基本講座-基礎法学1 法の全体構造(1)法とは、法の分類、法の効力

1 「法」とは

<法> ※「法律」とは限りません。

→守らないと法治国家の強制力が働く

→人の外面的な部分を規律

<道徳>

→守らなくても法治国家の強制力が働かない

→人の内面的な部分も規律

2 法の分類

(1) 成文法と不文法

成文法

→文字や文章で書かれた法

【例】

①成文憲法・・・わが国の日本国憲法

②法律・・・国会が制定した法

③命令・・・内閣などの行政機関が制定した法

④条例・・・地方公共団体が制定した法

不文法

→慣習などを基礎とした、文章ではない法

【例】

①慣習法・・・社会において長期に渡り、一定の行動が繰り返し行われることによって法として認められたもの

②判例法・・・裁判所の判決例

③条理・・・物事の筋道、合理性、整合性などがルールとなったもの

(2) 成文法主義と不文法主義

・成文法主義

→ドイツ・フランスなどの大陸法系

→日本は、成文法主義

・不文法主義

→イギリス・アメリカなどの英米法系

(3) 一般法と特別法

・一般法

→一般的な決まり(法律)

・特別法

→限られた世界だけで用いられる決まり(法律)

(4) 前法と後法、例外

(5) 強行法規と任意法規

・強行法規

→当事者の意思がどうであれ適用される

・任意法規

→当事者の意思が優先し、定められている規定と異なる意思を表示しない場合に初めて適用される

(6) 実体法と手続法

・実体法

→権利義務の発生、変更、消滅に関して規律する法

→民法、商法、刑法など

手続法

→実体法で定めた内容を実現するための法

→民事訴訟法、刑事訴訟法など

3 法の効力

法相互間でその定めた内容に矛盾や衝突が起こることが考えられるので、どの法を優先的に適用するべきかというルール

(1) 属地主義と属人主義

・属地主義

→法令を制定する権限を有する機関の権限が及ぶ地域全体に、法令の効力が及ぶ

→わが国の原則

・属人主義

→その人が所属する国の法を、その人がその国の土地を離れても適用する

例外的に、刑法に規定する国外犯の規定が採用している

(2) 法の場所的効力

(3) 法の時間的効力

・法の効力の発生

→原則として、施行された日(施行日)

→施行された法は、将来に向かってのみ効力を生じるのが原則(法律不遡及の原則)

・法の効力の終わり

→存続期間については規定がないのが原則

→例外として、法律自らが有効期間を定めている「限時法」や、

→一時的な事態に対応するために制定する法令で有効期間の定めのない「臨時法」などもあります。

・経過規定

→「この法律は、平成●●年●月●日に限り、その効力を失う。ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なお効力を有する。」

→法律の失効後も罰則の適用をすることができる場合が定められることもあります。

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宮川涼
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