はちみつとダイエットの科学 砂糖を替えて変わる血糖と体重、比較条件で違う答え

はちみつを砂糖の代わりに使うと、体重や血糖はどう変わるのか。少し体重が減った試験と差が出なかった試験を、対象者・期間・糖質量のそろえ方から比べる。食欲ホルモンと実際の食事量のずれ、花の種類による違いも確かめ、健康のために足す前に考えたい食卓での使い方を探る。

同じ糖質50 gで比べたら、はちみつと砂糖で体重の結果は変わらなかった。[6] 甘味料の名前より、比較するときに何を同じにしたかが答えを左右する。はちみつへの置き換えを考えるなら、まずこの数字から始めたい。

この感覚には、試験で確かめられる部分がある。過体重や肥満の人ではちみつ摂取後に小さな体重減少を報告した研究がある一方、糖質量をそろえて甘味料を比べると体重にも血糖の指標にも違いが出なかった研究がある。[9][6] 瓶を替えたことと、体の反応が変わることの間には、比較の条件が挟まっている。

はちみつの味を好んで使うことと、減量のために追加することは分けて考えたい。砂糖に代わる甘味料としての評価を、体重、食後の血糖、食欲の順に確かめていく。運動時の糖の補給や結晶化の話ではなく、普段の食事で甘味料を替える判断が今回の焦点である。

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砂糖の代わりを考えるなら、何をそろえたかを見る

はちみつは、糖を含む食品である。成分をまとめたレビューでは、主な栄養成分は果糖やブドウ糖などの炭水化物とされる。少量のたんぱく質、ミネラル、ビタミン、ポリフェノールなども含むが、組成は花の由来によって変わる。[18] 「天然のもの」という言葉は由来を表す。実際の食べ方を決めるには、それに加えて糖質量や使う量を見ることになる。

比較には、はちみつと砂糖を同じ重さにする方法と、両方から摂る糖質の量をそろえる方法がある。前者は食品として替えたときの差を、後者は糖質量を同じにしたときの差を考える手がかりになる。はちみつも砂糖も同じ量を使った、とだけ聞くと条件がそろったように感じるが、食品の重さと糖質の重さは区別したい。[9][6][18]

例えば、はちみつと砂糖をそれぞれ毎日70 g使った試験と、それぞれの甘味料から糖質を毎日50 g摂った試験は、問うている内容が違う。[9][6] 前の試験で差が出て後の試験で差が出なくても、ただちに片方が誤りと決まるわけではない。対象者や期間とともに、何を等しくしたかが結果の意味を決める。

台所で置き換えるときも、同じ点が残る。ヨーグルトに入れていた砂糖をやめてはちみつを使う場面と、何も入れていなかったヨーグルトにはちみつを加える場面を想像してみる。後者には、取り去った甘味料がない。甘味料の比較試験を、自分の食事にそのまま当てはめる前に、自分は何と何を交換するのかを言葉にしたい。

人の健康への影響を広く検討したレビューも、他の甘味料を置き換える使い方にとくに注目している。ただし、対象は代謝だけに限らず、さまざまな健康上の課題を含む臨床試験である。レビュー全体で好ましい結果が多かったことを、そのまま減量の確実さに読み替えることはできない。[19]

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体重が少し減った試験と、変わらなかった試験

過体重または肥満の55人を対象にした研究では、砂糖を使う群とはちみつを使う群に分け、毎日70 gを最長30日間摂取させた。人数は砂糖群17人、はちみつ群38人であった。はちみつの摂取後に報告された変化は、体重が1.3%、体脂肪が1.1%減少という小さなものだった。[9]

体重計に関心がある読者にとって、これは無視する必要のない結果である。同時に、ここに書かれた減少率は、あらゆる人が同じだけ痩せる予測値とは区別したい。短い期間の限られた人数の結果であり、各群の人数も異なる。体重の減少率について信頼区間は示されておらず、減り方の推定にどれほど幅があるかは、この数字から読み取れない。[9]

対照的なのが、正常な耐糖能の人28人と耐糖能が低下した人27人を対象にした比較試験である。耐糖能とは、ここでは糖を摂ったあとの血糖の処理に関わる状態を指す。はちみつ、砂糖、果糖を含むコーンシロップの順番を無作為に決め、各甘味料から糖質を毎日50 gずつ、2週間摂った。参加者が別の期間に別の甘味料も試す、クロスオーバーという設計である。[6]

この試験では、甘味料による体重の変化は認められなかった。血糖やインスリン、糖への反応を調べた検査の指標にも甘味料間の差は出ていない。さらに中性脂肪は、試した甘味料のいずれでも摂取前から増加した。[6] はちみつだけが、糖質をそろえた条件で体重や代謝の面で優れていた、という結果にはなっていない。

この比較では、甘味料を使う2週間の間に、2〜4週間の休止期間が設けられていた。摂取前後には体重だけでなく、血圧、空腹時の血糖とインスリン、脂質、炎症に関わる指標を測り、ブドウ糖を飲んだあとの反応も調べている。正常な耐糖能の群の平均BMIは26、耐糖能が低下した群は31.5であり、開始時点から後者で体重、血糖、インスリンなどが高かった。甘味料の種類による違いと、参加者の代謝状態による違いを、同じ試験の中で検討した設計である。[6]

正常な耐糖能の群の平均年齢は38.9歳、耐糖能が低下した群は52.1歳であった。[6] 若い健康な人だけの実験より、日々の健診結果が気になり始めた世代にも接点がある。ただし、期間は短い。この結果から長期の影響を確定することも、はちみつが無制限に使えると考えることも避けたい。

両研究から持ち帰れるのは、はちみつに関して小さな体重減少の報告はあるが、糖質量をそろえた別の試験では優位性が確かめられていない、という位置づけである。[9][6] 「痩せた論文がある」だけで終えず、「何と比べたときか」を付け足すと、期待の置き場所が変わる。

血糖の山が低くても、そのまま減量とは結びつかない

健康で肥満のない女性14人を対象にした二重盲検の無作為化試験では、糖質量をそろえた約450 kcalの朝食を使い、はちみつ入りと砂糖入りの食後の反応を比べた。平均年齢は22歳である。はちみつ入りでは血糖の反応が小さく、食欲に関わるグレリンとペプチドYYの反応にも違いが見られた。[1]

ところが、本人が感じた空腹、食事に伴う熱の産生、その後に自由に食べた食事の摂取量には差が出なかった。[1] ホルモンが動いた、だから食欲が抑えられ、だから痩せる。この筋道は理解しやすいが、この試験では途中の食事量の段階まで同じ方向につながっていない。体の中の信号と、皿から実際に消えた量を分けて扱う理由がここにある。

甘い朝食を替えたあと、昼に食べすぎなかった気がする日もあるだろう。ただ、この研究が確かめたのは試験日の反応であり、日常的な摂取で体重が減り続けるかどうかとは異なる。[1] 自分の好みに合う朝食を見つけることには意味があるが、食べた後の印象を、長期の減量が保証された証拠にはしない。

はちみつの種類を変えると、血糖の結果も変わる。健康な11人を対象に、ギリシャの花の由来が異なる6種類を比べた無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、利用できる糖質を50 gにそろえて調べた。血糖の上がり方を比較する指標であるGIは、モミ由来が59、クリ由来が66だった一方、柑橘、ヒース、マツ、タイム由来では70を超えた。[10]

それでも、種類の間で主観的な食欲には違いがなかった。[10] 血糖の指標に差がついたという結果を、満腹感の順位や痩せやすい瓶の順位にまで広げることはできない。はちみつという食品名だけで食後反応をひとくくりにできず、かといって花の名を選べば減量法が完成するともいえない。

成分のレビューでも、はちみつのGIは花の由来によって32〜85と幅があるとされる。[18] この幅は、すべてのはちみつを一律に低GIと呼ぶ説明への反証になる。一方で、店頭の瓶を見ただけで自分の血糖の反応を正確に予測できることまで意味しない。食卓で欲しいのは単純な正解でも、研究は条件つきの答えを返してくる。

家庭で使う少量のはちみつに、この試験の結果をどこまで期待するかも別の問いになる。朝食全体をそろえた実験と、すでに食べ終えたあとに甘い飲み物を追加する場面では、食事の条件が異なる。[1] 研究と同じ食品名が出てきても、食べる状況まで一致しているかを考えると、宣伝の短い説明から抜け落ちた部分が見えてくる。

種類別の試験で参加者に与えたのも、はちみつの重さを同じにした食事ではなく、利用できる糖質の量をそろえた食事だった。[10] このため、家庭でスプーンに同じだけ取ったときの反応を、そのまま比較した数字とは区別したい。量の条件まで読むことは、細部へのこだわりというより、自分の使い方と比べるための入口である。

数字で読むはちみつの比較試験

55人:過体重・肥満の人に、はちみつと砂糖を食品の重さでそろえて比較した研究の対象人数である。[9]

1.3%:その研究ではちみつ摂取後に報告された体重の減少率であり、誰にでも生じる減量幅ではない。[9]

糖質50 g:甘味料間で体重や血糖指標の差が出なかった試験の、毎日の比較条件である。[6]

14人:朝食の試験でホルモン反応は違っても、次の食事量に差が出なかった女性の人数である。[1]

59と66:種類を比べた試験のモミとクリ由来のGIであり、ほかの種類には70を超えるものもあった。[10]

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