座りっぱなしは死亡リスクあり
一般的に、運動習慣が様々な病気のリスクを下げることは、どなたも既にご存じのことかと思います。しかし、運動習慣があったとしても、死亡リスクを高めてしまうある行動があることを皆さん知っていますか?ちょっと考えてみて下さい。
それは実は、「座り続けること」です。意外でしたでしょうか?もちろん、中には「座りっぱなしの生活は健康によくないよ」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、死亡リスクが増えるとまでキツいことを聞いたのは初めてではないでしょうか。
2012年にオーストリアの研究グループガは発表した、約22万人を対象にした大がかりな調査研究の結果から、座っている時間が長い人ほど死亡リスクが上昇することが分かりました。
しかも、座る行為は身体活動とは独立した危険因子で、たとえ習慣的に運動している人でも座っている時間が長い人ほど死亡リスクが高まるという結果でした。もちろん、運動習慣をしていない人に比べると死亡リスクは低くなりますが、それでも依然死亡リスクがある程度高まっていたのです。
その後も世界中で同様の調査研究が行われました。そうした調査結果をまとめた2015年のメタアナリシス(*1)の結果をみても、同様の結論が得られています。
*1:メタアナリシス(meta-analysis)とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことである。メタ分析、メタ解析とも言う。ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスは、根拠に基づく医療 (EBM) において、最も質の高い根拠とされる。
Wikipedia
即ち、座っている時間が長い人ほど糖尿病、新血管疾患、癌の罹患リスクが上昇し、脂肪リスクも上昇したのです。
私もこうした研究結果を知ってからは、高さ調節が容易なデスクを購入して、長時間のデスクワークが必要なときは、なるべく立った仕事をするようにしたりしています。立っていても意外と疲れませんし、睡魔に襲われやすい昼食後の時間でもあまり眠くならないので意外とおすすめです。
座りっぱなしのリスクを裏付ける研究結果は、他でも報告されています。染色体の末端にはテロメア(*2)という部分があり、細胞が増えていく過程で、必要な細胞分裂を繰り返すにつれて短くなっていきます。
*2:わたしたちの体をつくっている細胞は、常に分裂を繰り返し、新しい細胞をつくりだすことで「若さ」を保っている。しかし、細胞は無限に分裂できるわけではない。ある回数分裂した細胞は、それ以上分裂できなくなる。これが「細胞死」だ。この細胞死と密接にかかわっているのが「テロメア」と呼ばれる、染色体の末端にある構造だ。細胞が分裂するたびテロメアは短くなっていき、テロメアがある長さ以下になった細胞は分裂できなくなる。つまり、テロメアの長さは、細胞の若さを示す「時計」と考えられる。
WIRED
上の脚注でもご紹介したとおり、このテロメアはどんどん短くなっていき、ある程度の長さになるともう分裂しなくなります。つまり、その細胞はそこで死んでしまうわけです。なので、このテロメアが長い人の方が長生きするということが分かっていますが、アメリカの高齢女性1297人を対象にした実験の結果、じっとしている時間が長い人ほどテロメアが短くなっていることが分かったのです。
WITHコロナ、アフターコロナの時代において、デスクワーク中心になるのはやむを得ない、「通勤や通学、外回り」などの機会が減り、「仕事や勉学でも座りっぱなしになるのは仕方が無い」と思われるかもしれません。ただ、そういう方であっても、座りっぱなしの一時間のうち、たった二分だけでも良いので、軽く体を動かすと死亡リスクは下がるそうです。
誰かに電話をかけながら歩き回るのもいいでしょうし、コーヒーを淹れに席を立つのもいいでしょう。そして、もし状況が許すのであれば、HIITを軽くやる、ヨガ(YOGA)の動きを軽くやるというのも選択肢の一つです。とりわけ、リモートワークなどで自宅で作業をされている方や通学がまだ中止されている学生さんなどには、家で人の目を気にせずそうした運動をすることが可能でしょう。
もちろん、今の時代なら、中抜けしてスタジオに行ってヨガやピラティス、あるいはHIITのレッスンを受けることもできるかもしれません。ぜひ皆さんには一日中座っているのではなく、余裕があれば中抜けしてスタジオでヨガやピラティス、HIITのレッスンを受ける、あるいはそこまで時間が無ければ簡単なヨガやピラティスのポーズを取ってみることやHIITのような筋トレをすることをおすすめ致します。
立川ヨガ 立川エリア唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」
【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |