法律学とは何か?
01 法律学とは何か
そもそも「法律」とは何なのでしょうか。一言でいえば、「世の中のトラブルを解決するためのルールブック」です。サッカーや野球、ボクシングやキックボクシングでもルールがあるように、性質的には同じものです。具体的に示すと、たとえば高校生のAが両親に内緒で高価なバイクを買ってしまったとします。売買契約は、基本的には一方的に取消(解約)ができないものですが、未成年者は(18歳未満:民4条)は判断能力が不十分ですので、民法5条2項は、両親(法定代理人)の同意のない売買契約(法律行為)は取り消せるというルールを決めています。この場合、バイクを返還し、バイク屋さんはバイクの代金を返還しなければなりません。これはこれで合理性のあるルールなのですが、もし17歳のAさんは、自身が22歳であるとする内容の免許証を偽造し、それを示してバイクを購入していたとします。このような場合でも取消が可能かだとすれば、バイク屋さんはもう安心して営業することができないでしょう。若そうに見えるお客さんは全部疑ってかからなければなりません。しかも、身分証明書自体もその真偽をいちいち鑑定するのは困難であると言わざるを得ないでしょう。そこで、民法21条は「制限行為者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない」と定め、行為制限能力者(つまり、未成年者)が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときはその行為を取り消すことができない、というルールを作っているわけです。未成年者(17歳のAさん)と、取引の相手方(バイク屋)のバランスを図っているわけです。法律はこのようにバランス感覚を重視しています。
ところが、法律というルールだけで万事解決できるかといえば、もちろん、そこまで万能であるわけではありません。世の中では多種多様な事象が生じ、さまざまな法的紛争が生じています。それを全て想定して法律を制定するなんてことはできません。たとえば、前述の例で17歳のAが「自分は未成年だが、黙っていればわからないだろう」と思ってバイク屋に行き、バイク屋の店主から「バイクを買うって言うことは大人なんだよね?」と問われ、特段何も答えずにいたら、あるいは「う、うん。」なんて曖昧に答えたら、バイク屋さんAさんを成年者だと思ってバイクを売ってくれた、とします。この場合、Aさんの行為は「詐術」といえるでしょうか。これは大いに見解が分かれてしまうでしょう。見解が分かれてしまうということは、民法はもはやルールとして紛争解決の基準という役割を果たさないと言えます。
そこで登場するのが、判例(先例となる事件における裁判所の判断。大雑把な定義ですが、ざっくりとそう捉えてください)です。こうした法律だけで解決できない問題に対して個別的に解決の指針を与える、言い換えれば法律の抽象的な文言を補充する、それが判例であるわけです。言い換えれば、法律の抽象的な文言をその都度個別的な事案においてその文言を補充する、そういうものは判例であるわけです。判例は「詐術」について具体的に説明します。曰く、未成年者であることを黙秘していた場合でも、それが「他の言動などと相俟って、相手方を誤信させ、また誤信を強めたものと認められたとき」には「詐術」にあたるとしています(最判昭和4年2月1日)。
この基準によると、今回のAさんの振る舞いは、詐術とはいえるのではいでしょうか。そうすると、Aは尚バイクの売買契約を取り消すことができます。ただ、判例の捉え方は唯一絶対のものでないのは言うまでもありません。未成年者であることを黙秘しえいることだって「詐術」だと考えることができます。そうしないと、店(売主)は、いずれ取り消されることを恐れて、未成年者であるかもしれない若い人にものをもう売らなくなってしまうかもしれないからです。こういう見解も十分に成立します。法律の研究者(学者)は様々な見解を提示し(学説)、判例はそれを咀嚼して一つの見解を提示しています。法律学(法解釈学)とはそういうものだとイメージしてください。つまり、法律とは、法的紛争を解決するためのルールブックであり、まずは法律(条文)でもって解決する、それが法律家の役目です。しかし、世の中では、様々な紛争が起こりますので、抽象的に規定された法律(ルールブック)だけでは解決できないスキマが生じてしまいます。そのスキマを埋めるのが、判例の見解・解釈(主として最高裁判例。尚、地裁や高裁の判断は正確には判例とはいわず、裁判例と呼ばれるのか一般的です)です。判例と異なる学説の見解(解釈)によって解決を試みても良いわけですが、法律実務は権威在る最高裁の判例を基準として行われます。ですから、条文・判例を基準に、法的紛争を解決していくことが重要であるわけです。目の前に生じている法的紛争に法律(そして判例により補充される)を適用していく必要があるわけです。
02 法律(条文)とはどのようなものか
法律(制定法)が、法的紛争解決の第一の基準であることは既に述べました。ここで、その法律(条文)の勉強の仕方について、少し詳しく見てみましょう。法律は条文を丸暗記すれば解決するものではありません。まず、この条文というものがどのような性質のものであるかを知る必要があります。法律(条文)は法的紛争解決のためのルールブックです。もっともオーソドックスな条文の体裁は「○○のときは、△△とする。ただし、□□のときはこの限りにあらず」というものです。この○○の部分を「要件」といい、△△の部分を「効果」と言います。□□は例外を示す部分です。そして、大事なことは、それが適用される具体的な場面を常に意識することです。要は、「5W1H」を具体的にイメージしながら読んでいくことが必要です。
先に挙げたオーソドックスな書き方をしている例が、民法9条です。「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。」とあります。要点は、(1)成年被後見人の法律行為は(2)取り消すことができる、ただし、(3)日用品の購入その他日常生活に関する行為についてはこの限りではない、とあります。(1)が(法律)要件、(2)が(法律)効果、(3)が例外です。これを「5W1H」を意識しながら読んでいくと、(1)成年後見人が(Who)、(2)法律行為をしたときは(When、What)、(3)その法律行為を取り消すことができる(How)、しかし、その法律行為が日常品の購入その他日常生活に関するものであったときは取り消すことができないということになります。
次にすべきすることは、条文の言葉の意味を正確に理解することです。ここでは(1)成年後見人(2)法律行為という言葉は何を意味しているのでしょうか。たとえば、少し認知症が進んだお年寄りが(2)衆議院選挙でした投票を取り消すことができるのしょうか。条文の意味をしっかりと捉えなければこの問いに答えれません。まず「成年被後見人」については9条の前の7条と8条を見ると明らかになります。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」(7条)で、家庭裁判所による「後見開始の審判を受けた者」(8条)のことを言います。話が前後して申し訳ないですが、これが判例付きではない普通の六法の効果です。条文と条文の間に判例が挟まっているので、こうした前後関係が見えなくなってしまうわけです。だから、普通は六法を使用し、条文の前後関係、法律全体の論理関係を配慮しながら学んでいく必要があります。
さて話を戻しましょう。(1)「成年後見人」の意味は大体分かったかと思いますので、次は(2)法律行為です。これは「一個または数個の意思表示を要素とし、意思表示効果に対する試験の変動という法律効果を生じさせる法律要件」(『リーガルクエスト「民法1」)と定義されています。何だかわかりにくい定義ですが、よくよく考えると、「私権」の変動を問題とする行為であって、選挙権行使という「公権」は問題とならないということが分かるわけです。つまり、先程の(1)認知症の老人が、(2)衆議院選挙でした投票を取り消すことができるのか、という先の問題に対する答えは「No」ということになります。
その上で、なぜこのような規定があるのか、いわゆる法律(条文)の趣旨を確認していきます。9条の趣旨は一般的には「成年被後見人の保護と取引の安全の調和」と説明されます。成年被後見人は判断能力が劣ってしまっているので、本人を害する取引を取り消せるようにして本人の保護を図っているわけです。しかし、常に何もかも取り消せるとなってしまうと、現実の取引社会は混乱するので、一定の歯止めが必要であります。日常、頻繁に行われる取引(たとえばコンビニでジュースを買うなど)は社会の取引を安定させるために取り消せないとするのが妥当であり、そうした日常生活に密着する取引であれば、額も少ないので、成年被後見人を害さない、そういう風に考えるのです。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |