桑の葉と実のDNJ、量をそろえた抽出物で食後の血糖の上がり方は1〜3割小さく 体重の答えはまだ

桑の葉茶や桑の抽出物は食後の血糖を抑えるのか。成分DNJの働き方、量を変えた試験で食後の血糖の上がり方が1〜3割小さくなった数字、市販品のDNJが約0.1%だった報告、朝と夕方で違った結果、13本のメタ分析、体重を測った試験の少なさを論文で確かめる。

市販されていた桑の製品に含まれるDNJ(1-デオキシノジリマイシン)は、乾燥した製品100gあたり100mgほど、割合にしておよそ0.1%しかなかった。[8] DNJは、桑が食後の血糖を抑える働きの中心とされてきた成分である。[15] 期待の真ん中にある成分が、千分の一しか入っていない。2007年にこの数字を報告した研究者たちは、これでは体に届く量が期待できないと考えた。[8]

彼らは、DNJがいちばん多く含まれる葉を探すところから始めた。品種、収穫の季節、枝のどの位置の葉かでDNJの量を比べ、夏に枝の先のほうから摘んだ若い葉が最も多いことを突き止めた。収穫と乾燥の手順を工夫して、DNJを1.5%含む粉をつくり、それで人の試験を組んでいる。[8]

中身の決まった桑の抽出物を、炭水化物の多い食事と一緒にとった試験では、食後の血糖の上がり方を表す面積が、おおむね1〜3割小さくなっている。[13][14][17][18] では、体重はどうか。こちらを測った試験は、ずっと少ない。食後の山を削る力と、体重を減らす力は、同じ一本の線の上にはまだ並んでいない。

DNJは、糖を分解する酵素の一つに働く

でんぷんや砂糖は、消化酵素で小さな糖に分解されてから吸収される。DNJは、その分解に加わる酵素の一つ、αグルコシダーゼの働きを強く抑える物質である。[8][15] 分解の一段を遅らせれば、腸からブドウ糖が入ってくる速さが落ち、食後の血糖の山が低くなる。そう考えられてきた。[15]

糖の吸収に働くとされる素材には、でんぷんの分解のもっと手前の段階に働くものもある。白インゲン豆の抽出物の話は「白インゲン豆のサプリで糖質はカットできるか 8本の試験が示す体重差と残る疑問」に譲る。桑のDNJの試験には、砂糖50gを飲んだあとの血糖を見たものもあり、でんぷんだけに働くわけではないことがうかがえる。[8]

仕組みを人の体で確かめた試験もある。健康な若い男性12人(平均24.9歳、BMIの平均22.5)が、目印をつけた小麦でつくったかゆを、桑の実の抽出物0.75gを加えて、または加えずに食べた。目印のついた糖の動きを血液で追うと、抽出物を加えた日は、食べた糖の半分が吸収されるまでの時間が平均10.2分長くなり、食後2時間の血液へ糖が入ってくる速さは8.4%落ちた。食後の血糖の上がり方の面積は11%小さかった。[14]

一方で、体が血液の糖を取り込んで使う速さと、肝臓などが自分で糖をつくる量には、有意な変化がなかった。著者らは、食後の血糖を下げる働きは、主に糖が取り込まれる速さを落とすことによると結論している。[14] 桑は糖を燃やすのではない。入ってくる速さをゆるめる。この試験は効果を確かめるために人数をそろえた試験ではなく、探索的な位置づけである点も添えておく。[14]

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量を変えると、抑え方はどう変わったか

量の違いを確かめた試験は複数ある。19〜59歳でBMIが20〜30の大人37人が、マルトデキストリン(でんぷんを分解してつくる糖)50gを、桑の葉の抽出物の半量、ふつうの量、倍の量、または偽薬と一緒にとった。順番を入れ替えてすべてを試す方式で、二重盲検である。[13]

食後120分の血糖の上がり方の面積は、偽薬と比べて、半量で−6.1%(有意差なし)、ふつうの量で−14.0%、倍の量で−22.0%だった。インスリンの上がり方も、半量では有意でなく、ふつうの量で−23.8%、倍の量で−24.7%と抑えられた。量に応じて効き目が増える、教科書どおりの形である。吐き気、腹のけいれん、張り、おならのような胃腸の症状は、どの量でも偽薬と差がなかった。著者らは、桑の葉の抽出物には複数の働き方がありうるとして、さらに研究が要るとしている。[13]

桑の実の抽出物でも、量を細かく刻んだ試験がある。研究者たちは以前、1.5gの抽出物が、米のかゆでとる50gの炭水化物のあとの血糖とインスリンを抑えたことを確かめていた。それを炊いた米で再現し、より少ない量でも効くかを見るために、インドの20〜50歳の健康な男女で84人ずつ、2本の無作為化試験が行われた。1本目では、炊いた米に0.37g、0.75g、1.12g、1.5gの抽出物を加えると、どの量でも食後の血糖の上がり方が22.9〜27.2%、インスリンが14.0〜34.6%抑えられた。2本目では、さらに少ない0.04gと0.12gでは有意な差が出ず、0.37gで血糖が20.4%、インスリンが17.0%抑えられた。[17]

2型糖尿病の人でも確かめられている。薬を使っていない2型糖尿病の大人24人(平均51.0歳、BMIの平均27.5)が、米からとる約50gの炭水化物に、桑の実の抽出物を0g、0.37g、0.75g加えた食事を、順番を入れ替えて食べた。0.37gでは食後2時間の血糖の上がり方の面積が8.2%小さくなったものの、信頼区間は−20.8〜6.6%で0をまたいだ。0.75gでは22.4%小さくなり、インスリンも17.5%抑えられた。血糖の頂点と振れ幅も、量に応じて小さくなっている。有害事象や胃腸の不快感の兆しはなかった。[18]

健康な人で効いた0.37gが、2型糖尿病の人でははっきりしなかった。誰がとるかで、効き始める量は変わりうる。[17][18] この試験は薬を使っていない人が対象で、血糖を下げる薬と重ねたときのことは調べていない。薬を使っている人が桑の製品を食事に足すときは、主治医か薬剤師に相談してからにしたい。

健康な人で実の抽出物を試した2本から見えるのは、効き始める下限と、それ以上増やしても抑え方があまり変わらない平らな部分である。0.37gから1.5gまで、抑え方はおおむね2割台にとどまった。呼気に出る水素の量が有意に増えたのは、1.5gを米のかゆに加えたときだけだった。胃腸の症状の訴えは、どの量でも低かった。[17]

効いているのはDNJそのものか、桑の中の何かか

DNJだけで同じことが起きるのかを確かめた試験もある。健康な大人84人が、50gの炭水化物を含む米の食事に、DNJを2.90mg含む桑の実の抽出物0.75g、純粋なDNJ2.90mg、偽薬のどれかを加えてとった。[15]

桑の木の実と葉を写した写真。ベルギーのマリモンの庭園にある木で撮影
桑の木の実と葉を写した写真。ベルギーのマリモンの庭園にある木で撮影
写真: Jean-Pol GRANDMONT / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons

効き目の比を、米国の食品医薬品局の指針にある、同等性を判定するときの物差しで比べると、DNJだけの効果は抽出物に対して0.903(90%信頼区間0.801〜1.019)で、同等とみなす0.80〜1.25の範囲に収まった。食後の血糖を下げる働きの大部分は、DNJで説明できるということだ。[15]

ただし話には続きがある。偽薬と比べた血糖とインスリンの抑え方は、DNJだけより抽出物のほうがはっきりしていて、血液中のDNJの濃さも抽出物をとったあとのほうが高かった。著者らは、抽出物に含まれる別の成分、たとえば体の中でDNJに変わる前の形の物質も、効き目に加わっているかもしれないと書いている。[15]

量の面から見ても、DNJの多さは効き目と結びついていた。DNJを1.5%含む粉を0.4g、0.8g、1.2g(DNJにして6mg、12mg、18mg)、砂糖50gの前に飲んだ試験では、0.8gと1.2gで食後の血糖とインスリンの上昇が有意に抑えられた。[8] 市販品の約0.1%という数字と並べると、同じ「桑の葉」でも、製品ごとに中身の量が大きく違いうることが分かる。

数字で読む桑の葉と食後の血糖

約0.1%:2007年の報告で、市販の桑の製品に含まれていたDNJの割合。[8]

−14.0%と−22.0%:桑の葉の抽出物をふつうの量と倍の量でとったときの、食後の血糖の上がり方の面積の差。[13]

0.37g:桑の実の抽出物で、食後の血糖の上がり方を有意に抑えた最も少ない量。[17]

0.903:純粋なDNJと桑の実の抽出物の効果の比。同等とみなす範囲に収まった。[15]

13本:桑の製品の無作為化試験をまとめたメタ分析の試験の数。食後の血糖は下がり、空腹時の血糖とHbA1cは変わらなかった。[6]

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宮川涼 Founder

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