正拳突き(Seiken-zuki)とは?
■ 技の概要(基本形)
「正拳突き」は、
拳の正面(人差し指と中指の第二関節)を用いて、まっすぐ前方に突く技で、空手を象徴する基本技のひとつです。
✅ “拳の中心”を用いるため力が伝わりやすく、
✅ 腰と体幹を使って打つことで、小柄でも破壊力のある突きが出せます。
■ 解剖学的・運動学的ポイント
要素 | 説明 |
---|---|
打点 | 拳の「人差し指・中指の付け根(第2中手骨)」 |
打ち方 | 腰の回転+腕の伸展を連動させて最短距離で突く |
主な筋肉 | 大胸筋・上腕三頭筋・腹斜筋・大腿四頭筋(踏み込み) |
特徴 | コンパクトかつスピーディに直線的な力を相手に伝える |
■ 技術的な構造と応用
体重移動 × 腰の回転 × 引き手の反動で打つことで、
「腕の力」に頼らず体全体で打つ突きになります。応用例:
➡ ジャブのようにフェイント突き(軽打)としても使用可能
➡ 中段・上段だけでなく、ボディへのカウンターとしても優秀
➡ 逆突き(Gyaku-zuki)として利き手側で強打にも応用
■ 正拳突きの種類(応用)
種類 | 説明 |
---|---|
中段突き | 胴体を狙う基本的な攻撃 |
上段突き | 顎・顔面を狙う。スピードと精度重視 |
追い突き(Oi-zuki) | 歩を踏み出して突く。伝統空手の代表的な攻撃法 |
逆突き(Gyaku-zuki) | 後ろ手で突く。威力・スピードともに高い |
🥇 この技が得意な格闘家たち + 使い方の逸話や特徴
■ ① 中達也(空手|伝統派)
流派:松濤館空手
「正拳突きの美しさ・速さ・正確さ」で世界的に有名な空手家。
映画『ハイキック・ガール!』でもアクション監修を担当。
▶︎ 特徴
動きに一切の無駄がなく、突きのスピードがまさに“音速”
腰と引き手の使い方が非常に巧み
構え→踏み込み→突き→戻り の一連が一拍で完結する
▶︎ 逸話
国際大会で「突きの音だけで観客がどよめいた」とされる演武シーンは有名。
■ ② ラファエル・アガイエフ(空手|WKF)
国籍:アゼルバイジャン|世界最強の空手家と称される
正拳突きを含むスピーディな中段突きからの連携技術に非常に優れている。
▶︎ 特徴
ステップからの瞬間的な突きが高速
「突いた瞬間にもう次の動作に入っている」レベルのリズム感
国際試合でも多くのポイントを正拳突きで奪取
▶︎ 逸話
連続攻撃からの中段突きで逆転勝利した大会も多数。
相手の出鼻に「逆突き」を差し込むテクニックは世界屈指。
■ ③ ゲオルギオス・ペトロシアン(キックボクシング)
“Dr. KO”の異名を持つイタリアの名キックボクサー
フック・膝などのイメージが強いが、実は正拳ストレート(クロス)の精度が異常に高い
▶︎ 特徴
距離感とタイミングを完全に支配し、ジャブからクロスの流れに正拳の動きを応用
クロスを「体の芯を貫くように打つ」
▶︎ 参考
拳の返し方・打ち込みの角度が伝統空手に近く、正拳突きの美学と通じる
■ ④ 朝倉未来(総合格闘技)
正拳突きに近い逆突き風の右ストレートを使い、
距離の外から一発で当てるスタイルを得意とする。
▶︎ 特徴
腰を深く回し、肩と腕の連動で正拳風の重さを作る
相手の入り際に合わせて逆突きを合わせ、強烈なカウンターを与える
▶︎ 逸話
デビュー当初の試合で、相手のローを読んで逆突きカウンター → KO。