ビクラムヨガ (Bikram Yoga) について

1. ビクラムヨガの成立と背景

ビクラムヨガは、ビクラム・チョードリー(Bikram Choudhury)によって考案・体系化されたヨガのスタイルです。日本では「ホットヨガ」の一種として広く知られていますが、厳密にはホットヨガの元祖的存在であり、「室温40℃前後、湿度40%前後の高温多湿の環境で、26のポーズ(アーサナ)と2種類の呼吸法を一定の順番で90分間行う」 という厳密なフォーマットを定めている点が特徴的です。

ビクラム・チョードリーはインド出身のヨガ講師であり、若い頃からヨガ競技の世界で実績を残していました。その後、1970年代にアメリカ合衆国のハリウッドに渡り、高温のスタジオでヨガを指導するメソッドを提唱。これが多くの有名人やアスリートに支持されるようになった結果、全米にビクラムヨガスタジオが急増し、世界的なブームへと発展していきます。「ビクラムヨガ」という名称は、当初は彼の名前に由来する登録商標として扱われていましたが、後述する様々な事情により、一時期は商標を巡る問題や法的トラブルも生じています。

2. ビクラムヨガの特徴

2-1. 室温40℃前後の高温多湿環境

ビクラムヨガの大きな特徴は、室温が約40℃、湿度40%前後という通常のヨガスタジオとはかけ離れた高温多湿の環境でクラスを行うことです。このように室内をあえて暑くする理由としては、次のような効果が挙げられます。

  • 筋肉や関節が温まりやすく、柔軟性が高まる
    高温によって身体が温まることで、筋肉や関節への血流が増し、通常より深いストレッチがしやすくなる。

  • 大量の発汗によるデトックス感
    汗を多くかくことで体内の老廃物が排出されるとされ、“デトックス効果”が謳われることが多い。ただし、医学的には汗による老廃物排出の度合いは限定的とも言われ、実際には発汗によって体温調節機能が活性化される点が大きい。

  • 体力や持久力の向上
    高温下で身体を動かすと心拍数が上がりやすいため、一定の有酸素運動としての効果や持久力アップが期待できる。

もっとも、高温多湿の環境ゆえに熱中症や脱水症状などのリスクがあり、十分な水分補給や自己管理が必要とされています。

2-2. 26のポーズと2つの呼吸法(計90分)

ビクラムヨガでは、一連のクラスが90分に固定されており、26のポーズ(アーサナ)と2種類の呼吸法を決まった順番で行うという厳密なルールがあります。このシークエンスは「ビクラムシークエンス」とも呼ばれ、初心者から上級者まで同じメニューをこなすという点が、他のヨガ流派にはないユニークな特色です。ポーズの順番が変わらないことで、以下のようなメリットがあると謳われています。

  • 身体の変化を客観的に捉えやすい
    毎回同じ順番・同じポーズを繰り返すため、前回と今回の違いを明確に感じ取りやすい。柔軟性や筋力の向上などの進歩を実感しやすい。

  • クラスの構成がわかりやすく、慣れたら集中しやすい
    初心者でも回数を重ねると、次に何をするかがわかるようになり、ポーズそのものや呼吸へ意識を向けやすくなる。

  • 指導の質が比較的一定
    インストラクターによってクラス内容が大幅に異なることが少なく、どのスタジオでもほぼ同じプログラムを受けられる。

ポーズは、立位のバランス系や前屈、後屈、ねじりなど幅広い動きが盛り込まれており、高温環境で90分動き続けることによって、相応の筋力や体力が求められる内容になっています。

2-3. 明確な指導スクリプト

ビクラムヨガのクラスでは、インストラクターが使う言葉もかなり統一されています。オリジナルの指導マニュアルに基づき、どのタイミングで呼吸をし、どこをどのように伸ばすかなどが細かく規定されているため、いわゆる“フリースタイル”の指導と比べるとバリエーションに乏しく感じる場合もあります。しかし、この一貫性こそがビクラムヨガの大きな魅力として支持されてきました。

3. ビクラムヨガの効果とメリット

ビクラムヨガは一定の運動量があり、かつ高温多湿で大量の発汗を伴うため、以下のような効果・メリットがよく挙げられます。

  1. 柔軟性の向上
    高温環境で筋肉や関節が温まるため、通常より深いストレッチが行いやすく、継続することで柔軟性が高まると言われています。

  2. 有酸素運動によるカロリー消費
    90分もの間、高温の中でポーズを続けることにより心拍数が上がりやすく、相応のカロリー消費が期待できます。ダイエット目的で取り組む人も多いです。

  3. 発汗による代謝促進と爽快感
    大量に汗をかくことで体表面の温度が下がりやすく、練習後には爽快感や達成感を得やすいです。汗をかく習慣がない人には新鮮な体験となる場合もあります。

  4. 決まったシークエンスによる集中力アップ
    毎回同じシークエンスのため、一度身につけると次のポーズを予測しながら取り組めるようになり、呼吸や身体の内側に意識を向けやすいという利点があります。

  5. 精神的なリフレッシュ
    汗とともにストレスを洗い流すような感覚を味わう人もおり、セッション後の爽快感やリラックス効果を実感するケースも多いです。

4. ビクラムヨガの注意点・リスク

効果やメリットが語られる一方で、ビクラムヨガには以下のような注意点やリスクも存在します。

  1. 熱中症や脱水症状
    高温多湿の環境で90分間動くため、体内の水分や電解質が急激に失われる可能性があります。十分な水分補給と適度な休憩が不可欠であり、特に暑さに慣れていない人や体調不良の人は無理をするべきではありません。

  2. 関節や筋肉への負担
    身体が温まりやすいがゆえに、通常より可動域が広がり過ぎたり、ストレッチをやりすぎたりして怪我に繋がるケースがあります。柔軟性の限界を超えないよう、自分の身体と丁寧に対話することが大切です。

  3. 心臓や血圧への影響
    高温環境は心臓に負荷をかけやすく、高血圧や心疾患を持つ人にはリスクが高まる場合があります。既往症がある場合は必ず医師や専門家に相談のうえ、参加の可否を判断してください。

  4. 適切なインストラクションが必須
    26のポーズとはいえ、身体に合わない場合や持病がある場合、ポーズの代替法や緩和バリエーションが必要になることがあります。資格を持ったインストラクターや安全なスタジオを選ぶことがリスク回避につながります。

5. ビクラムヨガを取り巻く論争と現状

5-1. ビクラム・チョードリーにまつわる問題

ビクラムヨガの創始者であるビクラム・チョードリーは、一時期世界的なヨガビジネスを築き上げましたが、後年になりセクシャルハラスメントや女性への暴行等で訴訟が相次ぎ、裁判において敗訴したり、賠償命令が下されたりといった事件が多数報道されました。この一連のスキャンダルにより、彼が築き上げた「ビクラムヨガ」というブランドイメージは大きく損なわれ、国際的にも大きな波紋を呼びました。

また、ビクラム・チョードリーはヨガのポーズに対して著作権・商標権を主張し、他のスタジオが同じシークエンスを使うことを禁止する訴訟を起こすなど、法的トラブルを多く抱える存在としても知られるようになります。

5-2. 「ホットヨガ」との関係とリブランディング

ビクラムヨガの流行に伴い、従来は存在しなかった「ホットヨガ」という新たなカテゴリーが生まれ、多くのスタジオが高温多湿の環境でヨガを行う形を採用するようになりました。これらのスタジオは、ビクラムヨガのシークエンスそのままではなく、自由度の高いプログラムを組むことが多く、現在では「ホットヨガ」のほうがビクラムヨガよりも一般的な呼称として普及しています。

近年では、ビクラム・チョードリーのスキャンダルや訴訟問題により、もともとビクラムヨガを名乗っていたスタジオが「ホットヨガ」や別の名称にリブランディングする動きが世界的に広まりました。その結果、かつてほど「ビクラムヨガ」という名前が表立って使われることは少なくなってきています。

5-3. 現在のビクラムヨガの位置づけ

こうした経緯にもかかわらず、高温下で行われる26のポーズと2種類の呼吸法を忠実に踏襲したビクラムヨガのクラス自体は、いまだ一定数存在します。特にアメリカでは、独自にビクラムメソッドを支持するインストラクターがコミュニティを形成し、ビクラム本人とは無関係にクラスを運営している例も見受けられます。

総じて言えば、ビクラム・チョードリー個人やそのブランドを巡る問題と、ビクラムヨガというスタイルが提供する身体的・精神的メリットは切り離して考えられるべきだ、という考えもある一方で、創始者のパーソナリティや姿勢がスタイル全体の価値観に影を落としていると懸念する声もあります。

6. ビクラムヨガを安全かつ効果的に楽しむコツ

ビクラムヨガやホットヨガを試してみたいと考える場合、以下のポイントを押さえておくと比較的安全に取り組めるでしょう。

  1. 事前の体調チェックと水分補給
    クラスの前後にしっかりと水分を摂り、塩分やミネラルの補給にも注意しましょう。体調不良を感じる場合は無理をせず休むことが大切です。

  2. スタジオやインストラクター選び
    クラスの内容やインストラクターの資格、指導歴などを調べ、評判やレビューを参考にしましょう。安全に配慮した指導を行っているかどうかも確認すると安心です。

  3. ペース配分とポーズの調整
    高温環境では心拍数が上がりやすいため、ポーズ中に息が乱れたり、めまいを感じたりする場合は途中で休憩をとりましょう。必要に応じてポーズの緩和バリエーションを取り入れるのも有効です。

  4. 怪我や持病がある場合は事前に相談
    関節や腰、首などに不安がある場合や、高血圧、心臓疾患などの持病がある場合は、医師に相談し、インストラクターにも事前に伝えておくことが欠かせません。

  5. 毎回の変化を観察しながら継続する
    同じシークエンスであっても、日ごとの体調や気候、コンディションによって感じ方が異なります。前回より柔らかくなった、呼吸が楽になった、または逆に体が重い……そういった違いを観察しながら続けることで、自己管理能力も養われます。

7. まとめ

ビクラムヨガは「ホットヨガ」の源流とも言えるスタイルであり、高温多湿の環境で26のポーズと2種の呼吸法を90分かけて行うという明確なメソッドを備えています。その一方で、創始者であるビクラム・チョードリーが引き起こした数々のスキャンダルによってブランドイメージが大きく揺らぎ、多くのスタジオが「ホットヨガ」へと名称を変更したり、ビクラムヨガとは距離を置いたりする動きが加速しました。

とはいえ、ビクラムヨガのメソッド自体が持つ身体的なメリットは根強い人気を誇り、高温でのヨガがもたらす大量の発汗や独特の集中感を好む実践者は少なくありません。柔軟性を高め、ダイナミックな環境で汗を流しながら自分の限界に挑戦する体験は、他のヨガスタイルにはない魅力があるのも事実です。

ただし、高温環境での激しい運動には一定のリスクが伴うため、必ず自身の体調を見極め、信頼できるインストラクターのもとで無理のない範囲で始めることが重要です。継続的に取り組む中で身体的変化だけでなく、ストレス発散や精神的リフレッシュの効果を感じられる人も多いため、上手に活用すれば生活の質を高める一助となるでしょう。

ビクラムヨガそのものは、創始者の名にまつわる政治や法的・道徳的問題からは切り離せない歴史を背負っていますが、ヨガという実践の持つ可能性や健康効果の高さは、多くの実践者によって現代においても受け継がれています。もし興味を持たれた場合は、まずは体験クラスなどから安全に取り組んでみるのがおすすめです。

 

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【監修者】宮川涼
プロフィール早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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