事務職の体重 座る時間は減らせたが、腹囲の低下を報告したのは対照群のない歩数の試験

事務職の座る時間は1日1時間ほど減らせる。だが減った分は歩くではなく立つに置き換わり、血圧や体重が動かなかった試験もある。腹囲の低下を報告したのは対照群のない歩数の試験だった。12か月後の戻り方、在宅勤務とBMI、腰の症状、試した人の立ち方まで確かめる。

座る時間を減らす試験の論文を2本並べると、読後感がまるで違う。片方は成功の報告で、もう片方は期待外れの報告である。

英国の役所で机に向かう756人の試験は、昇降デスクを組み合わせた群で、12か月後の座る時間が対照群より1日63.7分少なかったと報告した[2]。机の仕事の271人の試験も、座る時間を対照群より1日1.15時間減らしている。ところが、こちらの結論は血圧が下がらなかった、である[3]。どちらの試験でも、参加者は1時間前後座らなくなった。違っていたのは、何を物差しにしたかだ。

体重を気にする事務職の人には、もう1つ物差しが要る。腹囲である。座る時間が減れば、お腹まわりは縮むのか。論文を順に読んでいくと、腹囲の低下を報告していたのは、ここで読む座る時間の試験ではなく、対照群のない別の種類の試験だった。

机の上でマウスとキーボードを操作している人の手元を写した写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

事務職の勤務中、歩いている時間は7%に届かない

オーストラリアの同じ組織で働く事務職231人(68%が女性、平均45.6歳)の勤務時間を、活動量計で測った記録がある。座っていた割合は78.8%、立っていた割合は14.3%、歩いていた割合は6.9%だった[12]。席からコピー機までの往復も、会議室への移動も、全部足して6.9%である。机に向かうことが仕事の条件である以上、この数字を本人の意志の問題として片づけることはできない。

米国の職場を調べたレビューも、多くの労働者が1日7時間を超えて、主に座る事務の仕事に費やしていると書く[19]。座りすぎと心血管の病気の関連は観察研究で示されてきたが、座ることが原因なのかを無作為化試験で確かめた例は限られている[3]。体重についても、「座る仕事だから太る」と言い切る材料は、ここで読む論文の中にはそろっていない。ここから先は、座る時間を実際に動かした試験を見て、何が動き、何が動かなかったかを分けていく。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

座る時間は、かなり減らせる

出発点になるのは、メルボルンの小さな試験である。26〜62歳の43人(56%が女性)を、無作為化ではなくオフィスのフロア単位で振り分け、4週間の取り組みを行った。組織、職場環境、個人の3つの層に働きかける内容で、対照と比べた職場の座る時間は8時間の勤務あたり125分(95%信頼区間−161〜−89分)減った。減った分の多くは、30分以上続けて座る時間の短縮(73分)だった。短期間で2時間ほど動かせることを示した試験だが、著者らも、人数の多い長期の試験が要ると書いている[5]。

問題は続くかどうかである。同じオーストラリアで14の職場を無作為に2群に分けた試験は、対照と比べた職場の座る時間の差を、3か月後と12か月後で追った。8時間の勤務あたり99.1分だった差は、12か月後に45.4分になっている。半分以下まで縮んだが、消えはしなかった。1日全体の座る時間の減少も、短期と長期の両方で見られた[12]。

冒頭の英国の試験(平均44.7歳、72.4%が女性)は、78の職場の単位を3群に分けた。座る時間を減らすプログラムだけの群、それに昇降デスクを足した群、ふだんどおりの対照群である。12か月後の1日の座る時間は、対照群に比べて順にプログラムのみの群が22.2分、昇降デスクを足した群が63.7分少なかった。机を足すと効果はおよそ3倍になったことになる。どちらの群でも、ストレスや活力に小さな改善が見られ、昇降デスクの群では下肢の痛みも改善した[2]。

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

減った分は「立つ」に置き換わった

ここで、体重を気にする人にとっての分かれ道が来る。座らなくなった時間に、人は何をしていたのか。メルボルンの試験では、職場の座る時間の減少は、ほぼそのまま立つ時間の増加(8時間の勤務あたり127分)に置き換わった。歩く時間の変化は−2分(95%信頼区間−7〜4分)、歩数の変化は−70歩で、どちらも有意ではなかった[5]。2時間座らなくなって、歩く時間は変わらなかったのである。

ほかの試験も同じ絵を描く。14の職場の試験では、立つ時間には効果が出たが、歩く時間には有意な変化も意味のある変化も見られなかった[12]。スマートフォンの通知で立つことを促した56人の試験でも、座る時間は主に立つ時間に置き換わり、歩数は変わらなかった[16]。26本の研究をまとめた系統的レビューは、昇降デスクは全体の座る時間を減らすが、身体活動への効果はわずかだったと整理している[19]。

「座る時間を減らす」と「動く時間を増やす」は、別の介入として読むほうがいい。前者の試験の多くは、後者を起こしていなかった。この区別を外すと、座る時間が減ったという成功の報告を、そのまま体重の話に読み替えてしまう。

血圧と体重は、すぐには動かなかった

物差しを体の数字に替えると、結果は地味になる。血圧を主な結果にした試験は、血圧が高めで降圧薬を飲んでおらず、中強度以上の運動が週150分未満の、机の仕事の18〜65歳を集めた。平均45歳の参加者が、介入か対照に分かれた。コーチング、手首の通知の機器、昇降デスクを使い、1日2〜4時間の座る時間を置き換えることを目標にした試験である。3か月後、対照と比べて座る時間は1.15時間減り、立つ時間は0.94時間増えたが、歩く時間の増加は5.4分だった。変化は主に勤務中に起き、目標には届かなかった。安静時の収縮期血圧の変化の群間差は−0.22 mmHgで有意差はなく、著者らは、勤務中に立つ以外の活動で座る時間を減らす介入を調べる必要があると書いている[3]。

体重を直接見た試験もある。教育機関で働く女性の事務職80人の無作為化クロスオーバー試験は、机の下でこぐ器具と使い方の案内を、8週間ずつの2期で試した。使っている期間の人は、座っていない時間が有意に長いと報告した。しかし体重にも気分にも有意差はなかった[7]。先のスマートフォンの試験でも、12週間で心血管と代謝のリスクの指標に変化はなかった[16]。

どれも3か月前後の試験で、長く続けても動かないとまでは言えない。ただ、数週間から数か月の単位で、座る時間の減少が体の数字に素直に写るという期待は、これらの結果とは合わない。冒頭の英国の試験も代謝の指標を測る計画だったが、要約に載る結果は座る時間と気分と痛みが中心で、体重や腹囲の数字は出てこない[2]。体重が目的なら、座る時間の短縮だけを成果として数えないほうがいい。

腹囲の低下を報告したのは、対照群のない歩数の試験だった

腹囲の結果が現れるのは、歩数計を使った試験である。座る仕事の多い5つの職場の106人が、12週間の歩数の取り組みに参加した。1日の歩数は開始時の平均7,029歩から、およそ4週間で10,480歩の水準まで上がり、そこで頭打ちになった。平均のBMI、腹囲、安静時の心拍数はいずれも有意に下がり、腹囲と心拍数の減り方は歩数の増え方と関連していた。BMIの減り方のほうは、開始時の歩数から予測された。開始時のBMIが高い人も低い人も、歩数の伸びは同じくらいだった[9]。太っているから歩数を増やせない、という見立ては、この試験には当てはまらなかった。

もっとも、この試験には強い注意が要る。対照群はなく、本人の前後を比べている。取り組みを最後まで終えたのは59%で、途中でやめた人の数字は結果に含まれない可能性がある。腹囲がどれだけ減ったかの大きさも、要約からは分からない[9]。題に書いた「腹囲の低下」は、この条件つきの報告である。座る時間の試験と歩数の試験を同じ土俵で比べた研究も、集めた論文の中には無かった。

数字で読む事務職の座る時間と腹囲

  • 63.7分と22.2分: 12か月後の1日の座る時間が対照群より少なかった分。順に昇降デスクを足した群、プログラムのみの群で、英国の756人の試験[2]
  • 125分: 8時間の勤務あたりの職場の座る時間が対照より減った分。無作為化でない43人の4週間の試験[5]
  • 99.1分と45.4分: 8時間の勤務あたりの職場の座る時間の対照群との差で、順に3か月後、12か月後。231人の試験[12]
  • −2分: 8時間の勤務あたりの歩く時間の変化を対照と比べた値で、95%信頼区間は−7〜4分。43人の試験[5]
  • −0.22 mmHg: 3か月後の安静時の収縮期血圧の変化の、介入と対照の差。271人の試験で有意差なし[3]
  • 59%: 歩数の取り組みを最後まで終えた人の割合。対照群のない106人の試験で、腹囲の低下はこの条件つきの報告である[9]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約