ランニングとウォーキング、痩せるのはどちらか 同じ距離と消費量で変わる答え

同じ道を走るか歩くかで、消費エネルギーと長期の体重変化はどう違うのか。同じ人を測る実験、体格の異なる集団の比較、大規模な追跡研究を読み分ける。走るほうが有利だった条件と、歩いても同様の健康との関連が見られた条件を整理し、体重計だけで運動を選ばないための視点を示す。

運動靴を履いて玄関に立つ。今日は走るつもりだったが、仕事の疲れが残っている。同じ道を歩いて帰ってきたら、ダイエットとしては手抜きになるのだろうか。距離は同じでも、腕時計に表示される時間と消費カロリーは違う。どの数字をそろえれば、公平な比較になるのか。

この問いに、研究は違う角度から答えている。同じ人が同じ距離を移動する実験では走行の消費が多く、体格の異なる歩行者と走者を比べた実験では、距離当たりの総消費が似ていた例もある。[4][5] 研究がけんかしているように見えるが、出場者と競技規則が違うのだ。

さらに、運動中に使ったエネルギーと、その後の体重は同じ成績表ではない。長期の追跡では走行量の変化と体格の変化に強い関連があった一方、同等の運動量と病気の発症との関連を調べると、歩行と走行で似た結果も得られている。[1][13] まず比較の物差しを分けたい。

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同じ距離なら走るほうが消費するのか

平均的な体力の男女各15人を対象にした実験では、同じ参加者が1,600 mを歩く場合と走る場合を測定した。平均年齢は21.90歳、平均体重は71.01 kgである。歩く速度は毎分86 m、走る速度は毎分160 mに設定され、運動前、運動中、運動後の酸素消費からエネルギーを調べた。[4] 呼吸から消費を測る方法であり、時計の表示を集めただけの比較ではない。

運動中の消費は、歩行が372.54 ± 78.16 kJ、走行が471.03 ± 100.67 kJだった。kJはエネルギーの単位である。運動後の追加消費を含む総消費は、歩行463.34 ± 80.38 kJ、走行664.00 ± 149.66 kJだった。[4] 同じ参加者、同じ距離という条件では、走るほうが多く使った。平均値の対象は若い男女であり、参加者ごとのばらつきも併せて読む。[4]

ただし、この実験は速度を変えている。「同じ距離」は「同じ時間」でも「同じ速さ」でもない。帰宅までの時間をそろえる比較とは、運動に使う時間が異なる。短い時間で移動を終える走行と、長く歩く場合の比較なのだ。[4] 家の周囲の同じコースを使う人には近い問いだが、同じ時間だけ運動する人には別の問いが残る。

運動後の消費が安静時の値に戻るまでの時間は、歩行では10分、走行では15分だった。[4] 「走った後も燃え続ける」という言葉を読むなら、この測定範囲を添えたい。実験が観察したのは運動後30分の回復であり、その数字から翌日まで大きな消費が続くと伸ばしてはならない。[4] 測定の対象は、息が落ち着いた後までを含む短時間の消費だった。

体格による違いを同じ測定条件で調べた実験もある。普段は定期的に運動していない正常体重の女性13人と、過体重または肥満の女性13人が、1.609 kmの歩行とジョギングを別日に行った。実施順は無作為に決められ、歩行は毎秒1.34 m、ジョギングは毎秒2.23 mだった。[7]

正常体重群の消費は歩行280 ± 29 kJ、ジョギング393 ± 46 kJ、過体重・肥満群では歩行356 ± 42 kJ、ジョギング490 ± 59 kJだった。[7] 同じ距離でも運動様式と体格の両方を見る必要がある。過体重・肥満群の歩行の数字だけを、正常体重群のジョギングの数字だけと比べると、種目による差と体格による差が混ざる。

この女性たちは、あらかじめ設定された速度でその距離を連続して走れる人だった。[7] 走り始めたばかりの人、途中で休憩が必要な人まで含めた平均ではない。実験の数字を使うときには、距離や速度だけでなく、参加できた人の条件も隣に置く。その条件を省くと、歩くという選択を不当に低く評価しやすい。

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体格で補正すると比較の結果が変わる

別の比較では、正常体重の歩行者19人、過体重の歩行者11人、マラソン走者20人が、それぞれ1マイルを移動した。歩行者は好みの速度で歩き、走者は最近完走したマラソンの速度で走った。総消費は順に93.9 ± 15.0 kcal、98.4 ± 29.9 kcal、99.3 ± 10.8 kcalと似ていた。[5] 距離だけを見ると、歩いても走っても同じに見える。

ここでの比較単位は、同じ人の運動様式ではなく別々の集団であり、過体重の歩行者は他の群より体重と脂肪量が大きかった。[5] 先の実験で走行の消費が多かったことと、ここで群の総消費が似ていたことは両立する。大きい体を運ぶ歩行と、別の体格の人による走行を比較したからだ。

体重当たりに直すと、消費はマラソン走者、正常体重の歩行者、過体重の歩行者の順に大きかった。一方、除脂肪量当たりでは群の値が似ていた。除脂肪量とは、体重から脂肪を除いた体の部分である。[5] 総量、体重当たり、除脂肪量当たりのどれを使うかで見える差が変わった。「同じ」という言葉の横には、何当たりかが必要になる。

この研究の予測では、体重と性別が消費エネルギーに関わる要因だった。[5] 隣を歩く人と自分の時計が違う数字を出しても、すぐに歩き方の善し悪しに結びつける必要はない。比較の前に体格がそろっているかを問うほうが、研究の読み方に近い。消費の数字には、種目に加えて体格という条件が含まれている。

速度の条件には、さらに例外がある。大学生34人が別日に歩行と走行の速度を段階的に上げる実験では、各人の最大歩行速度の92 ± 2%を超える領域で、同じ速度の走行より歩行の消費が大きかった。[18] 極めて速く歩く条件では、歩行の消費は速度に対して単純な比例では増えなかったのである。

この結果は、普通の散歩がジョギングより常に多く消費するという意味ではない。若い参加者が速度を段階的に上げ、歩行の上限に近づいた場面の結果だ。[18] 楽に歩く条件と、走り出したくなるほど速く歩く条件を同じ「ウォーキング」として扱うと、比較を見失う。歩くという動詞だけでは、運動の内容を指定できない。

同じ消費量でも体重の変化は違うのか

長期の比較に進むと、大規模な観察研究がある。歩行者15,237人と走者32,216人の質問票を使い、開始時と6.2年後の運動量およびBMIの変化を調べた。[1] BMIは身長に対する体重の指標であり、脂肪量そのものを測る成績ではない。参加者が普段選んでいた運動と、その後の変化を追った観察研究である。

運動量はMET・時間/日という尺度で扱われた。METは運動の強さを表し、それに時間を掛けて量として比べている。[1] 距離をそろえた実験とは、ここで物差しが変わる。歩いた距離と走った距離が同じかではなく、質問票から評価した運動による消費量の変化と、体格の変化がどう結びつくかを見ているのだ。

男女とも、歩行者は開始時に走者より体格が大きく、歩行に費やす運動量は走者の走行量より少なかった。[1] 出発点から違う集団である。比較には、日常の食事、運動の選び方、体力などの違いも残る。「同じ消費なら」という問いは、暮らしの条件の違いを含む集団で検討された。

運動量の増加とBMIの低下との関連は両方の種目にあったが、男性および体格の大きい女性では走行との関連が強かった。開始時のBMIが高い側の区分では、同じ運動量の変化当たりで、走行に関連する減量が歩行より90%大きかったと報告された。[1] これは集団内の統計的な関連の比較であり、明日から走れば自分の減量が90%増えるという予測ではない。

数字で読む走行と歩行の比較

1,600 m:同じ参加者が歩行と走行を行った実験の距離。速度は別に設定されている。[4]

372.54/471.03 kJ:その実験の運動中の平均消費。順に歩行と走行であり、運動後の追加消費は含まない。[4]

93.9/98.4/99.3 kcal:別集団による1マイルの平均消費。正常体重歩行者、過体重歩行者、マラソン走者の順である。[5]

6.2年:質問票による運動量の変化とBMIの変化を比較した追跡期間。実験による減量の保証ではない。[1]

92 ± 2%:大学生の実験で同じ速度の走行より歩行の消費が大きくなった、最大歩行速度に対する領域。[18]

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