心に潜んでいる「認知バイアス」~ヨガの前に
ヨガを続けることを通して心の働きを止め、平穏さを取り戻していくことが実現されていくわけですが、こうしたヨガの思想に入る前に、最近認知心理学の観点から、いかに我々が余談や偏見、錯誤に満ちあふれていて、正しく自分を見つめ直せないでいることを確認していきたいと思います。
00 前書き
最近、本やウェブサイトなどで「認知バイアス」という言葉を見かけるようになりました。ちょっと大袈裟かも知れませんが、今は、空前の認知バイアス・ブームが到来しているといっても過言ではないかもしれません。この背景には「認知バイアスを知っておくことが、何か役に立つのではないか?」という皆さんの期待が関係しているのではないかと思います。身近な人間関係を巡る問題から、ニュースに取り上げられるような社会背景や政治的な問題、事故や災害、犯罪、現代社会にさまざまなトラブルが溢れています。認知バイアスを知ることで、このようなトラブルに「どうすればうまく対処できるか?」「どうすれば未然に防げるのか?」のヒントを得ることができるかもしれません。
認知バイアスの「認知」とは、記憶や選択、判断など人間の思考に関わる心の働きのことを指します。「バイアス」は歪みや偏りなので、認知バイアスは「思考の偏り」という意味になります。このような思考の偏り、即ち思い込みや偏見は「無意識」のうちに生じます。認知バイアスは、本記事の中で紹介しているように、さまざまな場面ではさまざまなパターンで現れますが、自分では認知バイアスが起きていることになかなか気付くことができません。しかし、どんな場面でどんな認知バイアスに「気付く」機会も増えると思います。本記事では、日常における認知バイアスの「あるある」をイラストやクイズでわかりやすく紹介すると同時に、エビデンスとして、そのバイアスに関する実験や調査をできるだけ忠実に説明しています。認知バイアスを始めて学ぶ人にも、楽しくかつ本格的な知識が身につく記事となっています。
01 認知バイアスは日常に溢れている
普段の生活の中では、仕事などあらゆる場面に、さまざまな認知バイアスが潜んでいます。「私は客観性があるほうだ」「いつも合理的に考えているから」などと「自分は大丈夫」と考えている人もいるかもしれません。しかし、その思い込み自体が「もう認知バイアス」なのです。認知バイアスは、何かを判断したり決定する際、私たちは知らず知らずのうちにじっくり考えるプロセスをショートカットしているために、生じることが多くあります。人間の脳はラクするために近道を選んでしまうわけです。たとえば、自分に都合の良い情報だけを取り入れたり、無関係な情報に影響されたりすると、認知に歪みが生じます。これが「認知バイアス」です。つまり、脳が情報処理の負担を減らすために発生してしまう不具合とも言えます。しかし、認知バイアスは悪い面だけではありません。認知バイアスというとどうしてもネガティブなイメージをもたれがちですが、実は心を安定させる役割もあります。認知バイアスがあることで不安や落ち込みを防いだり、自己肯定感の向上に繋がったりします。その一方で、重要な場面で判断を誤ったり、他者との間に認識のズレが生じ、不要な誤解や衝突が起こったりすることもあります。
認知バイアスは完全になくすことはできません。しかし、人間に共通する「思考のクセ」があることを知る、自分と他者の双方の視点から考えることで認識のズレを意識する、重要な決定をするときは、判断を急がず、根拠となる情報を探す習慣をつける、といったことで、認知バイアスをうまく付き合うことができます。認知バイアスとうまく付き合うための第一歩は、「自分は大丈夫」という思いをまずは疑ってみることが大切です。
さて、認知バイアスが生じるのは、具体的にどんなときなのか説明します。認知バイアスが起こりやすい6つの場面を紹介します。(1)記憶を思い出すとき(2)推定するとき(3)選択するとき(4)信念があるとき(5)因果を考えるとき(6)真偽を考えるときの6つのパターンに大別できると思います。これらかの上の6つのパターンに分けて、1つずつ説明していきます。
02 記憶に関連するバイアス
どんなに記憶力がいい人でも、すべての事実を正確に覚えてはいないでしょう。自分の都合や結果に合わせて記憶を書き換えたり、過去を美化したりと、記憶にはさまざまな認知バイアスが潜んでいます。「確か、そうだったはず」という認知バイアスですね。
上のページに「礼儀」という単語はあったでしょうか?実は「礼儀」という単語は、上の図にはないのですが、「あった気がする」と思った人もいるでしょう。提示された単語が、どれも「礼儀」に関連するものなので、自分では気付かないうちに既に持っている知識と結びついて「礼儀」という単語があったように感じたのです。私たちは「見たこと」「聞いたこと」をそのまま記憶しているわけでもなく、実際に経験していない出来事を、あたかも経験したかのように思い込んでいることがあります。これを「虚記憶(フォールスメモリ)」と言います。
心理学者エリザベス・ロフタスの実験では、まずは参加者の家族から、参加者が子どもの頃に体験したエピソードを聞き取りました。のちに、それらのエピソードの中に「ショッピングモールで迷子になったことがある」という、実際にはなかった嘘(架空)のエピソードも混ぜて参加者に提示しました。その後、参加者に子どもの頃の体験談を思い出して貰ったところ、何人かはあたかも実際に体験したことのように、そのうち嘘のエピソードについても語り出したのです。人は誘導されることによって、実際に起きていないことを、まるで体験したことのように思い出すことがあるんです。
*関連する認知バイアス:「イマジネーション膨張」。誘導されるだけではなく、ある出来事を繰り返しイメージしているうちに、その出来事と実体験を区別できなかくなってしまうこともあります。この現象を「イマジネーション膨張」と言います。
02-1 気分一致効果~凹んだときには嫌なことを思い出すもの
人間は気分によって思い出すことが変わります。楽しい気分ときには、自然と明るい音楽が頭の中に流れたり、楽しかった過去の出来事が思い出されたりします。反対に、気分が滅入っているときには、自然と暗い音楽が頭の中に流れたり、つらかった過去の出来事が思い出されてたりします。気分と一致する記憶を連鎖的に思い出すのが人間です。人間はその時感じている気分と一致する記憶が連鎖的に思い出すことがあります。これを「気分一致効果」と言います。楽しい気分の時には良いのですが、凹んでいるときは、さらに気分が落ち込んでしまう可能性があります。気分一致効果は、ものごとに対する判断や人に対する印象、注意の向きやすさにも見られます。たとえば、明るい気分のときには、将来の進路について前向きな判断をしたり、出会った人に対して好印象を持ったりします。また、明るいニュースなどポジティブな情報に注意が向きやすくなります。反対に暗い気分のときは、上記とは逆のことが生じます。後ろ向きな判断をしたり、相手に悪い印象を持ったり、ネガティブな情報に目が向きやすくなってしまうのです。
*関連する認知バイアス:「状態依存効果」。記憶している内容がなんであれ、覚えたときと同じ状態や状況になると、その内容を思い出すことを「状態依存効果」と言います。つまり、状態や状況が思い出す手がかりとなるわけです。
02-2 事後情報効果
さて、もう上の図は見ないで画面をスクロールしてください。その上で、先程のイラストを見ずに答えてください。ガードレールに激突した車は、時速何キロメートルくらいで走っていたかと思いますか?心理学者エリザベス・ロフタスの実験では、参加者に自動車事故の写真を見せた後、同じにような速読に関する質問をしました。このとき、参加者を複数のグループにわけ、「激突した」をさまざまな言葉に言い換えて質問をしたろところ、時速を最も高く見積もったのは「激突した」という言葉で尋ねられた参加者でした。その後、「衝突した」「当たった」「ぶつかった」「接触した」の順に、見積もる速度が遅くなっていったのです。この実験の1週間後、同じ参加者に今度は「フロントガラスは割れてしましたか?」と尋ねました。すると、「割れていた」と答えた率は、1週間前に「ぶつかった」という言葉で尋ねられたグループでは14%だったのに対して、「激突した」という言葉で尋ねられたグループでは32%に上がりました。実際、先程のイラストでは車のフロントガラスはわれていません。しかし、このように、ある出来事を目撃したとしても、あとからその出来事に関連した他の情報に接すると、その情報に影響されてオリジナルの記憶が変わってしまうことが人間にはままあります。上記の実験のように「激突した」という言葉で尋ねられたことで、「きっとフロントガラスも割れていたの違いない」と思ってしまうような現象を「事後情報効果」というのです。
*関連する認知バイアス:「イノセンス・プロジェクト」。無実の罪で収監されることになった原因の中でもっとも多いのが「誤った目撃証言」だとされています。その中には事件と関係のないところで見た顔を、確かに事件現場で見たように思い込んでいたケースがあり、これは「ソース・モニタリング・エラー」が関係しています。アメリカではえん罪を証明する目的で、法学者が1992年に「イノセンス・プロジェクト」を立ちあげています。
02-3 「バラ色の回顧」
皆さん、唐突に、「学生時代と今、どちらが幸せですか?」と聞かれたとしましょう。それに対する回答の選択肢は「1 学生時代 2 今 3 どちらも変わらない」だとします。この問いに対して、 どうお答えになりましたでしょうか?おそらくですが、「学生時代の方が幸せ」だと答えた方、思った方が多いのではないでしょうか。英語に「バラ色の眼鏡を通してみる(look at ~ through rose-colored glasses)という表現があります。そのように過去を美化するバイアスは「バラ色の回顧」と呼ばれています。文豪スタンダールの『赤と黒』の結晶化作用という考え方にも似ていますね。過ぎ去った過去を懐かしむノスタルジアも部分的にはこの認知バイアスによるものと考えられています。ある研究では、「ヨーロッパ旅行」「感謝祭の休暇」「カリフォルニアでの3週間の時点は旅行」という異なる休暇をとった人たちに、休暇前/休暇中/休暇後にアンケートを行い、事前、最中、事後それぞれにおいて、どのような気分になるかを評価・記述してもらいました。すると、休暇前は楽しいだろうと期待していた人は、休暇中にがっかりするような出来事があっても、休暇のあとで思い出してもらうと、「良い休暇だった」と評価しました。バラ色の回顧は、期待と現実との間に不一致が生じても、がっかりした感情は薄れやすくなるという「情動滅衰バイアス」が働くことで起きるとされています。
*関連する認知バイアス:「情報滅衰バイアス」。バラ色の回顧という心理現象が起こるのは、それが人間にとって必要なことだからです。ネガティブな出来事によって生じる感情は、ポジティブな出来事によって生じる感情に比べて薄れやすいことがわかっており、これを「情動滅衰バイアス」といいます。そうした辛い過去(経験)による心の負担を軽減しようとする心の防御システムがなければ、嫌な思い出がいつまでも消えずに残ってしまうことになります。まさに「バラ色の回顧」はそうした「心の仕組み」によって生じるものなのです。
02-4 ツァイガルニック効果~完了したことほど忘れやすい
頑張って企画書を作っている最中には、資料の細かい数字までしっかり覚えているものです。しかし、その企画書を完成させ、提出した途端、詳細をすっかり忘れてしまうことがあります。仕事帰りに、その日の仕事を思い出してみてください。まず思い出すのは、終わってもいない仕事ではないでしょうか?完了した課題よりも、未完了の課題の方が記憶に残りやすいことは、さまざまな実験で分かっています。この実験の参加者は、箱の組み立てやパズルなど、20種類程度の課題を行うように指示されましたが、このうち半数の課題を完了してから次の課題に進むように、もう半数の課題は未完了のまま次の課題に進むように誘導されれました。そして、実験の最後に、どんな課題があったかを参加者に思い出して貰ったところ、完了した課題よりも未完了の課題を約2倍近く思い出したのです。こうした現象は、研究者の名前にちなんで「ツァイガルニック効果」と呼ばれています。実際、昔のCMでも「やらないで後悔するよりもやって後悔するほうがいい」のような台詞がありましたが、ある実験で、これまで人生で後悔したことを参加者に尋ねたところ、「やったことに対する後悔」が16%、「やらなかったことに対する後悔」が84%という結果になりました。やらなかったことに対する後悔をよく覚えているのは、まさに、このツァイガルニック効果も影響していると考えられます。それでは、なぜ未完了の仕事の方が思い出しやすいのでしょうか。議題に取り組んでいる間は、課題のことをいつも気に掛けている状態です。また人には「曖昧さを避けて確実な状態にしたお」という欲求があるため、議題が未完了のままだとすっきりしない気持ちが残ります。このような気持ちや緊張状態が続いている間は、自分が取り組んでいる議題の内容を比較的スムーズに尾も出せます。しかし、議題が完了してしまうと、そのような緊張状態が解消され、気持ち的にもすっきりしてしまうため、それに伴って、詳しい内容や経緯も思い出しづらくなってしまうわけです。
ワールド極真会空手連盟東京支部
お薦めの空手道場
道場名 | ワールド極真会空手連盟東京支部 |
住所 | 〒190-0012 東京都立川市曙町2丁目14−10 エトロワビル 3F |
TEL | 03-6665-0898 |
事業内容 | 空手道の指導 |
特徴 | 大山倍達総裁の極真魂を大切にしていることや様々な武芸を空手に取り入れ、真の強さを追求している |
対応エリア | 立川、西国分寺、国分寺、国立、昭島、東大和、日野、青梅、あきる野、府中、武蔵村山、福生、羽村、八王子など |
定休日 | 年中無休 |
URL | https://ontheshore.jp/world_kyokushin_kai_organization/ |
お勧めのヨガスタジオ
ヨガを定期的にレッスンしたい方や、豊富なバリエーションからヨガやピラティスだけで無く、ボクササイズやキックボクササイズ、HIITなどのエクササイズをしたい方には、立川駅徒歩1分、国内唯一の、イタリア溶岩石「バサルティーナ」を使用した、立川溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」をおすすめしたいと思います。バサルティーナは火山石の中で最も美しい色調と流れがある溶岩石で、古代ローマの時代より建築家に愛されてきました。現在も国内外の有名ブランドや、美術館などにも好まれて利用されています。イタリア中部バーニョレッジョで採掘されるバサルティーナについて、また溶岩石の効果についてより詳しくお知りになりたい方はこちらをどうぞ!
スタジオ名 | 立川エリア唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」 |
住所 | 〒190-0012 東京都立川市曙町2丁目14−10 エトロワビル 3F |
TEL | 042-595-8039 |
事業内容 | 溶岩ホットヨガ、ピラティス、キックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、バトルロープ、総合格闘技、パーソナルトレーニングなど |
特徴 | 50種類の豊富なレッスンと早朝から深夜まで開催しているヨガのレッスンなど |
対応エリア | 立川、西国分寺、国分寺、国立、昭島、東大和、日野、青梅、あきる野、府中、武蔵村山、福生、羽村、八王子など |
定休日 | 年中無休 |
URL | https://ontheshore.jp/ |
立川エリアで唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」でアナタも今日からヨガを始めてみませんか?
立川ヨガ 立川エリア唯一の溶岩ホットヨガスタジオ「オンザショア」
【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |