払い蹴り（はらいげり）
▶ 技の定義と基本概念
払い蹴りとは、
相手の足元や下段に対して、足の甲・すね・足裏などで横方向に払うように蹴りを入れ、体勢を崩すことを目的とした蹴り技です。
✅ 主にバランスを崩す・姿勢を乱す・追撃の布石にする技
✅ フルコンタクト空手、少林寺拳法、柔術的な立技の中でも使われる
✅ 相手の前足・後ろ足・膝裏などに蹴りを「引っかける」ように打つ
✅ 基本的な構造（例：右払い蹴り）
① 構え
相手の正面 or やや斜め前からの間合いを取る
自身の左足を軸にし、右足で横方向に払う動作を行う
② 蹴る部位
**足の甲、足裏、すねの下部（空手）**など
打撃というよりも、「引っかけて崩す」「弾くように蹴る」感覚
③ 蹴る場所・狙い
相手の前足の内側・外側／後ろ足の内側／膝裏／踵など
上半身の意識を誘導したあとに使うと、より崩しやすい
④ 軸足の方向
軸足（支える足）を外に向けて腰の回転を加えると、重心が乗って払いが鋭くなる
✅ ワンポイントアドバイス・コツ・工夫
✔ 1. “強く蹴る”より“速く引っかける”
→ この技は相手を倒すための直接打撃ではなく、崩しの起点。
→ 素早く、正確に、当てるだけで十分な効果がある
✔ 2. 上半身フェイントと連動すると効果倍増
→ 例えば「ジャブ→上段突き」などで視線を上げたあとに下段払い蹴りを使うと、確実に崩れる
✔ 3. 蹴り終わりで足を“引く”こと
→ 蹴りを出した後、足を戻さず前に残すとカウンターをもらいやすい
→ 軸足をしっかり使って、体重移動とリカバリーを意識
✔ 4. 軽く当てるだけでも十分効果あり
→ 特に相手が“前のめり”や“踏み込み後”なら、弱い力でもバランスが崩れる
🥇 得意な使い手・競技別活用法
🥋【極真空手：前田憲作（K-1創世記の名選手）】
ローキックや中段の合間に、「払い蹴り→突きの連携」で相手の姿勢を崩す戦術を多用
足払い→相手が前屈みになったところへ上段蹴りというコンボも得意
🥋【少林寺拳法：型と実戦連携】
「払い蹴り→逆突き」「払い蹴り→掴み→投げ」などの連携が型で明示
特に組手法では、“力をかけずに崩す”ための技術として評価が高い
🤼♂️【MMAレスラー：アレクサンダー・ヴォルカノフスキー】
ローではなく払い蹴り的な内股カットで相手の足をずらし、すぐに組みに入る
特にステップの途中を引っかけて崩す動きは、まさに“払い蹴りの応用”
🥋【柔道・柔術式応用】
相手の前進・足出しに合わせて足払い（→大内刈りへ移行）
「引っかけて止める」→「組んで倒す」への流れに組み込まれている
✅ 払い蹴りまとめ
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 技種 | 下段蹴り・バランス崩し・牽制技 |
| 部位 | 足の甲／足裏／すね（低い位置） |
| 狙い | 足首・膝裏・前足／後足のバランス点 |
| 目的 | 崩し／制圧／フェイントとしての応用 |
| 難点 | 力を入れすぎるとバレる・崩れない |
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| 【監修者】 | 宮川涼 |
| プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |
