免疫システムは年齢と共に変化
01 進化と共に移行した新旧の免疫システム
単細胞生物は、多細胞生物に、無脊髄生物は脊椎生物に、水中生活から陸上生活に生物は進化を続けてきました。体内の様々な臓器はもちろん、免疫システムやエネルギ-生成システムもその過程で環境に合わせて特化して作りあげられてきました。古い免疫システムは、3億6千万年以上から受け告げられてきた免疫システムです。水中で呼吸をする際に空気をとりれるエラ、食べ物を取り入れる腸管、外界と接する皮膚など、敵が侵入しやすい上皮細胞の周りにはマクロファージといわれる自然免疫(生まれつき備わっている免疫力)が集まり、癌や細胞と戦うNK(ナチュラルキラー)細胞、顆粒球、異常細胞を見つけ、攻撃する胸腺外分化T細胞、初期のB細胞などへと進化していきました。
これらは腸管、皮膚、肝臓、外泌腺、子宮に分布し、体内を監視ししています。一方新しい免疫システムは、水中から陸に上がるようになり発生・分化し、より特化していきました。陸上生活により呼吸がエラから肺へと変わり、循環器系が発達し、血管ができあがりました。
陸上での生活は花粉や埃などアレルゲンが多く、入り込む機会も増えて変化を遂げざるを得ませんでした。エラを退化させ、その一部を胸腺に進化させ、胸腺でリンパ級のT細胞とB細胞を鍛え上げてきました。胸腺、リンパ節、脾臓で外部からの侵入者に対抗しているのです。このように人間の体はこの二つの新旧の免疫システムを共存さえて受け継いできています。
02 子供の頃は新システム
子供の頃から成人期までを担当するのは、新しい免疫システム。胸腺は外からの侵入者だけと戦う精鋭部隊のリンパ球を養成しています。しかし、胸腺の老化は早く10代半ばで最大となり、20歳を過ぎると急激に委縮し、やがて脂肪の塊になってしまいます。そのため大人になると精鋭部隊のリンパ球は減少し、リンパ節や脾臓も萎縮します。老化により、リンパ球特有のアレルギー反応もなくなっていきます。
03 年老いてくると旧システムに移行する
歳を取ってから担当するのが古い免疫システム。加齢と共に体内には老廃物質である酸化物質が溜まりやすくなり、自律神経も交感神経が優位に働くようになります。増えすぎた顆粒球を放出する活性酸素によって異常化した細胞が出来やすくなります。そのため、内部の異常を見分けて、排除する古い免疫システムが活躍するのです。
つまり、新しい免疫系は外からの侵入者に、古い免疫系は体内での異常に対して、私たち人間は生きているわけですね。ちなみに、沖縄の長寿老人の免疫力を調べてみると、なんと初期のB細胞が中年期の2倍もあり、しっかりと体内を監視し、異常があるものや修復できなくなったものを処理していることがわかっています。
このようにカラダには凄い仕組みがあるのす。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |