コロナ禍の外出制限と体重変化 増えた人と減った人、在宅生活で分かれた道

外出制限の間、体重は誰もが同じように増えたわけではない。成人の追跡調査、教員や高齢者の活動量、子どもの再開後の変化を手がかりに、間食・座る時間・ストレスとの関連を整理する。在宅勤務そのものを原因と決めず、生活のどこを組み直せるかを考えるための記事である。

通勤用の靴は減らなくなったのに、部屋着の腰回りは以前より気になる。外出を控えた時期を、そんな手触りで覚えている人もいるだろう。ただ、外出制限と体重の関係には、増加という言葉だけでは収まらない幅がある。ブラジルの成人を追った研究では、体重が増えた人と減った人が同じ集団の中にいた。[5]

また、家にいる時間が増えれば、運動が必ず減るとも限らなかった。ベルギーの教員では、身体活動の合計が増える一方、座る時間も大きく増えていた。運動したという実感と、一日の過ごし方は別々に確かめたい。[9]

ここでは在宅勤務の献立の工夫から少し離れ、暮らしの仕組みが急に変わったとき、何が一緒に変化したかを見る。自分を責める材料ではなく、今も残っている生活の変化を見つける材料として研究を使う。

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体重が増えた人の隣に、減った人もいた

ブラジルのNutriNet Brasilコホートは、同じ参加者を時間を追って調べる観察研究である。成人14,259人について、流行が始まる前と約6か月後の自己申告データを比べたところ、2kg以上増えた人は19.7%、2kg以上減った人は15.2%だった。[5]

この並びが教えるのは、外出制限下の暮らしを単一の体重変化で代表させる難しさだ。増加した人がいるという結果は明瞭である。それと同時に、減少した人も相当数いる。増えた人だけを取り上げると、同じ時期に別の方向へ動いた人の経験が消えてしまう。[5]

増加は、男性、教育水準が低いこと、以前から過体重であることと関連し、年齢とは逆方向の関連があった。一方、減少も男性、以前から過体重であることと関連し、年齢とは逆方向だった。過体重という出発点が同じでも、体重の動く方向はそろわなかったのである。[5]

増加と減少に共通する特徴があった点は、この研究の読みどころだ。男性であることや以前からの過体重は、どちらの変化とも関連していた。属性を並べるだけで個人の変化の向きを決めず、実際の体重の経過と生活の変化を併せて考えたい。[5]

また、減少したという結果だけで、その変化が望ましかったと評価することも避けたい。この研究で確かめられた中心は体重の変化であり、本人の狙いや暮らしの満足は別に確かめる事柄となる。体重計の下向きの矢印だけでは、その人がどんな日々を送ったかは分からない。[5]

自分の記憶をたどるときも、増えたか減ったかの次に、生活のどこが変わったかを置くと考えやすい。家で食べる場面、仕事の区切り、買い物に出る機会。これらは生活を振り返るための問いであり、体重の増減量を計算するには、それ以外の情報も要る。人口集団の結果と自分の経緯の間には、聞き取るべき話が残っている。

この研究の「2kg以上」という区切りにも意味がある。集計されているのは、その境界を越えた人の割合であり、体重が少しでも動いた人すべての割合ではない。増加した割合と減少した割合を見て、残る人たちは全員まったく変化がなかった、と考えるのは早い。どの程度の変化を数えた調査なのかを確認すると、見出しの印象に引っ張られにくくなる。[5]

調査の時期も、各人が家で過ごした日数そのものを表してはいない。ブラジルの研究は流行前と約6か月後を比べており、その間の体重変化を報告している。外出制限がどれほど厳しかったか、仕事がどう変わったかを全員一律の条件として割り振った実験とは異なる。期間の数字を、そのまま「家にいた長さの効果」に置き換えないことが、日常へ持ち帰る際の境界になる。[5]

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運動が増えても、座る時間は増え得る

身体活動とは、運動の時間だけでなく、仕事や移動、家事などで体を動かすことも含む。ベルギーの中等学校教員624人を対象にした前向きコホート研究は、外出制限の前から質問票で活動と座る行動を調べた。参加者の77.2%は女性で、平均年齢は43.3歳だった。[9]

制限中、活動の合計は週108分増加していた。その内訳では、家事や庭仕事の活動が週308分、余暇の活動が週131分増えた一方、仕事に伴う活動は週289分、体を動かして移動する時間は週38分減っていた。外で失われた動きを、家の中や余暇の動きが補う構図が見える。[9]

ところが、座る行動の合計は週972分増加していた。仕事に関わる座る時間と余暇の座る時間はともに増え、移動に伴う座る時間は減った。通勤で座る時間がなくなっても、仕事机や自宅で座る時間の増加がそれを上回ったのである。[9]

活動の各項目は別々に推定されており、内訳の増減を足し引きして合計を再現しようとする読み方は避けたい。ここで重要なのは、活動の合計が増えた方向と、座る時間が増えた方向が両立していた点だ。研究では、座る時間の増加は活動時間の増加の約9倍だったと整理している。[9]

たとえば、仕事が終わってから体を動かす時間をつくれたとしても、仕事中や余暇をどう過ごしたかという問いは残る。運動をした日の自分に、座る時間の欄も渡してみる。その発想は、この研究で活動と座る行動が同時に増えた結果に沿っている。運動の実績で一日全体を採点すると、見えにくくなる部分がある。[9]

ただし、教員という職業の結果を、在宅で働く全員の平均にはできない。授業の準備や仕事の進め方は職種によって異なる。この調査が示すのは、外出制限下でも活動が増える人がいて、同時に座る時間が増える場合もあるという具体例である。歩く速さや運動量の優劣を論じる前に、動きがどこから消え、どこへ移ったかを見たい。[9]

教員の調査では、制限直前の2020年1〜2月と、制限中の3〜4月の測定を比較した。さらに2019年9〜10月、11〜12月、2020年5〜6月の測定も解析に用い、ほかの時期の変動を考慮している。活動と座る行動は、妥当性が確認された質問票で把握した。制限前から複数時点を追い、学校のある日常からオンライン授業への移行を捉えた設計だ。[9]

活動の強さ別では、中程度の活動が週217分増えた一方、歩行と強い活動には有意な変化が見られなかった。家事や庭仕事が増えたという結果と合わせると、活動の増加がすべての種類に及んだわけではないことが分かる。自宅で働く読者にとっても、「運動が増えたか」という問いを、実際に増えた動作の種類まで具体化する手がかりになる。[9]

間食とストレスも、暮らしの変化の一部だった

成人の隔離生活と体重増加を扱ったレビューでは、座る行動の増加、身体活動の減少、間食の頻度増加、とりわけ夕食後の間食、飲酒量の増加、水分摂取の減少、感情に反応した食行動、睡眠の質の低下などが、体重増加に関わる特徴として挙げられている。[18]

増えた人についてまとめられた自己申告体重には、隔離開始から2か月で0.5〜1.8kgの増加が報告されていた。ただし、これは体重が増えた成人に限った報告である。増加した人の報告を中心としたレビューの数字であり、先のブラジルの研究における増加・減少の割合とは、分母も問いも違う。[18][5]

間食という言葉も、食品だけの話に閉じない方がよい。夕食後に食べる回数が増えたのか、気分への対処として食べるようになったのか。レビューは両方を取り上げている。同じ菓子を食べていても、いつ、どんなきっかけで手に取るかという生活上の位置は別の問題になる。[18]

北カリフォルニアの成人990人に外出自粛の初期と途中で質問した縦断調査では、活動的な人は活動的でない人より、ストレスが増えたという報告が少なかった。調整済みオッズ比は0.60、95%信頼区間は0.45〜0.81だった。オッズ比は起こりやすさを比較する指標であり、この値をストレスの強さが一定割合下がったという意味には置き換えられない。[15]

同じ調査で、活動的な人は屋外や屋内での身体活動、読書などをストレスへの対処として用いる傾向があった。一方、対処として食べる量や眠る量を増やすことは、活動的でない人に多かった。身体活動や読書を対処に使うことは低いストレスと、テレビや映画、食べること、眠ることを使うことはストレス増加と関連していた。[15]

これは、つらいときに食べた人を責める結果ではない。調査は対処法を無作為に割り振った試験ではなく、ストレスと行動を参加者が答えたものである。強いストレスがあって食べる方へ向かった可能性も含め、順序を決めつけない。使える対処法の候補を増やすために読む方が、暮らしには役立つ。[15]

数字で読む外出制限下の暮らし

14,259人:ブラジルで流行前と約6か月後の体重を調べた成人の人数である。[5]

19.7%と15.2%:同じ集団で、それぞれ2kg以上増加した人と減少した人の割合である。[5]

週108分:ベルギーの教員で増えた身体活動の合計である。[9]

週972分:その教員集団では、座る行動の合計がこれだけ増えていた。[9]

0.60:北カリフォルニアの成人調査で、活動的な人のストレス増加に関する調整済みオッズ比である。[15]

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