不安が強いと食べ方は変わるのか 体重との関連と運動の研究が示した違い

不安な日に食べ過ぎることと、不安が強い人の体重が増えることは同じではない。成人女性の食行動の調査、肥満と不安のメタ分析、子どもの運動介入を照らし合わせ、関連と原因を区別する。食べる量が減った実験も取り上げ、治療中の人が医師と食事や運動を考えるための手がかりを探る。

不安になると、誰でも食べる量が増えるのだろうか。返事を待つ間に菓子の袋を開ける日もあれば、気がかりが頭から離れず、食事を残す日もある。自分の経験を「不安だから太る」の一言に押し込めると、食べなかった日の説明が消えてしまう。

成人女性を調べた研究では、不安は食べ方と関連したが、体格との関連は認められなかった。[18] 一方、肥満と不安をまとめたメタ分析では、標準体重の人より肥満の人で不安が多いという関連が示された。[19] 食べ方と体重、個人と集団を行き来するところに、この話の難しさがある。

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不安と食べ方は結びついても、体格まで同じ答えにならない

成人女性の調査は、40〜65歳の128人を対象にした横断研究である。横断研究とは、ある時点の状態を並べて関連を調べる方法だ。不安は質問票で、食べ方は感情的な摂食、制御しにくい摂食、意識的な食事制限に分けて評価した。体の側は、身長と体重から算出する体格指数であるBMIと腹囲で見た。[18]

その結果、その時点の不安の強さは、感情に反応して食べること、食べる量を制御しにくいこと、意識的に制限することのいずれとも関連した。ふだんの不安になりやすさは、前の3つのうち、感情的な摂食と制御しにくい摂食に関連した。しかし、不安と栄養状態の関連は見つからなかった。[18]

食べ方の質問に同じ方向の答えが集まっても、体格の比較で差が出るとは限らない。食行動との関連と体格との関連は、異なる結果として扱いたい。研究が別々に測ったものを、読む側も別々に受け取る必要がある。不安から食べ方が変わり、その結果として体重が増えたという時間の流れまで、この調査は確かめていない。[18]

対象者には閉経前と閉経後の女性が含まれたが、生物学的な段階による栄養状態や腹囲の違いは認められなかった。[18] 更年期という言葉だけで、食べ方と不安と体格を一括りにしないための情報でもある。どの年齢の女性にも同じ結果が当てはまると広げず、この年代の集団を調べた結果として読む。

たとえば受診時に「最近太ったので、不安のせいだと思う」とだけ伝えるより、「気がかりがある日は食事を制限するのに、別の場面では量を止めにくい」と具体化したほうが、調査で分けて測った食行動に近づく。これは診断を自分でする作業ではなく、困っている食べ方を医師に伝える際の整理である。[18]

この女性の調査で用いた不安の評価には、その時点の状態としての不安と、普段の傾向としての不安という区別がある。状態としての不安が見られた女性は26.6%、傾向としての不安が見られた女性は53.9%であった。[18] 同じ質問票の中でも、何を尋ねるかで捉える人の範囲が違う。割合の高いほうを選んで「女性の半分以上が不安障害だ」と読み替えてはいけない。ここで集計されたのは質問票で評価した不安である。[18]

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不安障害の女性で見えた、感情への対処との関連

全般不安症と診断された女性を対象に、感情的な摂食を調べた研究がある。ここで調べたのは、不安の診断を受けた女性の食行動と、感情への対処の関係だ。 この調査では女性51人を評価し、すべての質問票を完了したのは34人だった。分析には臨床試験の開始時点の回答を用いた。介入前の状態から関連を探している。[4]

感情的な摂食は、感情を調整する難しさ、心配の強さ、自分の内側の経験を避けようとする傾向と正に関連した。感情調整の難しさとの相関係数は0.593だった。一方、自分をいたわる態度であるセルフコンパッションとの相関は−0.590で、いたわる態度が強いほど感情的な摂食が少ない方向だった。[4]

相関は、異なる指標が一緒に動く程度を表すものである。正負の符号は方向を示す。感情調整の難しさと食べ方が同じ方向、自分へのいたわりと食べ方が反対方向という、指標ごとの関係を表している。[4]

同じ分析では、セルフコンパッションが感情調整の難しさと感情的な摂食の関係を仲介する可能性が示された。[4] 統計上の仲介は、観察された指標のつながりを説明するモデルであり、態度を練習させた治療の成果とは区別する。

感情的な摂食の定義や、うつを含む心理的な苦痛との関係の全体像は、「うつと体重は互いに影響するのか」の記事に譲る。ここでは、全般不安症と診断された女性の回答から、心配、感情調整、自分への態度を分けて捉えた点に注目したい。[4]

全般不安症の女性では、心配の強さとの相関係数は0.402、自分の内側の経験を避ける傾向とは0.565だった。[4] 不安を一つの点数として扱うだけでなく、何が本人の苦しさと食行動をつないでいそうかを分けて探した研究である。すべての質問票を終えた人数が限られている点も含め、この調査は治療で検討する候補を見つける段階に位置付けられる。[4]

肥満と不安の平均的な関連には、研究間の揺れがある

肥満と不安症状の関係をまとめたメタ分析は25研究を含み、肥満の人の不安について、統合したオッズ比を1.30、95%信頼区間を1.20〜1.41と報告した。過体重では1.10、信頼区間は1.00〜1.21だった。[19] 体格の区分が違えば、関連の大きさも同じではなかった。

オッズ比は、比較する集団の間で不安の起こりやすさを表す統計上の指標である。1.30という値を、不安のある人の割合が30ポイント高いと読むことはできない。比較しているのは、標準体重の集団に対するオッズの比である。[19]

著者らは出版バイアスも認めた。つまり、公表された研究の集まり方に偏りがある可能性を含んだ平均である。[19] 性別、不安と肥満の評価法、調整の有無、不安の期間、年齢で分けた解析でも、標準体重に比べて過体重・肥満で不安の頻度が高い方向だった。[19]

さらに、子どもと青年に対象を絞った別の系統的レビュー・メタ分析では、過体重や肥満と不安との関連は認められなかった。含まれた28研究の内訳は、前向きコホートが3研究、横断研究が25研究だった。[12] 前向きコホートは、その後の経過を追う研究である。ここでも、同じ時点の比較が多数を占めた。

この子どもの分析では、肥満は体への不満や低い自尊感情とは関連していた。[12] 心理的な指標なら何でも同じ結果になるわけではない。体への不満があることと、不安の測定で関連が出ることを混ぜると、研究が区別した差が見えなくなる。

対象も評価法も異なる分析を、単純に勝ち負けで選ぶ必要はない。全体の平均に関連が見えた報告と、子どもに絞ると関連が見えなかった報告が並んでいるというのが、ここでの到達点である。[12][19] 成人の集団の数字を、家族の子どもに貼り付ける読み方は避けたい。

信頼区間にも目を向けたい。過体重の分析の下限は、関連のない値に相当する1.00だった。[19] 肥満の分析の結果と同じ強さの証拠として扱うと、この不確かさが落ちる。この分析は体格の区分ごとの比較である。[19] 数値は大きさだけでなく、幅と比較した相手を組にして受け取る。

子どもの分析で、低い自尊感情との関連の統合推定値は、過体重で1.15、95%信頼区間1.00〜1.31、肥満で1.53、1.16〜2.02だった。肥満と体への不満との関連は4.05、2.34〜7.023と報告された。過体重と体への不満には関連が見られなかった。[12] 不安で差が出なかったという結果の隣に、別の心理指標では差が出た結果がある。子どもの気持ちを尋ねる際に、不安、自己評価、体への不満をそれぞれ聞く意味が見えてくる。

数字で読む不安・食行動・体重

128人:成人女性の不安と食行動、体格を同じ時点で調べた人数である。[18]

0.593:全般不安症の女性での、感情調整の難しさと感情的な摂食の相関係数である。[4]

1.30:肥満と不安をまとめた分析のオッズ比。集団間の比較の指標である。[19]

28研究:子どもと青年の体格と心理指標をまとめ、不安との関連を認めなかった分析の規模である。[12]

2,188人:過体重・肥満の子どもと青年の身体活動介入をまとめた分析の参加者数である。[11]

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宮川涼 Founder

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