PTSDと体重のつながり 性的マイノリティ女性のむちゃ食いと軍人の減量支援

トラウマのストレスと体重の関係を、PTSDと肥満のメタ分析、女性を追った調査、退役軍人の減量支援から確かめる。むちゃ食いとの関連や、減量と症状の改善が同時に起きた研究も紹介する。診断だけで太りやすさを決めつけず、心と体を一緒に支えるための見方を整理する。

性的マイノリティの若年成人女性425人を追った研究では、最初にPTSD症状を測り、12か月後にむちゃ食いと飲酒、24か月後にBMIを評価した。体重だけを測るのではなく、心の症状と食べ方を時間をずらして追う設計である。症状の強さと後のBMIを結ぶ経路として、むちゃ食いが浮かび上がった。[12]

心的外傷後ストレス障害、略してPTSDと肥満を調べた研究では、両者の関連が報告されている。肥満の有無を比べる研究と、体格の指標であるBMIを比べる研究があり、統合した研究どうしのばらつきも大きい。[3][5]

研究の対象は、PTSDの診断や症状がある人の体重と、体重管理の支援である。関連の強さ、食べ方とのつながり、減量支援を受けた後の変化を順に追うと、心と体を一緒に支える際に何を評価するかが見えてくる。[9][10][12]

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PTSDと肥満は、集めた研究でどう結びつくか

肥満の有無を比べた2015年の系統的レビュー・メタ分析は、観察研究13本、計589,781人を統合した。PTSDがある人の肥満の未調整オッズ比は1.55、95%信頼区間は1.32〜1.82だった。オッズ比は、肥満である人とそうでない人の比を群間で比べる指標である。肥満の人が何ポイント増えるか、そのまま表す指標ではなく、群間の比較に使う。[3]

未調整という言葉は、ほかの条件の違いをそろえる前の比較であることを示す。このレビューは、肥満の割合だけでなく、年齢や性別などの人口学的な特徴、臨床面の情報、研究方法も各報告から集めた。研究間の結果を比べる際には、そうした対象と方法の情報も一緒に検討している。[3]

統合結果のばらつきを表す指標は90%と高く、出版バイアスも認められた。研究結果の出方によって公表されやすさが違う可能性があるということだ。一方、肥満の評価方法がより正確な研究だけを取り出した解析でも、オッズ比1.35、95%信頼区間1.05〜1.74と関連は残った。肥満をどう評価したかで解析を分けても関連が残ったことは、統合結果を支える情報のひとつである。[3]

別の2016年のメタ分析は、肥満の有無よりもBMIに焦点を当てた。BMIは体格を表す指標で、この解析にはPTSDのある191,948人と、トラウマ体験のある人または健康な対照者418,690人を含む30本が入った。標準化平均差は0.41、95%信頼区間0.28〜0.54で、PTSDと高いBMIの関連を支持した。ただし、こちらも研究間のばらつきは非常に大きかった。[5]

標準化平均差は、研究ごとの尺度の散らばりを考慮して差をそろえた値である。0.41は体格の差を表す共通の尺度で、単位はkgではない。BMIを扱った解析は、候補の54本を検討し、そのうち30本を統合対象とした。研究間のばらつきの指標は99%に達した。[5]

さらに、このBMIの解析で使われた対照者には、トラウマ体験がある人も健康な人も含まれる。解析には、各研究で効果の大きさが異なることを織り込むランダム効果モデルが用いられた。レビューは縦断研究にも目を向け、特に女性でPTSDと後のBMI増加が結びつく可能性を挙げている。[5]

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女性を追った研究は、時間の順序を確かめた

ある時点のPTSDと体重を並べるだけでは、どちらが先か分からない。この点に踏み込んだのが、ドイツの地域住民を対象とした前向きの追跡研究である。開始時に14〜24歳だった3,021人を対象に、診断のための面接を繰り返し行い、その後の肥満との関係を検討した。[2]

女性では、追跡の途中で確認されたPTSD、または診断の基準を完全には満たさないPTSD症状が、その後の肥満を予測した。オッズ比は3.0、95%信頼区間は1.3〜7.0だった。男性では同様の関連は認められなかった。症状が先にあり肥満が後に確認された点は、同時点の比較から一歩進んだ情報である。[2]

研究では1995〜2005年に4回の評価を行った。10年後までの肥満の累積発生割合は全体で4.3%、女性4.6%、男性4.0%だった。肥満はBMI30以上として扱われた。女性の追跡で得られたオッズ比の信頼区間は1.3〜7.0と広く、関連の推定には幅が残る。[2]

同じ研究の横断的な解析では、女性の生涯のPTSD歴と肥満のオッズ比は3.8、95%信頼区間は1.4〜10.7だった。横断解析は同じ時点の情報から関係を調べる方法である。続く縦断解析では、4年後から10年後の間に生じた肥満を調べ、先行する症状との時間的な順序を検討した。[2]

この追跡研究では、ほかの精神疾患と肥満との関連は前向きの解析で認められなかった。PTSDを精神疾患全般とひとまとめにせず、診断ごとの結果を報告している。地域の若者を追ったこの調査と、すでに体重管理の支援に参加している人の調査とでは、肥満の発生と減量という別の局面を扱う。[2][9]

食べ方と身体活動は、同じ経路なのか

PTSDと健康行動の関連を検討した2018年の系統的レビュー・メタ分析は、条件を満たす29本をまとめた。PTSDのある人では、健康的な食事の調整済みオッズ比が0.95、身体活動では0.91、肥満では1.31だった。95%信頼区間は順に0.92〜0.98、0.88〜0.93、1.25〜1.38である。[15]

このレビューは1980〜2016年に公表された研究を探し、候補1,349本から対象を絞った。現在の喫煙についても調整済みオッズ比1.22、95%信頼区間1.19〜1.26という関連を報告している。研究者は、食事や座りがちな生活、肥満、喫煙が、心臓や代謝の病気との結びつきを部分的に説明する可能性を挙げた。[15]

食べ方をより具体的に調べた研究もある。若年成人の性的マイノリティ女性425人を対象に、最初にPTSD症状、12か月後にむちゃ食いと飲酒、24か月後にBMIを評価した。最初の症状の強さと後の高いBMIとの関連には、むちゃ食い行動を通る統計的な経路が認められた。一方、飲酒を通る同様の経路は認められなかった。[12]

この研究では、むちゃ食いと飲酒を同じ統計モデルに入れ、それぞれを通る間接的な関連を推定した。症状、行動、体格を順に測った結果、関連が見えたのはむちゃ食いを通る経路だった。食事と飲酒をひとまとめの「生活の乱れ」と呼ぶより、どの行動が後のBMIと結びついたかを具体的に捉えられる設計である。[12]

食事の量だけを問われると話しにくいことでも、「食べるのを止めにくい場面がある」という困り方なら伝えられるかもしれない。むちゃ食いという行動に着目した研究は、体重だけの評価では見えない相談の焦点を示している。食べ方と心の症状を別々の失敗として扱わず、同じ診療の中で確かめる理由になる。[12]

この女性の研究では、開始時のBMIが低い人ほど、むちゃ食いを通る関連が強いという探索的な結果もあった。研究者は、むちゃ食いをPTSD症状と後の高いBMIの関係を説明する要因のひとつと位置づけている。相談では、現在の体格の大小に加えて食べ方の困りごとにも目を向ける手がかりになる。[12]

数字で読むPTSDと体重

1.55(95%信頼区間1.32〜1.82):観察研究13本を統合した、PTSDと肥満の未調整オッズ比。肥満の評価がより正確な研究に絞ると1.35だった。[3]

3.0:若い地域住民を追った研究で、女性の先行するPTSD症状と後の肥満を結ぶオッズ比。[2]

425人:性的マイノリティの若年成人女性の追跡研究の対象数。12か月後のむちゃ食いを通る関連は認められたが、飲酒を通る関連は認められなかった。[12]

66%対72%:胃バイパス手術後1年の過剰体重の減少割合。退役軍人のPTSD群と非PTSD群の間に有意差はなかった。[16]

0.91(95%信頼区間0.88〜0.93):PTSDと身体活動との関連を表す統合した調整済みオッズ比。PTSDのある人で身体活動が少ない傾向だった。[15]

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宮川涼 Founder

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