むずむず脚症候群と肥満の関係を、観察研究のメタ分析と男女の追跡研究から確かめる。腹囲や体重増加との関連、関連が見られなかった妊娠・透析の研究、ビタミンD強化乳製品の試験を整理し、減量すれば治ると考える前に、自分の体格と睡眠の状態をどう捉えるかを考える。
エクアドルの地域住民を調べた研究では、質問票に答えた人のうち、脚の症状が疑われた人たちが改めて診察を受けた。神経内科医と睡眠の専門医は、質問票による判定を知らされずに確認した。体格と脚の不快感の関係を調べる前に、まず症状をどう捉えるかという段階があったのである。調査では健康行動の聞き取りに加え、空腹時の採血と血圧測定も行われた。[6]
質問票で陽性だった人と、診察後にむずむず脚症候群と診断された人は同じ人数にならなかった。さらに、診断された群には肥満の人が多かったが、ほかの要因を考慮すると体格との明確な関連は残らなかった。夜の不快感を体重だけで説明しようとすると、この過程を飛ばしてしまう。[6]
体重を管理したい人にとって、眠りを妨げる脚の感覚は気になる問題だ。ただ、肥満と病気が一緒に見られることと、痩せれば症状が治まることには距離がある。多くの人をまとめた研究は肥満との関連を示しているが、その中心は人を観察したデータである。自分を責める材料ではなく、どの指標を確かめるかを考える材料として受け取りたい。[5]

むずむずする感覚と、診断された病気を分ける
むずむず脚症候群は、脚を動かしたくなる衝動を伴う不快な感覚で表現される神経の感覚・運動の病気である。大規模な遺伝研究も、この特徴を持つ病気として対象を集めている。「脚が気になる」という日常の表現から研究の数字へ進むには、何を症状として数えたかをそろえることが出発点になる。[19]
米国の女性65,554人、男性23,119人を解析したGaoらの観察研究では、標準化した質問で診断の条件を満たし、さらに月5回以上症状がある人を対象の症例として扱った。女性では6.4%、男性では4.1%が該当したが、糖尿病や関節炎、妊娠のある人を除いた解析である。解析の対象は、これらの病気や妊娠のない男女に絞られていた。診断条件と症状の頻度を合わせて初めて、その研究が数えたものが見える。[2]
先ほどのエクアドルの研究に戻ると、40歳以上の665人のうち、質問票では94人、診察と面接の後には40人が該当した。質問票による拾い上げの後に、専門家の診察による絞り込みが行われた。比較したいのが体重でも、入口にある症状の確かめ方を無視すると、違う人たちの結果を同じものとして並べてしまう。[6]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
肥満との関連は、腹囲にも表れている
Linらが15件、計197,204人の観察研究を統合したメタ分析では、肥満のある成人は標準体重の成人に比べ、むずむず脚症候群があるオッズが高かった。統合したオッズ比は1.44、95%信頼区間は1.31〜1.58である。過体重でもオッズ比は1.29、信頼区間は1.22〜1.36だった。オッズは、該当する人と該当しない人の比であり、この結果を「肥満の人の44%が発症する」と読み替えると意味が変わる。[5]
この統合結果では、肥満の解析における研究間のばらつきを示す指標は62.3%だった。一方、過体重の解析では、この指標は0%だった。男女別の解析では肥満のある女性のオッズ比が1.42、男性が1.19となった。研究者は2017年12月16日までの文献を検索し、研究間の違いを織り込む方法で全体の関連を推定している。[5]
体重に加えて、腹囲にも目を向けたのが先の米国の男女の研究である。腹囲を小さい順に5群に分け、最大の群と最小の群を比較した調整後のオッズ比は1.60、95%信頼区間は1.5〜1.8だった。若い成人期の体格や、その後の体重増加も症状の多さと関連していた。体重の現在値だけでなく、脂肪の分布や体重の履歴も問われた研究といえる。若い成人期として扱われた年齢は18〜21歳だった。[2]

症状のない人を追っても、体格との関連は残った
De Vitoらは、開始時点で症状のなかった女性42,728人と男性12,812人を追った。女性は2005〜2009年、男性は2002〜2008年の観察で、追跡中の糖尿病と関節炎も除外している。体格指数であるBMIが30超の群を23以下の群と比べると、その後にむずむず脚症候群が見られる調整後のオッズ比は1.57、95%信頼区間は1.33〜1.85だった。腹囲の両端の群でも、オッズ比は1.56、信頼区間は1.29〜1.89である。[3]
この研究の強みは、症状のない状態から先へ進む時間の順序を確かめた点だ。年齢、喫煙、身体活動、抗うつ薬の使用などを考慮しても関連が見られた。総コレステロールが240mg/dL超の群を159mg/dL未満の群と比べた調整後オッズ比は1.33、95%信頼区間は1.11〜1.60だった。一方、高血圧のオッズ比は0.90、信頼区間は0.79〜1.02で、有意な関連はなかった。体格、コレステロール、血圧をそれぞれ評価した結果、関連の有無が分かれた。[3]
脚の不快感を血流だけで説明できるか
足の血管と症状の関係を直接確かめた研究もある。Szentkirályiらは、ドイツの独立した3つの住民集団で、足首と上腕の血圧の比を表す指標と、むずむず脚症候群の関係を調べた。この指標は末梢の動脈の状態を見るために使われる。血圧比は最初の集団では自動測定、残る集団ではドプラ超音波で測られ、0.9未満を末梢動脈疾患の目印とした。対象はそれぞれ966人、2,333人、1,269人で、背景の要因を調整した解析では、指標の低さにも末梢動脈疾患にも有意な関連はなかった。追跡した集団でも、開始時の指標は新たな症状を有意に予測しなかった。[13]
夜に脚が気になると、「血の巡りが悪いから」と説明を付けたくなる。しかし、この研究は一般住民で測った末梢の動脈の指標について、その筋書きを支持しなかった。追跡を行った集団では、中央値2.5年後に同じ方法で評価が繰り返された。減量、血流、脚の感覚を一直線につなぐより、症状の特徴と、どの検査で何を評価したかを分ける方が研究に沿う。[13]
不眠と日中の眠気も、別々に評価されている
Yildizらは、肥満のある143人と、肥満のない94人を比べ、脚の症状に加えて眠りや気分の状態を調べた。肥満のある群の平均年齢は40.52歳、比較群は39.76歳で、平均BMIはそれぞれ36.77と25.71だった。肥満のある群では、不眠、不安、抑うつ、睡眠の質に関する点数が有意に高かった。一方、日中の眠気、睡眠効率、寝付くまでの時間には有意差がなかった。同じ眠りに関する評価でも、項目を変えると結果の方向は必ずしもそろわない。[1]
この研究では、むずむず脚症候群の存在は肥満や血管のリスク因子と関連していたが、同時に不眠や気分の問題も調べていた。脚の症状がある人の暮らしを考えるとき、「昼間は眠くないから、睡眠の問題は小さい」と片付けると、実際に評価された別の側面が抜ける。眠気と眠りへの不満を同じ質問で済ませず、何が困っているのかを言葉にする余地がある。質問票で調べた不安や抑うつも、体格の異なる群を比べた評価に含まれていた。糖尿病のある人は除外せず、関節炎と妊娠は除外した研究なので、糖尿病も除いた米国の男女の研究と対象の条件まで同じだと考えないことも大切だ。似た年齢の大人の結果でも、何を持病として含めたかによって、読み取れる範囲は異なる。[1]
数字で読むむずむず脚と体重
197,204人:肥満との関連をまとめた15件の観察研究の参加者総数。[5]
月5回以上:米国の男女の観察研究が症例の判定に使った頻度の条件。受診を待つ回数の基準にはしない。[2]
1.57:症状のない人を追った研究で、BMIが30超と23以下の群を比べた調整後オッズ比。[3]
40人:エクアドルの住民研究で、専門家の診察と面接後に診断された人数。[6]
3つの住民集団:末梢の動脈の指標と症状の関係を、独立した集団で確かめた研究。[13]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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