リアネイキッドチョーク（Rear Naked Choke／裸絞／背後絞め）
■ 技の定義・概要
**リアネイキッドチョーク（以下RNC）**とは、
相手の背後（バックポジション）から、腕で相手の首を絞め落とす絞技です。
✅ 「ネイキッド（裸）」＝道着なしでも使える
✅ 頸動脈を圧迫することで、数秒で意識を奪える
✅ MMA、柔術、警察・軍の逮捕術でも広く使用される
🛠 技の構造｜基本のフォーム（右腕で絞める場合）
【1】バックポジションを取る
両足で相手の胴体をはさみ込む「バックコントロール（バックマウント）」を確保
背後から自分の胸を相手の背中に密着
【2】利き腕（例：右腕）を首元に差し入れる
相手の顎の下（頸動脈）を通すように腕を差し込む
前腕の内側（橈骨）を相手の右頸動脈に密着させる
【3】反対の手で“絞め腕”の上腕をつかむ
左手で右の上腕（肘あたり）をつかむ
絞める力が拡散しないよう、クラッチを固定
【4】左手を後頭部に回す
相手の後頭部を押すようにして首が抜けないようロック
【5】肘を締める＋肩をすぼめる＋胸を張る
肘を閉じ、肩をすくめ、胸を突き出すように力を入れる
→ これにより左右の頸動脈を同時に圧迫し、3〜6秒で意識を失わせることが可能
🎯 ワンポイントアドバイス・コツ・工夫
✔ ① 顎の下を狙う「釣り糸」のような腕差しがコツ
→ 強引に入れると顎に当たり、防がれる
→ コツは相手が息を吸った瞬間・姿勢を戻す瞬間にスッと差し入れること
✔ ② 絞めると同時に“背中と胸でサンドイッチ”する
→ 腕だけで締めず、自分の胸を張って、背中で圧迫を補助すると極まりが段違い
✔ ③ 絞めが浅いときは「ヘッドポジションを上げる」
→ 自分の頭を相手の耳の高さ以上に上げることで、テコの原理で締まりやすくなる
✔ ④ 「ワンアームRNC」や「ナックル型」などバリエーションも多数
→ 片手だけで締める「1アーム式」や、前腕で喉を潰すような攻撃型も存在
→ 顎を下げてガードされても、顎ごと絞め落とすテクニックも上級者は使用
🥇 得意な選手・実戦例・逸話
■ ① デミアン・マイア（UFC／柔術）
▶️ 特徴：
どんな相手でもバックを取ればほぼ一本勝ちに持っていくRNCの職人
手順が丁寧で、絞めの崩しも完璧
▶️ 逸話：
マイアはUFCで7人連続RNCで一本勝ちを収め、「絞め技だけで勝てる男」と言われた
■ ② チャールズ・オリベイラ（UFC）
▶️ 特徴：
打撃で崩し → 寝技に引きずり込み → 爆速でRNCを仕掛ける連携型
アグレッシブなRNCの代名詞的存在
▶️ 逸話：
イスラム・マカチェフとの試合では逆にRNCで敗北したが、それまでの圧倒的な仕留め率はトップクラス
■ ③ マット・ヒューズ（UFC）
▶️ 特徴：
レスリングベースながら、バックポジションを徹底的に使い制圧からRNCに移行するスタイル
「殴って殴って→疲れさせて→絞める」王道型
■ ④ 高谷裕之（日本MMA）
▶️ 特徴：
日本国内でRNCによる勝利が多く、「柔道的崩し」→バック→絞めが定番パターン
「崩して勝つ柔道出身者」の見本のようなファイター
✅ リアネイキッドチョークの特徴まとめ
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 狙い | 両頸動脈を前腕で同時に圧迫（＝失神 or タップ） |
| 絞め方 | 腕＋胸＋背中の3点でサンドイッチ |
| 成功率 | 極め率が非常に高い（特にMMA・BJJで） |
| ポイント | 顎の下を通すタイミング／ロックの固定力／体の密着感 |
| バリエーション | ワンアーム、顎上絞め、ラペル式（道着あり）、スピニングRNC など |
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| 【監修者】 | 宮川涼 |
| プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |
