子宮筋腫は体重が増えるほどできやすく、痩せれば小さくなるのか。肥満との関連をまとめたメタ分析、超音波で発症と成長を追った研究、成人後の体重増加で結果が一致しなかった研究を確かめる。腹囲や血中脂質、ビタミンDの観察結果も取り上げ、体重管理と筋腫の治療を混同しない考え方を整理する。
健診で子宮筋腫が見つかると、同じ結果票の体重欄まで気になってくる。肥満と筋腫が一緒に見られやすいという観察と、体重を落として筋腫を縮められるという治療の証明には、距離がある。肥満と子宮筋腫のメタ分析が扱ったのは、主に発症や保有との関連だった。[3]
健診の結果に子宮筋腫と書かれ、同じ日に体重の増加も指摘される。そこで両者を結びつけるのは自然なことだ。ただ、超音波を繰り返した研究では、BMIと新たな筋腫の発生との関連は直線にならず、すでにある筋腫の成長との関連も概して小さかった。体格だけから子宮の中の変化を言い当てるのは難しい。[1]

肥満と筋腫の関連を集めても、減量の効果にはならない
子宮筋腫は、子宮の壁に育つ性ステロイドホルモンに依存する良性の腫瘍である。Qinらの系統的レビューとメタ分析は、肥満との関連を調べた22報、24研究を集めた。対象は計325,899人で、筋腫の症例は19,593人だった。複数の観察結果を統合し、個別の調査より広い範囲で傾向を確かめた研究である。[3]
肥満と筋腫の発症・保有との関連を表す統合オッズ比は1.19、95%信頼区間は1.09〜1.29だった。オッズは、該当する場合と該当しない場合の比である。研究ごとの推定値を統合した結果で、正常なBMIとの比較でも、最もBMIが高い群のオッズ比は1.19、95%信頼区間は1.09〜1.31と報告された。[3]
この統合結果には「発症すること」と「調査時点ですでに持っていること」が含まれている。検索対象は1992年1月から2020年5月までで、BMIのほか、18歳からの体重変化、腹囲と腰囲の比、腹囲についても量と関連の形を解析した。BMIとの関連は逆J字形で、体格が大きくなるにつれて一方向に高くなる形とは異なった。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
超音波を繰り返すと、発症と成長を別々に見られる
Harmonらは、米国デトロイトの23〜35歳の黒人・アフリカ系米国人女性1,693人を、5年間にわたり追跡した。20か月ごとに超音波検査を行い、身長と繰り返し測った体重からBMIを求めている。BMIは体格を表す指標で、この研究では追跡中の変化も解析に取り込んだ。[1] 開始時に筋腫のなかった人では、その後に新しく見つかる筋腫を調べた。一方、成長については、受診のたびに同じ筋腫を対応させ、体積の変化を評価した。筋腫がある人の割合だけを見る方法と違い、「できたか」と「大きくなったか」を同じ観察の中で区別できる。診断を受けたという本人の申告だけに頼らず、検査で確認する点も特徴だ。[1] BMIが25未満の群を基準にすると、30以上35未満の群の調整ハザード比は1.37だった。ただし95%信頼区間は0.96〜1.94で、差がない場合の値である1を含んでいる。40以上では0.61、信頼区間は0.41〜0.90だった。ハザード比は追跡中の発生の速さを比べる指標であり、この研究ではBMIの区分によって関連の向きも変わった。[1]
筋腫の成長とBMIとの関連は、多くが小さいものだった。成長は同じ病変の体積を訪問間で比べ、発症とは別のモデルで解析している。著者らは炎症や生殖に関わるホルモンの影響を可能性として挙げ、内臓脂肪と皮下脂肪をより詳しく測る研究を求めている。体重を繰り返し測ることに加え、脂肪の場所やホルモンなどを調べる課題が残った。[1]

成人後の体重増加は、研究によって答えがそろわない
Wiseらの前向きコホート研究は、筋腫の診断歴がなく、子宮のある閉経前の米国黒人女性21,506人を追った。1997〜2001年の追跡で、超音波または子宮摘出で確認された新しい筋腫2,146例が自己申告された。BMIとの関連は逆J字形で、低いところから上がり、より高い領域では下がる形だった。18歳以降の体重増加との正の関連は、出産経験のある女性に限って見られた。[8]
BMIが20.0未満の女性を基準にした発生率比は、25.0〜27.4で1.45、27.5〜29.9で1.47だった。95%信頼区間はそれぞれ1.12〜1.89、1.11〜1.93である。32.5以上では1.21、95%信頼区間は0.93〜1.58となった。基準群のBMIが25未満だったHarmonらの解析と比べる際は、どの体格の群を基準にした値かにも目を向けたい。[8]
この研究の追跡量は70,345人年で、新しい症例のうち1,885例は超音波、261例は子宮摘出によって確認された診断を本人が申告した。参加者には郵送の健康質問票を繰り返し用いている。研究者が定期的に全員を超音波で調べたHarmonらの研究と、診断の把握方法にも違いがある。[8]
一方、BoclinらのPró-Saúde研究では、1,560人を対象に成人後の体重増加と筋腫の有無を調べ、増加量を連続した値や5群に分けて解析した。教育、20歳時のBMI、初経年齢、出産経験などを調整しても、体重増加の群の間に筋腫の有無について目立った違いは見られなかった。この集団では、増加量を連続した値で扱う方法と、群に分ける方法の両方を用いている。[2]
最初のメタ分析では、18歳からの体重増加が最大の群は、変化のない群より筋腫の統合オッズが高く、オッズ比は1.26、95%信頼区間は1.12〜1.42だった。現在のBMIだけを比べる解析に加え、成人後の変化も対象にしている。個別研究では出産経験による違いや明確な関連のない結果もあり、統合値と集団ごとの結果を併せて捉える必要がある。[2][3][8]
腹囲を測った研究と、BMIを測った研究は同じ問いか
北京の健診施設で行われた観察研究は、筋腫のある316人と対照510人の記録を調べた。現在のBMIだけでなく、腹囲、腰囲、腹囲と身長の比、体脂肪量、体脂肪率などが筋腫と正に関連した。体の大きさと、脂肪がどこにつくかを複数の指標で調べた点が、体重だけの比較と異なる。[6] ただし、子宮摘出で筋腫が確認された人に限ると、腹囲、腰囲、体脂肪率との関連は見られなかった。一方、BMIが高く腹囲と腰囲の比も高い女性では、全体と群別の解析で筋腫との関連が強かった。体脂肪率が30%を超える女性でも、高いリスクとの関連が報告されている。[6]
これに対して、Wiseらの大規模な前向き研究では、腹囲、腰囲、腹囲と腰囲の比など、BMIと体重増加以外の身体計測値には関連が見られなかった。北京の健診記録による症例対照研究と、米国女性の自己申告診断を追った研究とで、脂肪分布の結果は一致していない。調査地域に加え、診断の把握方法と研究の型も異なる比較である。[6][8]
数字を読む際には、BMI、腹囲、筋腫の体積という異なる測定値を、ひとつの「お腹の大きさ」にまとめないほうがよい。最初の研究は検査で筋腫の体積変化を追い、北京の研究は体格や脂肪分布との関連を比較した。日常で把握しやすい身体の数字と、医療機関で確認する病変の数字には、それぞれの役割がある。[1][6]
遺伝的背景と体格を組み合わせた研究もある
Giriらは、アフリカ系米国人女性の症例対照データを用いて、遺伝的な祖先由来の情報とBMIが、筋腫との関連にどう関わるかを調べた。主な解析は、筋腫539例と対照794人、別の集団の264例と対照173人を扱っている。単にBMIだけを独立した要因として置くのでなく、遺伝的背景との組み合わせによって関連の強さが変わるかを検討した。[4]
解析では、第6染色体のADTRP付近で、祖先由来の情報と筋腫との関連がBMIによって変わることを示した。この領域では肥満の区分で最も強い関連が得られ、祖先由来の情報についてのオッズ比は0.51だった。一方、同じ領域の挿入・欠失という遺伝的な変異を扱う解析では、肥満の区分のオッズ比は1.66。祖先由来の情報と個々の変異では、比較の対象が異なる。[4]
第2染色体の領域にも、祖先由来の情報とBMIの組み合わせによる関連の示唆があった。さらに、この領域の遺伝的変異とBMIとの相互作用は、欧州系米国人の筋腫1,195例と対照1,164人からなる独立集団でも検出された。著者らは、変えられる要因と変えられない要因が相互に関わる例として位置づけている。[4]
数字で読む子宮筋腫と体格
1.19:肥満と筋腫の発症・保有の統合オッズ比。95%信頼区間は1.09〜1.29。[3]
1.37:BMIが25未満の群に対する、30以上35未満の群の発症の調整ハザード比。95%信頼区間0.96〜1.94は1を含む。[1]
0.61:同じ研究のBMIが40以上の群の調整ハザード比。95%信頼区間は0.41〜0.90。[1]
1.13:LDLコレステロールが1mmol/L高い場合の筋腫のオッズ比。95%信頼区間は1.02〜1.26。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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