運動した日はスポーツドリンクが必要なのか。持続的な運動中の水分補給、約1時間の自転車試験で食い違った成績、暑い環境での研究、若者を追った体重の変化を確かめる。競技のための糖の補給と日常の飲用を分け、減量中に飲み物を選ぶときに見る条件を、研究の対象と比較相手から考える。
スポーツドリンクを手に取るとき、求めているのは水分だろうか。それとも、運動の終盤まで動くための糖だろうか。「運動したから」という理由だけでは、その日の飲み物の役割はまだ定まらない。
スポーツドリンクを調べた研究には、血液中の水分の状態を測るもの、走る速さを測るもの、日々の飲用と後の体格を追うものがある。運動中の補給に役立つという結果と、習慣的な摂取が体重増加と関連するという結果は、同じ問いへの正反対の答えではない。使う場面と測った結果が違うのである。[1][7][8]
減量中の読者にとって大切なのは、競技の好成績をそのまま体脂肪の減少へ読み替えないことだ。水分を保つ、運動を続ける、長期の体重を管理する。それぞれの目的に、どの研究が答えているのかを確かめたい。[1][4][8]

水分を保つ働きは、飲み物の分類でも変わる
スポーツドリンクの研究でいう糖質・電解質飲料は、糖とナトリウムなどを含む飲料である。水分補給の評価では、その成分だけでなく、飲料に溶けている粒子の濃さを表す浸透圧にも着目する。持続的な運動中の飲料を比べた系統的メタ分析は、飲み物を低張、等張、高張と、水などの糖質を含まない飲料に分けた。[1]
この解析は28研究、68の飲料処置の効果を集めた。指標は血漿量の変化である。血漿とは血液の液体成分であり、ここでは循環する体内の水分の状態を見るために使われている。運動開始から180分までの変化を、飲料の浸透圧や飲む速さ、代謝率を調整して比較した。[1]
低張の糖質・電解質飲料は、等張の飲料より血漿量を保つ点で有利と評価された。低張と等張の差の推定は2.3ポイントで、90%適合限界は1.1〜3.5ポイントだった。解析では、飲む速さ、代謝率、糖質の性質、電解質の濃度も結果を左右する要因として扱われた。「スポーツドリンク」という大きな分類だけで水との優劣を固定するには、条件が多い。[1]
この解析で分類した低張は浸透圧が275mOsmol/kg未満、等張は275〜300mOsmol/kg、高張は300mOsmol/kg超だった。単位は液体中の粒子の濃さに対応する。解析した糖質・電解質飲料のナトリウム濃度は50mmol/L未満で、水などの糖質を含まない飲料の浸透圧は40mOsmol/kg未満だった。分類には糖質と電解質の両方が関わる。[1]
水分の評価方法を変えると、見えるものも変わる。市販のスポーツドリンクと水を比べた別の実験では、安静時とトレッドミルでの運動時に、標識した水の体内への取り込まれ方を追った。吸収の途中の指標には差があったが、全量の吸収に対応する時間には差を確認できず、調べたスポーツドリンクが水より速く体を潤すとは言い切れない結果だった。[12]
低張飲料の血漿量変化の平均は−6.3%、等張は−8.7%、高張は−7.4%、水は−7.5%と推定された。ここでの有利という言葉は、血漿量の低下が相対的に小さいことを指す。低張飲料を飲めば運動中に血漿量が増える、という意味ではない。低張と水の推定差は1.1ポイントで、90%適合限界は0.1〜2.0ポイントだった。比較相手を等張から水へ変えれば、差の大きさも変わる。[1]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
約1時間でも、成績が上がった試験と上がらなかった試験がある
持久系の訓練を積んだ自転車選手19人が、糖質・電解質飲料と、味と色を合わせた水の飲料を、順序を無作為に変えて試した研究がある。決められた仕事量をなるべく速く終える試験で、糖質飲料のときには所要時間が短縮した。飲料の糖質濃度は7.6%で、成績の改善は2.3%だった。[7]
一方、よく訓練された9人を調べた試験では、約1時間の自転車運動中に6%の糖質・電解質飲料を飲んでも、糖質を含まない対照飲料より時間や平均の出力が良くなるとは確認されなかった。この試験では前日の食事と運動を管理し、運動前に糖を使える状態を整えていた。[4]
差がなかった自転車試験の所要時間は、糖質飲料で62分34秒、対照で62分40秒だった。平均の出力も283.0Wと282.9Wで、統計的な有意差はなかった。参加者には前の24時間の食事が用意され、エネルギーは体重当たり57.4kcal/kg、糖質は9.1g/kgだった。運動中には体重当たり14mL/kgの飲料を与えており、食事と水分を管理した比較である。[4]
球技では、技術のどの部分を見るかで答えが違う
食事を済ませたサッカー選手15人が、糖質・電解質飲料、電解質を含む対照飲料、水を順序を変えて試した無作為化クロスオーバー試験がある。同じ参加者が異なる条件を経験する方法だ。模擬試合中、糖質飲料は加速する動作や後半のドリブル速度などで有利だったが、運動後の認知機能の低下を防ぐ効果は確認されなかった。[5]
この試験の飲み方は、準備運動後とハーフタイムという区切りに合わせていた。12%の糖質・電解質飲料をそれぞれ250mL飲み、ハーフタイムには水を自由に飲める条件も加えた。血液は各前半・後半の前と、運動中15分ごとに採取した。参加者が感じるきつさと腹部の不快感も調べている。[5]
サッカーでは、平均のスプリント速度は水と比べて糖質飲料で2.7%改善した。だが、主観的なきつさは条件間で同程度で、運動中に増えた腹部の不快感にも飲料による違いはなかった。速く動けたことと、楽に感じたことをひとまとめにはできない。血糖は各前半・後半の前と途中に高かった一方、60分時点では27%の低下も起きた。補給した糖と、本人が感じる負担と、実際の動きはそれぞれ別に測られていた。[5]
テニス選手22人を対象にした二重盲検の比較でも、結果は一枚岩ではなかった。糖質・電解質飲料では試合中のサーブ成功率などが良くなった一方、試合の前後に行った技能テストの点数には、飲料による差を確認できなかった。全体のサーブ成功率は糖質飲料で68%、対照で66%だった。[17]
テニスの試合では、糖質飲料の条件で中程度の強度の活動に費やす時間が長く、低い強度の活動時間が短かった。また、選手は試合開始から1時間の時点で、開始前より活発さと緊張感が高まったと報告した。試合は同じくらいの実力の相手と行い、心拍と動きの強度を追い、録画からプレーを分析していた。[17]
サーブの内訳を見ると、最初のサーブの成功率は糖質飲料で65%、対照で61%、アドバンテージ側へのサーブは70%と66%だった。リターンの成功も第2セットで糖質飲料の条件が良かった。ただしサーブやリターンの成功の違いは、血糖の反応や選手の能力とは関連していなかった。[17]
休日のスポーツで終盤の技術を保ちたい人と、体を動かす機会を持ちたい人では、飲料に求めるものも異なる。こうした球技の試験は前者に関係する材料である。普段の生活でスポーツドリンクを飲み続けた場合の体重については、別に長期の情報を見ることになる。[5][8][17]
数字で読むスポーツドリンクの研究
2.3ポイント:低張飲料と等張飲料の血漿量変化の推定差。90%適合限界は1.1〜3.5ポイントだった。[1]
2.3%:訓練された自転車選手19人で、糖質飲料による走行成績の改善幅。[7]
3%超:模擬サッカーの60分以降に見られた、対照と比べたドリブル速度の改善幅。[5]
68%と66%:2時間のテニス試合での、糖質飲料と対照の全体のサーブ成功率。[17]
0.3:女子で1日当たりの摂取単位が多いことと関連した、その後2〜3年のBMI増加の差。95%信頼区間は0.03〜0.54だった。[8]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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