安全制圧型マウントポジション
=「相手を暴れさせず、傷つけず、かつ逃がさないための“抑制目的”のマウント体勢」
✅ このマウントの目的
通常のマウント | 安全制圧型マウント |
---|---|
相手を攻撃して倒す | 相手を動けなくさせて落ち着かせる/拘束する |
強打・KOを狙う | 怪我をさせずに制圧し、警察や援護到着を待つ |
総合格闘技・競技 | 護身/教育/法執行/病院・福祉など |
✅ 基本フォーム(安全制圧型)
両膝で相手の胴体〜骨盤部をまたぐ(フルマウント)
自分の手は相手の手首 or 肘を押さえる(可能なら両手とも)
自分の重心は真上ではなく“斜め前 or 背中寄り”へやや分散
→ 相手が暴れても転ばない、かつ体重を掛けすぎて窒息・骨折を防ぐ
✅ 安全制圧型マウントのテクニック・工夫
ポイント | 解説 |
---|---|
✔ “膝で押さえる”より“膝で囲う” | 骨盤や腰骨をガードのように包むように両膝を配置し、過度な圧をかけない |
✔ 相手の片手を胸に固定 | 手首・肘を押さえつけて、相手の体を起こさせない工夫(暴れ予防) |
✔ 相手が落ち着いたら“騎馬乗り姿勢”へ移行 | 両膝をさらに開き、手を広げて威圧せずに見守る形へ(説得に備える) |
✅ 安全型マウントの応用例
状況 | 使用技術 | 目的 |
---|---|---|
教育現場(不登校・パニック) | 片手制圧+対話 | 暴れを止める/周囲への被害回避 |
警察・警備 | 両腕交差ロック+マウント固定 | 武器使用・暴行防止/手錠への移行 |
路上トラブル | 膝で骨盤制圧+周囲に声掛け | 自分・第三者への被害を防ぎつつ警察待ち |
✅ 間違いやすいポイントと注意
NG行動 | 理由 |
---|---|
⚠ 相手の顔に体重をかける | 呼吸困難・窒息リスク → 訴訟や過剰防衛の可能性あり |
⚠ 一方的な暴力・打撃を入れる | 記録があれば傷害罪に問われる危険も |
⚠ 長時間拘束 | 精神的ダメージや逆上を招く → 安全に解放の準備をすることも必要 |
🥋 これを使った有名な技術体系・格闘家
🔹 自衛隊徒手格闘術/旧陸軍捕縛術
相手の体勢を崩したあと、腰上マウント+手首制圧+片膝ガードという3点固定が基本
必要なら即座に「背面拘束」「逮捕術」へ移行可能な構造
🔹 ヒクソン・グレイシー(ブラジリアン柔術)
「相手を壊さないで勝つ」哲学を体現し、マウント中も一切打たずに制圧→タップを誘うスタイルを貫いた
“技とは、力を抑えるための手段である”を信条に、戦闘と安全のバランスをとっていた
✅ 安全制圧型マウントのトレーニング案
ドリル名 | 内容 |
---|---|
✅ 30秒マウント制圧維持ドリル | 相手が暴れる中、手首・肘・骨盤を押さえて安定保持する練習 |
✅ 声掛け付きシミュレーション | 相手に「やめてください!落ち着いて!」など言葉をかけながら対応 |
✅ 解放練習 | 制圧後に「逃げる or 手錠・警察引き渡し」など次のアクションへ自然移行する訓練 |
🔚 まとめ
要素 | 内容 |
---|---|
目的 | 相手を攻撃せず、動けなくして安全を確保する |
体勢 | 膝で骨盤を包み、手で上体を抑え、重心を分散 |
強み | 加減を調整でき、女性や高齢者でも実施可能 |
注意点 | 呼吸阻害・過剰な圧力・長時間拘束に配慮 |
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |