教員自身の健康支援と、教員が子どもに行う栄養教育は、別の成果を測っている。教員向けの運動支援試験、保育者の研修、学校の食習慣への介入を読み、筋トレ・歩数・体格の変化を整理する。ストレス研究の計画からはまだ言えないことや、体形を責めずに学校で取り組める行動も考える。
教員104人への運動支援で増えたのは、自己申告による筋トレの時間だった。歩数計で測った歩数には、対照群と比べて有意な変化がなかった。健康を教える仕事をしていても、自分のどの行動が変わるかは、実際に測って初めて分かる。[12]
実際に教員本人を対象にした運動支援では、筋力トレーニングに取り組む時間が増えても、歩数やほかの評価項目まで同じように改善したわけではなかった。一方、幼児教育の担い手を支援した試験には、大人の態度や実践に変化があっても、大人と子どもの体格には効果が見られなかった例がある。[12][8]
先生の健康を支える話を、先生を模範体形に近づける話へすり替えない。そのためには、誰が支援を受け、何が測られた研究なのかを読み分けたい。学校教育と肥満を扱うレビューも、教育だけですべてが解決するとはせず、家庭や地域などほかの担い手の関与を求めている。[16]

教員本人の運動支援では、何が増えたか
教員自身への支援を調べた無作為化比較試験がある。対象は、2型糖尿病と診断されているか、そのリスクがある学校教員104人だ。参加者を、支援を待つ対照群、心理職と運動の専門家による対面支援群、それに技術を使う行動変容支援を加えた群に分けた。対面の支援は3か月間に5回、追加の支援はその後6か月間である。中心となる評価は歩数計による日々の歩数で、腹囲、体格、血糖、血中脂質、自己申告の筋トレ、不安や抑うつも調べた。対照群と比べた歩数の変化には有意な群間の違いがなかったが、開始3か月後の自己申告による月間の筋トレ時間は、対面支援群で136分、追加支援群で145分多く増えていた。[12]
対面支援群では筋トレの改善が9か月時点にも維持された。研究の結論は、自己申告の筋トレが増えた一方、それ以外の副次評価項目には改善がなかったというものだ。不安については改善方向の効果が記されているが、通常の有意差の目安を満たす結果として扱わない。筋トレ時間は本人の回答、歩数は機器による測定であり、測り方も異なる。[12]
この試験で支援の対象になったのは、有酸素の身体活動と筋トレの両方である。測定は3か月後と、主要な評価時点である9か月後に行われた。血圧は上と下の値を測り、血糖も空腹時血糖だけでなく糖化ヘモグロビンを含めて評価している。行動を測る指標と体の状態を測る指標を並べたうえで、変化が認められたのが自己申告の筋トレだったと捉えたい。運動時間の増加を減量幅へ換算することはできない。持病のある教員が運動を始める場合は、自分に適した内容や負荷を主治医に尋ねる。[12]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
ストレスの調査計画を、太る原因の証明にしない
マレーシアの学校教員を追う研究は、生活習慣のリスクが重なる様子とストレス、健康状態の関連を調べる計画として報告されている。質問する内容は、教える仕事の特徴と負担、食事、身体活動、睡眠、痛み、不安や抑うつなどに広がる。健康評価や検体の収集も組み合わせ、将来の健康上の結果を追う設計だ。報告の段階は研究計画であり、教員の生活と健康を継続して調べるための設計が中心である。[11]
調査はマレー半島の6州を対象にし、各州の地区から学校を無作為に選び、参加に同意した学校で条件を満たす教員を募る設計だった。2013年3月に収集を開始し、2014年3月末までに4州で約6,580人が参加したと記されている。質問票には喫煙や飲酒、食事頻度、身体活動に加え、声の不調や慢性の痛みも含まれる。教える仕事の健康を、体格とストレスだけでなく、職業に伴うさまざまな負担から調べようとしていた。[11]
血液検査後には、将来の分析に備えて血液と尿の検体を保存する計画もあった。曝露、つまり生活や仕事で経験する条件と、その後の健康状態を、2年ごとの電話または対面で追う。体重の変化を考える際にも、仕事の負担、行動、心身の状態を一緒に調べるという視野を持てる研究設計だ。[11]
健康状態を知る機会と、その後の行動変化も分けて考えたい。医師と教員を合わせた98人について、体力、体格、血中コレステロールや生活習慣を調べ、その後を質問票で追った研究がある。開始時にコレステロールが高かった人は、食事中の脂肪の割合を減らす傾向があった。しかし、測定した項目の多くでは開始時から6か月後、24か月後への有意な違いはなく、24か月後には健診を受けていない対照群との差も有意ではなかった。教員だけの効果を取り出した結果ではなく、健康を調べる行為そのものに、大きな行動変化を約束させにくい例である。[13]
追跡質問票の回答率は98%と高かった。さらに、2年間に異常な測定値から正常範囲へ移った人数と、正常から異常へ移った人数は同じだった。健康評価を受けた人の中でよくなった例だけを見るのではなく、反対向きの変化や対照群も含めて評価した研究である。気になる結果の解釈は医師に尋ね、生活支援では実行する食事や運動の内容へ話を進めたい。[13]
教員の研修と、教員の減量は違う成果である
オランダのアムステルダムで行われた、幼児教育施設を単位として割り付ける試験では、41施設の教員115人と子ども249人が参加した。健康な食事と身体活動を促すための研修を順次実施し、9か月間調べている。教員の食事指針に関する知識は途中の評価で改善したが、その効果は最終時点まで維持されなかった。健康な生活への態度の一部と、活動について自ら手本を示す実践には改善があった一方、食事に関する実践や、健康行動を促す自信には効果がなかった。教員と子どものBMIにも介入効果は見られなかった。BMIは身長と体重から求める体格の指標で、子どもについては成長を考慮した値も評価している。[8]
この結果では、「知った」「よいと考えた」「実際にした」「体格が変わった」が別々の評価になっている。研修後に授業で使う言葉が変わったとしても、その人の体重が変わった証拠にはならない。逆に、体格の変化が確認されなくても、測った態度や活動の実践に変化があったという結果は残る。研修を評価する側が体重だけで成功を判定すれば、途中で変わったものを取り落とす。知識の改善が続かなかったという結果も、一度説明を聞いたことを、その後の理解の維持と同じ扱いにしないための材料になる。[8]
教員本人を支援することが、教室の環境とどう関わるかを調べた介入もある。ハワイの就学前教育の23教室で、食事の提供や配膳の方針変更、職員の健康づくり、子どもの活動、研修と技術支援を組み合わせた。教員が自分の健康状態や行動について平均以上の改善を報告した教室ほど、教室環境の評価に対する介入効果が大きかったという結果である。ただし、教員の体重を減らすだけの試験ではなく、複数の要素を含む取り組みの中での関連だ。教員を支援の受け手に含める意義を考える材料にはなるが、教員の体形によって教室の良し悪しを説明する結果として扱わない。[2]
数字で読む教員と学校の健康支援
136分・145分:運動支援の2群で、3か月後に対照群より多く増えた自己申告の月間筋トレ時間である。[12]
9か月:幼児教育の教員への介入で、知識の効果の維持や大人と子どもの体格まで評価した期間だ。[8]
23教室:職員の健康づくりと食事の方針変更などを組み合わせた就学前教育の介入規模である。[2]
559人:家族と教員にも情報を届け、子どもの食事と体格を調べた学校試験の参加者数だ。[3]
6週間:体形への受容を扱うオンライン教材の試験で、受講後の態度を追った時点である。[1]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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