たんぱく質は三食に分けるべきか 筋肉の合成と減量の結果が違う理由を知る

たんぱく質を朝昼晩に均等に分けると、筋肉を守りながら痩せやすくなるのか。短期の筋たんぱく質合成を測った試験、減量中の体組成を比べた試験、系統的レビューを照らし合わせる。夕食に偏る食事を見直す意味と、毎食同じ量にそろえる前に確かめたい総量・対象・続け方を考える。

夕食に約63 g集めていたたんぱく質を朝昼晩へ分けると、筋たんぱく質の合成率が25%高まった。健康な成人8人を対象とした短期試験の結果だ。[2] 朝昼晩の皿が同じ数字になれば、数か月後の体にも違いが出るのだろうか。

食事制限と筋力トレーニングを続けながら減量した成人では、同じ総量のたんぱく質を均等に分けても、夕食に多く配っても、体組成の変化に差が出なかった。[7] このずれが、食卓に持ち帰るべき話の中心である。筋肉をつくる反応が高まることと、数か月後に筋肉や脂肪の量が変わることを、同じ成果として扱わずに読みたい。

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配分を考える前に、何を同じにしたかを見る

たんぱく質の配分とは、ここでは、その日に食べる総量を各食事へどう割り当てるかという意味で使う。たんぱく質を増やす話とも、朝食全体を大きくする話とも区別する。配分研究のレビューは、筋肉に対する配分の影響を総量の影響から十分に切り離せていない点を課題としている。[3]

たとえば、夕食に主菜が集まり、朝食にはほとんどない食生活を見直すとする。夕食の一部を朝へ移せば、総量を保った配分変更に近づく。一方、夕食はそのままで朝に食べ物を加えれば、配分と一緒に総量も変わる。後者で何か良い変化が起きても、「均等に分けたことだけが効いた」とは判断しにくい。研究が切り分けようとしている条件は、家庭でもこのように違ってくる。[3]

総量が体重1 kg当たり1日0.80 g未満の人にとっては、食事ごとの見直しが不足を埋めるきっかけになる可能性がある。Hudsonらのレビューは、摂取量が少ない成人では、配分を整えることが総量を適度に増やす実用的な方法になりうると述べている。[3] 朝に主菜を置くという同じ行動でも、目的が不足の補充なのか、すでに足りている量の再配置なのかで、期待することは変わる。

Hudsonらは、すでに体重1 kg当たり1日0.8〜1.3 gを取る成人についても整理している。この範囲では、配分にかかわらず、筋たんぱく質合成を十分に刺激する量を含む食事が少なくとも一度あることが、筋肉の健康に役立つとする証拠が優勢だった。[3] レビューが分けて考えているのは、摂取量が少ない人と、すでに一定の総量を食べている人である。朝の皿だけを見るより、まず一日全体の量と食事の中身を確かめる順序につながる。

食事全体の比較は「高たんぱく食の種類で痩せ方は違うのか」、朝夕のエネルギー配分は「朝食を多く夕食を少なくするダイエット」の記事に譲る。ここでは、総量をそろえたときに配り方の違いが何を変えるのかに焦点を置く。食べる量を増やした試験と、配る場所を変えた試験を並べてしまうと、答えが必要以上に大きく見えるからだ。[3]

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均等に分けると合成が高まった、成人の短期試験

Mamerowらは、健康な成人男女8人を対象に、食事のエネルギーとたんぱく質の総量をそろえて、配分を変えるクロスオーバー試験を行った。同じ参加者が異なる食事条件を経験する設計である。それぞれの食事期間は7日間で、条件の間には30日間の間隔を置いた。[2]

均等な条件では、朝・昼・夕のたんぱく質が約31.5 g、29.9 g、32.7 gだった。夕食に偏らせた条件では約10.7 g、16.0 g、63.4 gである。比較しているのは、夕食を抜くことでも、朝食に際限なく足すことでもない。同じ程度の総量を、かなり違う形で食事へ割り当てた比較だ。[2]

結果は、均等な条件で24時間の筋たんぱく質合成率が25%高かった。食べ方に慣れた7日目にも差がみられた。[2] 筋たんぱく質合成とは、筋肉のたんぱく質がつくられる反応を指す。この試験はその反応を血液や筋肉の試料で調べている。体重計の数字だけでは見えない、食事に対する体の応答を捉えた研究である。[2]

ただし、25%という数字の主語は合成率だ。「筋肉が25%増える」「体脂肪が25%多く減る」と読み替えることはできない。参加者が長期に減量した結果を測った試験とも異なる。[2] この研究から持ち帰れるのは、配分によって短期の合成反応が変わりうるという知見であり、毎食をそろえた人への減量の約束ではない。

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減量中の試験では、同じ総量なら体組成に差がなかった

日常のダイエットに近い問いを扱ったのが、Hudsonらの無作為化比較試験である。過体重の成人男女41人、平均年齢35歳を対象に、必要量より1日750 kcal少ない食事と、週3日の筋力トレーニングを16週間組み合わせた。そのうえで、たんぱく質の配分だけを群ごとに変えた。[7]

たんぱく質の総量は1日90 g。夕食に偏る群は朝10 g・昼20 g・夕60 g、均等な群は各食30 gだった。介入開始時の体重当たり摂取量は平均で約1.0 g/kg/日である。[7] これは試験で採用された条件であり、読者全員への総量や食事制限幅の推奨とは区別したい。

全体として体重は7.9 kg、脂肪量は6.9 kg、除脂肪量は1.0 kg減った。これらは研究全体の時間に伴う変化で、均等な群だけの成果ではない。配分による体組成の変化の差は認められなかった。[7] 除脂肪量は脂肪を除いた体の量を表す指標で、論文では部位ごとの筋面積も別に評価している。[7]

朝昼晩で均等にするほうが食事を選びやすい人もいるだろう。同じ総量を確保していたこの条件では、均等化による追加の体組成改善は確認されなかった。[7] 食卓では、配分の整い方と体組成の変化を分けて評価したい。

見落としたくないのは、均等に分けた群でも除脂肪量の減少を完全には防げなかった点だ。[7] 配分という工夫に、減量中の体の変化をすべて引き受けさせないほうが、実際の研究に近い理解になる。

この減量試験では、体の部位によっても変化の現れ方が違った。太ももの中央の筋面積の変化は平均0 cm²、ふくらはぎの中央では平均3 cm²の減少だった。手足の除脂肪量は平均0.7 kg、脂肪量は平均2.6 kg減っており、全身の量と局所の筋面積を別々に見る設計だった。[7] 体重が落ちた分をすべて脂肪と呼ぶことも、除脂肪量の変化をすべて同じ部位の筋肉の変化とみなすことも、この測定結果には合わない。

したがって、この試験は減量幅に加え、体の内訳も読みどころになる。体重、脂肪量、除脂肪量、部位別の筋面積という複数の指標について、配分による違いが出るかを問うた点にある。[7] 体重が減ったという全体の結果から均等配分を称賛するのではなく、比べた群どうしに差があったかを見ると、食事の工夫への評価が変わる。

短期試験との比較でも、この測定の違いが役立つ。成人の合成試験は、食事条件を入れ替えて筋肉の試料を採り、体内の反応を追った。[2] 減量試験は、食事制限と運動のある生活を続けて体の量の変化を調べた。[7] 食事直後の体内の動きを詳しく知る研究と、暮らしの中で積み重なった結果を知る研究は、互いを補う。片方の数字だけで食べ方のルールを決めるより、目的に近い結果へ重みを置く読み方ができる。

高齢者でも、均等配分の反応は一様ではない

年齢の違う人に同じ効果が出るかも、確かめるべき点である。Justesenらは65〜80歳の健康な男女24人を、たんぱく質を均等に食べる群と偏らせる群へ無作為に割り当てた。7日間の慣らしに続く3日間の試験で、筋たんぱく質合成と、食事由来の成分が筋肉へ取り込まれる程度を調べた。[8]

測定では、食事のたんぱく質に標識を付け、その成分が筋肉に入る量を追跡した。血液を毎日採り、試験の前後には筋肉の試料も採取している。男女は各12人で、均等群と偏り群にもそれぞれ12人ずつを割り当てた。[8] 食べた成分の行方と、筋肉内でたんぱく質をつくる速度を別々に測り、どちらにも配分差が出るかを問う方法だった。摂取量を聞き取るだけの調査より体内の反応に踏み込んでいるが、観察した期間は慣らし後の3日間である。[8]

筋たんぱく質合成率は、均等な群が1日当たり2.16%、偏る群が2.23%で、有意差はなかった。食事由来の標識成分の筋肉への取り込みにも群間差は認められなかった。[8] 成人の小規模試験で良い反応があったからといって、高齢者にも同じ差が現れるとは限らないことを示す結果だ。[2][8]

均等に分ける仮説を、別の対象と測定条件で検証したところ、優位性が確認されなかったという位置づけである。[8] 対象に加え、食事条件や測定の枠組みも異なり、結果の違いを考える際にはそれらも検討したい。[2][8]

数字で読むたんぱく質の配分

8人:均等な配分で24時間の筋たんぱく質合成が高まった成人の短期試験の参加者数。[2]

25%:その試験でみられた合成率の差。筋肉量や減量幅の差を表す数字ではない。[2]

90 g/日:減量中の比較試験で、両群が摂取したたんぱく質の総量。[7]

16週間:配分による体組成変化の差が認められなかった減量試験の期間。[7]

24人:均等配分と偏った配分で、合成や取り込みに差がなかった高齢者試験の参加者数。[8]

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