痩せれば自分の体を好きになれるのか。ボディイメージと減量・運動の研究から、体格の変化と体への満足が重なる部分と、別々に動く部分を確かめる。ヨガの小規模試験、運動画像との比較、過剰な運動との関連を読み分け、立川で運動を始める大人が見た目だけに追われず続けるための視点を探る。
久しぶりに着た服が楽に入った。それでも集合写真を見ると、自分の姿だけ拡大してしまう。目標に近づいたはずなのに、気になる場所は次へ移る。目標の体重と、写真に写る自分への評価。体の大きさが変わった後にも、評価の物差しは手元に残る。
子どもや若者を対象にした介入研究には、体重に関する指標や腹囲の有意な変化を伴わず、体への満足が改善した例がある。[20] 一方、女子大学生を追った研究では、体への不満と過剰な運動が、後の互いの増加を予測した。[19] 体を動かすことも、体を変えることも、本人の満足といつも同じ方向へ進むとは限らない。
ここでは減量法の優劣より、体の変化を受け止める側に焦点を当てる。空腹の感じ取り方は「空腹を感じ取る力は減量に効くか」、運動を選ぶ動機は「ダイエットのやる気は自分で選ぶと続くのか」の記事に譲り、鏡、写真、運動の場で自分に向ける評価を考えたい。研究で改善したものを確かめるには、体格と、体に対する評価の両方を追うのが出発点になる。[15][20]

体の大きさと、体への評価は別々に確かめる
ボディイメージという言葉を、ここでは自分の体の見え方や受け止め方を考えるために使う。研究では、体への不満、体への満足、体を大切に思う感覚などを別の尺度で調べている。若い女性に行ったヨガの試験も、体への満足だけでなく、体とのつながりや、外見を監視する傾向を個別に測っていた。[18] 「体を好きになった」という日常語の中にも、違う変化が入る。
たとえば、体型に満足することと、外見を気にして繰り返し点検することは、別々に動きうる。ヨガの試験では満足などの指標が改善した一方、体を監視する傾向には有意な変化がなかった。[18] 鏡を見てうれしくなる日が増えることと、鏡で点検する習慣が減ることを、同じ成果として扱うと読み違える。
減量を希望する肥満の女性79人を調べた研究では、体への不満との関連を、自尊感情、からかわれた経験、社会文化的な外見基準の取り込みなどから検討した。自尊感情、成人期のからかい、外見基準の取り込みが、統計解析で不満を予測する要因として残った。[6] 外見基準の取り込みとは、世間で望ましいとされる姿を、自分にも求める基準として抱えること、と考えると場面が浮かびやすい。
これは、周囲の言葉を変えれば必ず不満が消えると確かめた実験ではなく、女性たちの状態の関連を調べた研究である。[6] それでも、体重だけで悩みの全体を説明しようとする見方には問いを投げかける。服のサイズに困っているのか、人に評価されるのがつらいのか。運動を始める前の目標にも、その違いを言葉にしておける。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
減量支援で満足は改善するが、何が効いたかは分けにくい
過体重や肥満の子ども・青少年への治療を扱った系統的レビューとメタ分析は、食事と身体活動を含み、場合によって行動面の支援も加わる介入を集めた。体の受け止め方については40研究、2729人のデータを統合し、介入後の改善を報告している。[15] 単に体重計に乗せた研究の集まりではなく、複数の要素を組み合わせた支援の評価である。
改善の大きさは、標準化平均差0.40、標準誤差0.03だった。[15] 標準化平均差は、異なる尺度の結果を共通のものさしに載せて比べるための値である。満足の改善率とは尺度が違う。標準誤差も、研究全体の効果について示す不確かさの情報であり、参加者それぞれの変化の幅とは区別して読む。
追跡時点でも、16研究を統合した値は0.41、標準誤差0.08で、改善が維持されていた。一方で、研究間のばらつきを示す指標は介入直後73%、追跡時89%と大きかった。[15] 支援を受ける人、方法、測る時期が違えば、平均の数字から離れた結果もありうる。まとまった研究があることと、誰でも同じ程度に変わることを混同したくない。
対象は子どもと青少年で、立川で働く中年の大人とは年齢層が異なる。食事、活動、行動面の支援を組み合わせているため、体重減少だけが満足を改善したと切り分けることも難しい。[15] 減量と心の変化が一緒に起きたときほど、体重以外に何をしていたかを見る価値がある。
同じメタ分析は、自尊感情も別に検討している。自分を価値ある存在として評価する感覚について、49研究、10471人を統合した介入直後の標準化平均差は0.34、標準誤差0.03だった。追跡時は17研究で0.35、標準誤差0.05と、改善は維持された。[15] 体への評価と、自分全体への評価をそれぞれ報告している点も見逃せない。服を選ぶときの悩みが軽くなることと、自分に価値があると感じることを、減った体重だけで代表させると、両者の違いが見えなくなる。
その区別を具体的に示すのが、サウジアラビアの女子生徒を対象にした学校単位の無作為化試験である。介入を完了した138人を調べ、活動、栄養、体の受け止め方を扱う授業と、母親へのセミナーを組み合わせた。年齢に応じて調整した体格指数と腹囲に有意な変化はなかったが、活動や座って過ごす行動、体への満足には改善がみられ、追跡時にも残った。[20]
学校試験の介入は、3か月の間に行う6回の参加型授業と、その後の3か月の追跡で構成されていた。[20] 活動だけ、栄養だけ、外見への考え方だけを単独で試した設計ではない。そのため、どの授業の要素が満足の改善を生んだかまでは決められない。活動と満足の両方が改善していても、活動量が増えたから満足したのか、満足して活動しやすくなったのかを、この結果だけで順番づけることも控えたい。[20] 日常で使うなら、体重の結果を待つ間にも、食事や活動の取り組みと体への評価を同時に気にかける、という視点になる。
ここから読み取れるのは、体格の指標が有意に変わらなくても、満足が改善する場合があるということだ。[20] この授業で減量できたと言い直すと、研究が測った成果を取り違える。体重が止まった期間を振り返るときにも、動きやすい服を選べたか、体を動かす場に参加できたかなど、自分が確かめたい別の欄を設けておきたい。
運動は、内容と向ける注意まで含めて読む
若い女性44人を無作為に分けた試験では、体を肯定的に受け止めるテーマを組み込んだヨガを受ける群と、対照群を比較した。平均年齢は20.21歳で、介入は4セッションだった。終了後と4週間後に、体を大切に思う感覚、体とのつながり、体への満足、肯定的な気分が、対照群に比べ有意に改善した。[18]
ただし、否定的な気分と、体を監視する傾向には有意な変化がなかった。[18] 肯定的な気分の改善と、否定的な気分の変化を別に報告した結果だ。肯定的な変化と否定的な感覚の減少は、研究の上でも別の問いとして扱われていた。
この試験の焦点は、体の受け止め方を意識したテーマをヨガに組み込んだ点にある。[18] 単に動作の名前がヨガだったから、と効果を説明してしまうと、介入の中身が抜け落ちる。どんな言葉で体へ注意を向けたか、外見をどう扱ったかまで含めたプログラムの結果であり、通常のレッスンやホットヨガ全般に同じ効果を広げる根拠には足りない。
若い女性の小規模試験で、追跡は4週間後までだった。[18] 長く続けた場合や、年齢、体格、運動経験の違う人については、その条件を踏まえて距離を置いて読む。試験の回数だけを予定表に写すより、自分が何を評価したいのかを先に考えるほうが、この結果を生活へ持ち帰りやすい。
たとえば運動の帰り道に、「鏡で細く見えたか」だけを問う代わりに、「自分の体を丁寧に扱えたと感じたか」を振り返る。研究が外見以外の指標も測っていたことを参考に、日常での評価の置き方を考える提案である。[18] 体重計の表示には、その日のレッスン中に自分へ何を言っていたかまでは映らない。
数字で読むボディイメージ
40研究・2729人:小児の肥満治療で、体の受け止め方の変化を統合した規模である。[15]
0.40:同分析の介入後の標準化平均差。改善率や減った体重の値とは異なる。[15]
138人:体格指数と腹囲に有意な変化がなくても、体への満足が改善した学校試験の完了者数である。[20]
44人:肯定的な体の受け止め方をテーマにしたヨガ試験の参加者数である。[18]
130人:運動を促す画像と旅行画像の閲覧を比べた、女子大学生の実験の人数である。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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