知的障害のある人の体重管理 家族と取り組む若者の減り幅は、隔週の維持の支援で1年後まで伸びた

知的障害のある若者の減量を家族ぐるみで支えた試験と、18か月で食事法の差が縮んだ試験から、続ける支援の意味を確かめる。食べ物に関わる行動、有酸素の運動の組み方、支援の職員へ運動を手渡す設計まで、本人を責めずに家族と支援者が使える研究の答えを読む。

知的障害のある若者が体重を減らそうとするとき、たいていその横には家族か、健康教育の担当者がいる。支え方をくじで割り付けて比べた二つの試験は、途中まではどちらも体重の下がる組を生みながら、時間がたつにつれて別の場所に着いた。

家族ぐるみの行動療法を受けた14〜22歳の試験では、半年で平均5.1 kg減り、その後に隔週の維持の支援を続けた人たちは、開始から12か月の時点で、続けなかった人たちより4.4 kg多く減っていた[1]。思春期の若者を18か月追ったもう一つの試験では、12か月で見えていた食事法の差が、18か月にはどの組でも小さな体重の変化に縮んでいた[5]。

対象の年齢の幅も、食事の中身も、追った長さも違うので、どちらかを誤りと決める話にはならない。家族ぐるみの試験は、半年の後に維持の回を残すかどうかをくじで分けて比べた[1]。思春期の若者の試験は、その比べ方をしておらず、18か月目に差が縮んだ理由も要約には書かれていない。研究者は、長い目で見た減量を支える方法を見つける研究がさらに要ると結んでいる[5]。二つの試験の行き先の違いを、半年の後の続け方の違いで説明できるのではないか、というのは二つを並べた私の仮説で、集めた論文の中にそれを確かめたものはない。体重の表の前で、本人ひとりに答えを求める理由は、どちらの試験からも出てこない。

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体重の差は、本人の頑張りだけで説明できるか

学校に通う12〜18歳の生徒を対象にした観察研究では、招待した350人のうち参加に同意した300人を、知能検査の得点で二つの群に分けた。健常の対照群が180人、中等度の知的障害のある群が120人である。中等度の知的障害のある群では、BMI(体重を身長の2乗で割った体格の指数)、腹囲と腰回りの比、腹囲と身長の比がいずれも対照群より高く、身体活動の得点は低かった。脂肪組織から出るホルモンのレプチンなども高い値を示した[3]。

この研究は二つの群を比べた観察で、知的障害が体格の差を生んだのか、運動の少なさが間に入っているのか、別の理由があるのかは切り分けていない。研究者は血液中のミネラルの量にも目を向け、診断の手がかりにできる可能性を挙げているが、体重を下げる方法を試した研究とは性格が違う[3]。体格の差と身体活動の少なさが、同じ生徒たちに重なって見つかった。読み取れるのはそこまでだ。

生まれつきの仕組みの側から見たレビューもある。早い時期から重い肥満が始まり、知的障害を伴う人の遺伝子の調べ方を整理した論文は、原因が一つの遺伝子にある場合から、多くの遺伝子が少しずつ関わる場合まで幅があると述べる。そのうえで、知的障害を伴う肥満の大半を、まれな単一遺伝子の病気を主な原因として説明するのは科学的に乏しいとした[20]。診断名のつく症候群は確かにある。それでも、知的障害を伴う肥満の多くを、一つの珍しい遺伝子の病気として片づけることはできない。

反対に、仕組みの比重がとても大きい人もいる。プラダー・ウィリー症候群では、2〜3歳ごろから食べ過ぎと肥満が始まり、満腹を感じにくい状態には視床下部やホルモンの調節の乱れが関わると考えられている。管理には複数の専門職のチームが要り、薬の臨床試験はいくつも行われてきたが、一貫して効果を示した薬はまだ無い[19]。この症候群の食欲の話は「プラダー・ウィリー症候群の食欲と体重管理 小児試験と成人の減量維持の違い」の記事に譲り、ここでは知的障害全体に共通する支え方を追う。

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家族と同じ輪で受けた、毎週の行動療法

知的障害があり、過体重か肥満の14〜22歳を、6か月の家族ぐるみの行動療法(食事や運動の習慣を変えることをねらった支援)に割り付けるか、順番待ちに回した無作為化比較試験がある。行動療法の期間は毎週、支援の回が開かれた。途中で抜けた人も割り付けたときの組のまま数える方法で分析した結果、行動療法を受けた24人は6か月で平均5.1 kg(標準誤差1.1 kg)減り、順番待ちの13人は同じ6か月で平均1.2 kg(標準誤差1.6 kg)増えていた[1]。

半年の後、参加者はもう一度くじで分けられた。隔週の維持の回を続ける組と、続けない対照の組である。開始から12か月の時点の体重の変化は、維持の組が−7.6 kg、対照の組が−3.2 kgで、維持の組のほうが4.4 kg(標準誤差1.7 kg)多く減っていた[1]。参加者は数十人の規模で、家族が家の中で具体的に何を変えたかまでは、ここからは分からない。それでも、減らした後にも会う回を残した組で減り幅が伸びたという順序は、支える側にとって手がかりになる。対照の組も、開始時より3.2 kg少ない場所にとどまっていたことも付け加えておく。

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食事の量を先に決めた組と、18か月目の縮み

知的障害のある思春期の若者を三つの組に分けた別の無作為化比較試験は、6か月の減量と12か月の維持、合わせて18か月の計画だった。若者は健康教育の担当者と一対一で学ぶ回を、家庭訪問の対面か、ビデオ会議の遠隔で受けた。食事は米国の食事指針に沿った通常の食事か、「ストップライト」という食品の目安に、量をあらかじめ決めた食事を加えた方法のどちらかである。どの組も身体活動を増やし、食事と活動と体重を18か月にわたって自分で記録するよう求められた[5]。

12か月の体重の変化は、遠隔でストップライトの方法を使った組が−7.0%、遠隔で通常の食事の組が−1.1%で、食事の違いによる差ははっきりしていた(p=0.002)。ところが18か月では、同じ二つの組が順に−2.6%と−0.5%になり、差は統計的に明確でなくなった(p=0.28)。体重を測れたのは、割り付けた若者のうち12か月で92人(84%)、18か月で89人(81%)である。研究者自身、知的障害のある若者の長い目で見た減量を支える方法を見つける研究が、さらに要ると結んでいる[5]。

片方の試験で伸びた減り幅が、もう片方で縮んだ理由を、二つの論文から突き止めることはできない。対象の年齢、食事の方法、維持の期間に用意された支援の中身がそれぞれ違い、同じ物差しで並べることはできない[1][5]。言えるのは、12か月の数字だけで支援の終わりを決めると、その先の揺り戻しを見落とすかもしれない、ということだ。

食べ物を取って蓄える行動と、BMIの散らばり

知的障害を伴う遺伝の症候群の一つ、ウィリアムズ症候群の成人82人を調べた研究がある。年齢の中央値は30歳で、18〜69歳までが含まれた。BMIの中央値は27.3で、いちばん低い人は16.7、いちばん高い人は55.5だった。同じ診断名の中に、やせの人から重い肥満の人までが散らばっていたのである[18]。

食事の量そのものとBMIの結びつきは少なかった。肥満の人は、標準か過体重の人に比べて果物と野菜の1日の量が0.15カップ相当少なく、やせの人は0.44カップ相当少ないうえ、食物繊維も1日2.12 g少なかった。BMIと関連していたのは食べ物に関わる行動のほうで、質問票の「食べ物を取って蓄える」の下位得点が1点高いごとに、BMIは0.72高かった。「食べ物のことで頭がいっぱいになる」の下位得点も1点ごとに0.57高い関連が示されたが、この値は統計的に明確とは言えない水準だった。41人の体重の経過を見ると、体重が増えた組は「取って蓄える」の得点の高さと結びつき、食事の量とは結びついていなかった[18]。

この研究は同じ時点の比べ方が中心で、行動を変えれば体重が変わるかを試したものとは違う[18]。台所から菓子が消える、引き出しに食べ物がしまわれている。そうした場面を性格の問題として叱るより、いつ・何が・どこに、という形で家族が言葉にしておくと、医療者に伝えるときの材料になる。

数字で読む知的障害のある人の体重と支援

5.1 kg:家族ぐるみの行動療法を6か月受けた14〜22歳の24人の、平均の体重の減少。同じ期間、順番待ちの13人は平均1.2 kg増えた[1]。

4.4 kg:開始から12か月の時点で、隔週の維持の支援を続けた組が、続けなかった組より多く減らした差。開始からの体重の変化は、順に維持の組で−7.6 kg、対照の組で−3.2 kg[1]。

−7.0%と−1.1%:遠隔の指導を受けた思春期の若者の、12か月の体重の変化。順に、量を決めた食事を加えた組、通常の食事の組[5]。

−2.6%と−0.5%:同じ二つの組の、18か月の体重の変化。組の間の差は統計的に明確でなかった(p=0.28)[5]。

0.72:ウィリアムズ症候群の成人82人で、「食べ物を取って蓄える」の下位得点が1点高いごとに見られたBMIの差。同じ時点で比べた関連の値である[18]。

12本:知的障害のある人の有酸素の運動の効果をまとめた系統的レビューが採用した研究の数。そのうち7本はダウン症の人が対象だった[6]。

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宮川涼 Founder

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