるため、信頼できるクラスを選ぶ必要あり
チャクラやアーユルヴェーダに対する受け止め方は個人差がある
無理な自己流調整は避け、インストラクターのサポートを受けながら進める
イシュタヨガは、現代社会で多種多様な悩みやストレスを抱える人々に対して、「自分に合ったヨガ」として寄り添うスタイルとして注目されています。もし「ヨガは好きだけれど、決まったシークエンスやハードな運動にはついていけない」「アーユルヴェーダやタントラの考え方を少し取り入れてみたい」と考えているならば、イシュタヨガは非常に興味深い選択肢となるでしょう。自分のペースを尊重しながら、身体と心、そしてライフスタイル全般を調和へ導く一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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定休日 | 年中無休 |
URL | https://ontheshore.jp/ |
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |