
男性のメタボでは、体重以外に何が変わったか
男性のメタボを対象とした無作為化比較試験では、有酸素運動群21人、有酸素運動と筋トレを組み合わせる群21人、介入を行わない対照群20人を比較した。運動介入は12週間で、各群の平均年齢はおよそ34〜38歳、開始時の平均腹囲はおよそ115cmだった。[6] 健診で腹囲を指摘された男性に近い問題意識の研究だが、対象は62人であり、男性全体への一般化には限界がある。[6]
両方の運動群で、内臓脂肪の指標は徐々に低下した。有酸素運動群では、脂肪組織由来で糖代謝や空腹・満腹の調節に関わる物質、アスプロシンの濃度が介入中に下がった。[6] ここでホルモン名を覚える必要はない。研究者が体重だけでなく、脂肪の指標と代謝に関わる物質を併せて追ったことに注目したい。
複合運動群では、アスプロシンの濃度に有意な変化はなかった一方、除脂肪量と脂肪量の比が増え、インスリン抵抗性の指標が低下した。[6] 脂肪以外の身体成分を表す除脂肪量と、脂肪量との比に注目した結果だ。インスリン抵抗性は、血糖の調節に関わるインスリンの働きへの反応が弱い状態を指す。[6] 異なる検査が異なる変化を拾っている。
この試験は、開始前、6週間後、12週間後、運動終了から4週間後の計4回、体組成や糖・脂質の代謝指標、アスプロシンを評価した。有酸素運動群のアスプロシンの低下は6週間以内に認められ、対照群では徐々に上昇した。[6] 終了時だけを見た研究ではなく、介入の途中と終了後にも評価点を置いている。身体の指標がどの時点で動いたかを追う設計が、この試験の特徴だ。
実生活での応用は、健診結果を手元に置いて、運動の目的を相談できるようにすることだ。「体重を減らしたい」だけでなく、腹囲が気になるのか、医師から代謝の指標を指摘されたのかを整理する。試験が複数の指標を追ったように、自分の計画でも何を確認するかを先に決める。[6] 検査結果の判断は医師に委ねる。研究で評価した項目を知ることは、健診結果のどこについて説明を聞きたいかを整理する助けになる。
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筋トレと食事は、有酸素運動にどう組み合わせるか
筋トレによる内臓脂肪の変化は、対象を分けて見ると理解しやすい。過体重・肥満を対象とした大きなネットワークメタ分析では、筋トレ、有酸素運動、両者の組み合わせ、インターバル運動のいずれも内臓脂肪の減少に有益だった。筋トレでは体重への有意な効果が認められなかった。内臓脂肪の改善が示されたのは、男性と体脂肪率40%未満の対象群で、女性と体脂肪率40%以上の対象群では確認されなかった。著者らは、比較した運動の中で筋トレを最も効果が小さい介入と位置づけた。[2] 性別や開始時の身体の状態にも着目した結果だ。
ただし、結果は研究によって違う。前糖尿病と糖尿病の人を対象とした33件の試験、1,740人のレビューでは、有酸素運動、複合運動、インターバル運動は対照群より内臓脂肪を減らしたが、筋トレ単独では明確な効果を確認できなかった。[7] 筋トレの標準化した効果量は−0.25で、95%信頼区間は−0.54〜0.03と、効果がない値も含んでいた。[7]
標準化した効果量は、測定法の違う研究を共通の尺度にして比較する値だ。前糖尿病・糖尿病のレビューでは、複合運動が−0.63、有酸素運動が−0.38で、95%信頼区間はそれぞれ−0.95〜−0.30、−0.59〜−0.18だった。[7] 複合運動の評価には5件、有酸素運動には24件、筋トレには8件の試験が含まれた。[7]
インターバル運動は11件の試験に基づき、効果量は−0.53、95%信頼区間は−0.86〜−0.19だった。[7]
運動量を評価した以前のレビューでも、筋トレや複合運動には有意な効果が確認されなかった。[17] 一方、新しいネットワークメタ分析では、複合運動や筋トレを含むすべての運動介入で内臓脂肪の減少が示された。[19] 過体重・肥満の人に示された筋トレの結果と、前糖尿病・糖尿病の人の結果では対象の健康状態が異なる。[2][7] 結論の違いを隠して最強の種目を決めるより、有酸素運動を候補に置き、筋トレの役割は他の目的も含めて考えるのが妥当だ。
食事も選択肢に入る。過体重・肥満の成人2,190人、40件の無作為化比較試験を集め、画像で内臓脂肪を評価した分析では、運動も摂取エネルギーの制限も対照群より内臓脂肪を減らした。[5] 効果量は運動で−0.28、エネルギー制限で−0.53だった。[5]
95%信頼区間は運動で−0.37〜−0.19、エネルギー制限で−0.71〜−0.35だった。[5] 対照群は摂取と消費のエネルギーが釣り合う条件であり、介入との違いを比較している。[5]
この研究は、介入で生じる週のエネルギー不足を考慮したうえで、運動では用量と効果の関係を認めたが、エネルギー制限では明確な関係を認めなかった。[5] 運動でもエネルギー制限でも減少を認めた結果と、量を増やしたときの関係とは別の問いである。エネルギー制限の研究が少ないことが理由となる可能性も述べられ、多くの研究には中程度のバイアスのリスクがあった。[5] バイアスとは、研究の設計や実施などによる結果の偏りである。
夕食を急に極端な内容へ変えるより、現在の食事と運動を別々に把握すると、相談する問題が具体になる。この論文は、特定の食品や自宅での摂取量を指定していない。[5] 食事の比較は糖質制限と脂質制限の記事で扱う。ここでは、内臓脂肪への対策を運動だけの勝負にしないこと、食事と運動の研究結果を違う単位のまま競わせないことを押さえたい。

よくある誤解
「体重が減らないなら、内臓脂肪も減っていない」という思い込みがある。少なくとも6か月続く介入で、画像による内臓脂肪の評価を行った17件の無作為化比較試験、3,602人のレビューでは、運動と薬物介入の両方で内臓脂肪が減った。運動では、体重減少に対する内臓脂肪の減少がより大きく、体重だけでは利益を過小評価しうるとされた。[16] この研究では、内臓脂肪の絶対的な減少量は薬物介入の試験の方が大きかった。[16] 絶対量で見る比較と、体重減少に対する脂肪の変化で見る比較では、結果の見え方が変わる。
「一度体重が戻れば、以前の努力もすべて消える」とも限らない。食事と身体活動の介入試験の参加者を、終了後5年と10年で追った研究は、対象となる381人のうち366人に追跡できた。体重が完全に戻っても、腹囲や内臓脂肪などの改善は一部保たれていた。[15] 一方、肝臓や膵臓の脂肪の変化は同じ経過ではなかった。[15] 身体の脂肪を一つの数字で扱わない意味が、長期の観察にも表れている。
その追跡研究では、介入中の内臓脂肪の10%減少が、その後の糖尿病発症リスクの28%低下と関連した。ハザード比は0.72、95%信頼区間は0.54〜0.94だった。[15] 追跡中の関連から、個人の予防効果を保証することはできない。糖尿病発症との関連は、複数の変数を扱う多変量モデルで解析した結果である。[15]
元の介入は、異なる食事のパターンと計画的な身体活動を組み合わせた18か月の試験であり、その後の経過を長く追った結果だ。[15]
「高強度なら、誰でも最短で解決する」という期待にも距離を置きたい。内臓脂肪の比較研究では高強度の運動が上位に位置づけられたが、それは対象集団での統合結果だ。[2][19]
有酸素運動の大きなメタ分析では、主に筋骨格系の軽度から中程度の有害事象が、参加者100人あたり約2件多かったと推定され、この点の根拠の確実性は低いと評価された。[4] 強度を選ぶときには、利益だけでなく実施時の負担も見る。
今日からできること
- 中程度の有酸素運動を無理なく行える人は、歩くなどの運動を週3回、1回30〜60分で計画する。レビューが示した実施条件は12〜16週間の介入であり、初日から同じ量をこなす義務ではない。[17]
- すでに中程度以上の有酸素運動を続けている人は、無理なく続けられる範囲で、週の合計150分を超える実施時間を検討する。監督下で少なくとも8週間行った試験群では、この時間が重要な変化に必要となる可能性が示された。[4]
- 食事では、今の食事内容から摂取エネルギーを減らせる部分を選び、極端な制限を避けて量を調整する。画像で内臓脂肪を評価した試験の統合では、エネルギー制限による減少が認められた。[5] 特定の食品や削減量をこの分析から指定することはできない。
- 腹囲が気になる人は、体重と腹囲、測定時の条件、実施した運動の内容と時間を一緒に記録し、続けられた運動を確認する。
- 治療中や服薬中の人、特に降圧薬や血糖の薬などを使っている人は、運動量を増やすことや強度を上げることを、実施前に主治医に相談する。薬の量は自分で変えない。健診結果も持参し、運動で確認したい変化と自分に合う負荷を確かめる。

通える時間と運動内容を確かめるオンザショア立川店
運動を予定に入れる際の入口は、参加できる時間とレッスンの内容だ。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30、年中無休。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10エトロワビル3Fにある。
ヨガの体験は60分で税込1,980円。バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。料金と体験の予約は、それぞれのページで確認できる。
レッスンには、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニング、ピラティスがある。ヨガは25種類以上で、常温のヨガと、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガを行っている。女性専用のキックボクササイズも用意されている。種目を選ぶ前に、店舗案内で参加する内容を確かめたい。
利用には身体の状態による条件もある。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。体験の料金と時間、レッスンの種類、利用条件を併せて確認することが、参加前の準備になる。
参考文献
- Effect of aerobic exercise on waist circumference in adults with overweight or obesity: A systematic review and meta‐analysis — Alexander E. Armstrong et al., 2022, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13446
- Effects of various exercise types on visceral adipose tissue in individuals with overweight and obesity: A systematic review and network meta‐analysis of 84 randomized controlled trials — Xiao-Ke Chen et al., 2023, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.13666
- Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults — A. Jayedi et al., 2024, JAMA Network Open. DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2024.52185
- Dose–response effects of exercise and caloric restriction on visceral adiposity in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials — Francesco Recchia et al., 2023, British Journal of Sports Medicine. DOI: 10.1136/bjsports-2022-106304
- Exercise-induced effects on asprosin and indices of atherogenicity and insulin resistance in males with metabolic syndrome: a randomized controlled trial — A. Suder et al., 2024, Scientific Reports. DOI: 10.1038/s41598-024-51473-1
- Comparative Efficacy of Exercise Type on Visceral Adipose Tissue in Patients With Prediabetes and Type 2 Diabetes Mellitus: A Systematic Review With Pairwise and Network Meta‐Analyses — M. Khalafi et al., 2025, Obesity Reviews. DOI: 10.1111/obr.70031
- Lifestyle-Induced Visceral Fat Loss as a Key Target for Durable Cardiometabolic Health: MRI-Assessed 5- and 10-Year Follow-Up After 2 Clinical Trials — Hadar Klein et al., 2026, Circulation. DOI: 10.1161/circulationaha.125.079009
- The Impact of Exercise and Pharmacological Interventions on Visceral Adiposity: A Systematic Review and Meta-Analysis of Long-term Randomized Controlled Trials — Shreya G. Rao et al., 2019, Mayo Clinic proceedings. DOI: 10.1016/j.mayocp.2018.09.019
- Effect of exercise intervention dosage on reducing visceral adipose tissue: a systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials — Yu-Hsuan Chang et al., 2021, International Journal of Obesity. DOI: 10.1038/s41366-021-00767-9
- Optimal exercise modality and dose for reducing visceral adipose tissue in overweight or obese adults: a network meta-analysis and dose-response study — Wenjie Xu et al., 2026, BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation. DOI: 10.1186/s13102-026-01793-8
冒頭の写真: 広がる砂丘の斜面を、一人の来訪者が下りながら走っている様子を捉えた写真。(写真: Daniel Schwen / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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