エフェドラとエフェドリンは、効かなかったから姿を消したのか。昔の減量試験とメタ分析をたどり、短期の体重減少と心拍数の増加、少人数の試験では分からない安全性を確かめる。「エフェドラ不使用」の製品でも血圧が上がった研究と上がらなかった研究を比べ、成分表示の読み方を考える。
6か月で体重が5.3kg減った。その一方で、心拍数は毎分4拍増えていた。エフェドラとカフェインを含むハーブ製剤を調べた、167人の無作為化比較試験の数字である。偽薬の群でも体重は減り、心拍数は下がっていた。[9] 体重の結果だけを切り抜けば成功の話になる。同じ試験の心臓の欄を開くと、読むべき話が増える。
エフェドラは麻黄とも呼ばれる植物で、減量試験では、そこに含まれるエフェドリン系の成分とカフェインを組み合わせた製剤が調べられてきた。[9] この歴史を「効かなかった昔のサプリ」として片づけると、効果があっても使い続ける理由にはならない、という肝心な点を見落とす。2007年のレビューも、併用による体重管理の効果を認めつつ、副作用がその方法の実行を妨げると述べている。[10]
後には、禁止されたエフェドラ製品に代わる「エフェドラ不使用」の製品が登場したと、2005年の研究は記している。[4] この記事では、姿を消した背景のうち、減量への効果と副作用の釣り合いを人の試験からたどる。国ごとの規制史ではなく、使用を難しくした安全性の問題が対象である。[10][12]

減量効果はあったが、短い期間の答えだった
2003年のメタ分析は、エフェドラとエフェドリンの効果と安全性をまとめた。メタ分析とは、個々の比較試験の数字を集め、共通の効果の大きさを推定する方法である。減量については、少なくとも8週間追った人の比較試験が対象となった。調べた時点では、治療期間が6か月を超える減量試験はなかった。[12]
偽薬より余分に減った体重は、エフェドリン単独で月0.6kg、エフェドリンとカフェインの併用で月1.0kgだった。推定の幅である95%信頼区間は、それぞれ0.2〜1.0kg、0.7〜1.3kgである。植物のエフェドラでは月0.8kg、エフェドラとカフェインを含むハーブの併用では月1.0kgという推定だった。ただし、エフェドラ単独の推定に使えた試験は1本で、併用の試験と同じ厚みの証拠とは扱えない。[12]
ここでいう「余分に減った」は、服用した群の体重減少の総量と違う。食事への取り組みや研究への参加によって、比べる相手の体重も動く。サプリを使った群の減少量を丸ごと成分の働きにすると、効果を大きく見せてしまう。実際、ハーブ製剤の6か月試験では偽薬の群でも体重が減っている。[9]
月ごとの平均を、そのまま先の年月へ延ばすこともできない。上のメタ分析が示したのは短期の小幅な減量であり、長期の減量データはないという結論だった。[12] 後の試験を読む際も、当時の集計がカバーした期間と、その後に加わった期間を分けたい。
単独なら必ず効く、という結果でもなかった。肥満の外来患者を対象にした1985年の二重盲検比較試験では、食事療法にエフェドリンを加えても、3か月の体重減少は偽薬の群と同程度だった。食事条件は女性が1日1000kcal、男性が1200kcalという厳しいもので、食事療法を共通に行ったうえで薬の上乗せを比べていた。調べた用量のうち高い用量の群では、副作用が偽薬より多かった。[7] 併用製剤をまとめた平均値と、単独投与のこの結果は、区別して残すべき記録である。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
体重と体脂肪、代謝は別々の結果である
「燃える」という言葉には、エネルギー消費、体脂肪、体重という異なる測定が押し込まれやすい。しかし、その全部が同じ方向に動くとは限らない。1992年の試験は、肥満の女性14人に低エネルギー食を用い、エフェドリンとカフェインの組み合わせか偽薬を8週間与えた。体重減少には群の違いがなかったが、併用群は体脂肪をより多く失い、除脂肪量の減少が少なかった。[13]
除脂肪量は、脂肪を除いた体の部分の量を指す。この試験の群間差は、体脂肪の減少で4.5kg、除脂肪量の保持で2.8kgだった。併用群では、食事制限中の1日全体のエネルギー消費の低下も小さく、高い消費は脂肪の酸化でまかなわれていた。[13] 体重だけでは中身の違いを拾いきれないという、興味深い結果である。ただし、少人数の女性の試験であり、この数字を一般の利用者が得る変化として示すことはできない。
逆方向の注意もある。閉経前の肥満女性125人を対象とした2008年の無作為化試験では、低エネルギー食にエフェドラ、別の植物製剤、偽薬を組み合わせて8週間比べた。体格の指標であるBMIはどの群でも下がり、エフェドラ群で最も目立つ低下があった。一方、安静時代謝には、どの群の中にも有意な変化がなく、群どうしの差も見られなかった。[19]
つまり、BMIの結果をもって「安静にしていても消費が上がり続けた」と説明することはできない。この試験では、体格の変化と安静時代謝の結果は分かれていた。[19] 減量製剤の評価では、測っていない仕組みを、もっともらしい言葉で後付けしないことが大切だ。体脂肪の結果を知りたいなら体脂肪を、心臓への負担を知りたいなら心拍や血圧を、それぞれの欄で確かめる。
6か月の試験では、効き目と不調が同居した
冒頭の2002年の研究は、肥満の人167人をハーブ製剤と偽薬に無作為に分け、6か月間追った二重盲検試験である。参加者と評価する側に割り当てを伏せる方法で、体重だけでなく、血圧と心臓の機能も主な測定対象だった。解析には、途中までの最後の測定値をその後にも用いる方法が採用されている。[9]
体重はハーブ製剤群で平均5.3kg、偽薬群で2.6kg減少した。体脂肪もそれぞれ4.3kg、2.7kg減っていた。だが、心拍数はハーブ製剤群で毎分4拍増え、偽薬群では毎分3拍減った。血圧の各指標には小さな変化があり、不整脈が増えたという結果はなかった。[9] 心拍数が上がったという所見と、不整脈が増えなかったという所見は、どちらもそのまま扱う。
本人が訴えた症状にも違いが出た。口の渇き、胸やけ、不眠はハーブ製剤群で増えた。一方、いらいら、吐き気、胸痛、動悸の訴えや、途中で参加をやめた人数には群の差がなかった。著者らは、この条件の試験では重大な有害事象を伴わず減量を促したと結論している。[9] 不眠と心拍数の変化も、この試験が残した結果に含まれる。
この対照は、日常の判断に直結する。体重が減っているときに眠れなくなっても、効果が出ている証拠と受け取ってしまえば、不調を安全性の問題として扱いにくい。少なくともこの試験では、減量と不眠の増加は同じ群で起きていた。[9] 体重の変化と、体調について医療者に伝えるべき情報は、別々に持っておきたい。
2004年の別の無作為化試験では、過体重・肥満の成人102人を12週間比べ、ハーブ由来の複合製剤は偽薬より平均1.5kg多い体重減少をもたらした。血圧、脈拍、有害事象の発生には群の差がなかったが、体脂肪率と脂肪量にも差は見られなかった。[18] 同じ体重の成功でも、体脂肪まで確かめられた成功とは分けて読める。
この複合製剤の試験では、食事と運動の生活習慣を変える働きかけは最小限にとどめられていた。BMIと腹囲にはより大きな減少があった一方、脂肪量の差は確認されなかった。[18] 「生活を変えずに減った」という説明だけでは、体の何が変わったかまで読めない。測定項目を並べてこそ、試験が答えた範囲が見えてくる。
また、安静時代謝を調べた女性の試験では、短期の血液検査や本人の質問票で有意な有害作用は認められなかった。[19] 代謝に群間差がないという結果と、安全性の検査で問題を検出しなかったという結果は、違う問いへの答えである。作用の仕組み、有効性、不調の有無を分けると、同じ製剤の論文の中にも、肯定できる部分と保留する部分があると分かる。
数字で読むエフェドラの試験
月1.0kg:エフェドリンとカフェイン併用で、偽薬より余分に減った体重の集計値。短期試験の推定である。[12]
2.2〜3.6倍:試験を集めて推定した、精神面・自律神経系・胃腸の症状や動悸のオッズの増加。[12]
14日間:健康な過体重成人の小規模試験で、明らかな心血管への副作用が見られなかった観察期間。[3]
約半分:複合製剤の試験で、独立した検査機関が確かめた成分量の、予定量に対する割合。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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