キネシオロジーとヨガ
キネシオロジーとは?
キネシオロジーとは、簡単に言えば、筋肉反射(筋肉に力が入る/入らない)を観察することで、人の潜在意識にアプローチして、心身の不調などの問題を役立てる方法です。1960年代に米国のジョージ・グッド・ハート博士がはじめたカイロプラクティックを基に発展させ、筋肉とその反応による特定の内臓に着目し、診断の道具として「機能神経学の筋力テスト」を使い、機能障害の診断と治療を行うという代替医療として比較的新しいメソッドです。
キネシオロジーでは「体はひとつ」と考えます。また、キネシオロジーにおける健康とは「構造・化学・精神」の3つのバランスが整った状態を理想として、骨格、筋肉、姿勢を診断していきます。主に栄養・食事、ホルモンを改善することとで、治療を進めていきます。感情やストレスを分析し。例えば、ストレスを受ける(精神)と胃酸が分泌し、姿勢が前かがみになるという風に考えるものです。
しかし、キネシオロジーではなぜ筋肉に注目するのでしょうか?それは、カリフォルニア大学のリベット博士の研究結果に基づいており、筋肉を動かすために脳から伝達される運動神経が、私たちの意識が筋肉を動かそうとする脳活動よりも0.35秒ほど早く動いているという実験結果から注目されているのです。私たちの意識よりも無意識的な身体の反応の方が脳活動よりも早く、直観的で正しいのではないかと考えられ、キネシオロジーが生み出されました。
キネシオロジーによる筋肉反射テストでは、テストを受ける人の筋肉にしっかりと力が入るか入らないかを確認します。そうすることで、身体や心にストレスがないか確認し、ストレスがある場合はうまく力が入らず、それがどんな条件の時にそうなるのかを蓄積していきます。特に過去に受けたストレス、PTSDや感情から起きる不調を発見するのに役立ちます。キネシオロジーでは、筋肉には過去の記憶が刻まれているというマッスルメモリーを重視し、その記憶から不調の原因を突き止め、それに合った治療や改善方法を実施していきます。
キネシオロジーは医療者による直接的な治療というよりも、患者自身がその問題を乗り越え、人間が本来的に持つ自然治癒力を引き出すことが特徴です。たとえば、食品やドリンク、薬など「自分になにが合うのだろう」という時にもキネシオロジーは役立ちます。やり方としては実際にその物を片手で持って貰い、もう一方の腕を押されても力が入らないかどうかをチェックし、力が入らなければOK、腕が下がってしまったらその人には合っていないという風に診断していきます。直観的な筋肉の反射を通じて潜在意識で感じている快不快を探っていくわけですね。
ヨガのポーズや瞑想をキネシオロジーと併用する
またキネシオロジーはヨガのポーズや瞑想を併用してセルフチェックをすることも可能です。ヨガのレッスン終わりなどで行われるシャヴァーサナで目を閉じます。お頃を穏やかにして、気になっている出来事の内容や当時の自分の気持ち、今どんな思いが渦巻いているのかを、思い浮かべてみます。その問題に額縁をつけるイメージをしてみて、その額縁の色や質感を眺めてみましょう。そして、額縁の中の人や出来事に自分が言いたいことをすべて言ってみる。
全て言い終わったら、今度は当時の自分へのアドバイスを一言でいいので思い浮かべてみて、実際に声に出してみて三回程度言ってみましょう。その後、ヨガのポーズをしたまま(この場合は、シャヴァーサナをしたまま)、何度か深呼吸をします。また、額縁をつけたその問題を額縁ごと海に流すあるいは燃やすと言ったイメージをして、その出来事や気持ちが完全になくなってしまうように心を空の状態にしていきます。
そして最後に、自然の中や家族との大切な時間、将来自分がやりたいことなど自分が満たされていると思うものをイメージし、ゆっくりとヨガのポーズをとったまま深呼吸をしてみましょう。嫌なことがあったな、という日には、寝る前にこのステップを布団やベットの上でシャバーサナのポーズをとりながら行うと効果的です。ヨガのポーズでリラックスさせた上で、自分の潜在意識にある悪い出来事や感情などを消し去っていくことができるでしょう。
他にもヨガのポーズで言えばウシュトラーサナなどの後屈の姿勢で背中を反らせて胸を開くことで心と身体を活性化し、前向きな気持ちにしたり、ウッターナーサナなどの前屈のヨガのポーズを行って、体を前に倒していくことで自然と感謝の気持ちを沸き起こしたり、シルシャーサナのような倒立したポーズで逆境に陥っている自分を奮い立てるようなチャレンジングな意欲をかき立てたり、アルダマツェンドラーサナのようなねじりのポーズで自分の軸がしっかりしていないかどうかを分析してみたりと、ヨガとキネシオロジーは併用することでより心や身体の変化を感じとることができるでしょう。