白いご飯を減らせば痩せるのか。日本の働く人、中国やシンガポールの成人を追った研究では、米の量と体重の関係は一致していない。玄米や雑穀に替える試験の効果と限界も確かめながら、減量と体重増加の予防を区別し、茶碗だけを見て食事を決めないための視点を整理する。
炊飯器を開けるたび、ご飯をどこまで減らせばよいのか迷う。家族と同じおかずを食べながら、自分の茶碗だけを小さくする。手を付けやすい変更である分、体重が思うように動かないと、その茶碗が責任を背負いがちだ。
日本の研究が追ったのは、1年間で3kg以上の体重増加。中国の研究では、米を多く食べる群で体重増加が少なかった。[1][9]
日本の働く人と中国の成人を追った結果は、単純な「米の量が多いほど太る」という説明には収まらない。[1][9] 茶碗に入っているのは米だけでも、研究で追っているのは暮らし全体を持つ人間である。
この記事で考えたいのは、白いご飯を禁止するかどうかより、減らしたあとに何を食べるか、そして何の変化を期待するかだ。長年の体重増加を小さくする研究と、すでに増えた体重を減らす試験を分けて眺めると、食卓で選べる変更も見えやすくなる。[3][20]

白米の量と体重増加は、日本と中国で答えが違う
日本の工場で働く437人を対象に、食事や生活習慣と健診の情報を使って体重を追ったコホート研究がある。コホート研究とは、人々の習慣を調べ、その後に起きた変化との関連を追う研究である。この研究が調べたのは、1年間で体重が3kg以上増えたかどうかだった。[1]
白米を食べる人を摂取量で分けると、多い群は少ない群より、この体重増加が起きるリスクが高かった。年齢、性別、ほかの肥満に関係する食べ物の摂取を考慮しても関連は残った。一方、玄米・雑穀米を食べる群では、摂取量が多い人と少ない人の間に有意なリスク差がなかった。[1]
ここから得られるのは、日本の働く人で白米の量が体重増加と結び付いたという情報だ。白米を減らすよう割り付けた試験ではなく、減らせば何kg痩せるかを直接測ってはいない。玄米・雑穀米についても、ここで示されたのは摂取量の多い群と少ない群の比較である。[1]
対照的なのが、中国の成人1231人を2002年から2007年まで追った研究である。米を1日401g以上食べる群は、200g未満の群より体重増加が少なく、差は−2.08kg、95%信頼区間は−2.75〜−1.41kgだった。主食の中で米が占める割合が大きいことも、体重増加の少なさと関連した。[9]
この−2.08kgを「米を増やして痩せた量」と読むと、話が変わってしまう。研究が比べたのは生活の中で異なる量の米を食べていた人たちの体重変化であり、米を増やす介入の成績ではない。しかも同じ研究で、米の摂取量は空腹時血糖の上昇と正の関連を示した。体重増加が少ない側に、血糖についての望ましい結果までそろっていたわけではなかった。[9]
中国の研究では、米を1日401g以上食べる群は200g未満の群に比べ、高血圧のリスクが42%低かった。一方、米の量と高い中性脂肪の発生には関連がなく、メタボリックシンドロームの発生にも関連はみられなかった。[9] 血圧、血糖、体重という別々の項目が、それぞれ異なる方向を示していたのである。
調査の対象は20歳以上で、食べ方は食品ごとの摂取頻度を尋ねる質問票で評価した。体重だけでなく、身長、腹囲、血圧、空腹時の血糖と脂質を測っている。主食の中で米の割合が10%増えることは、体重増加が0.28kg少ないこと、高血糖のリスクが22%高いこと、高血圧のリスクが9%低いことと関連した。[9] 米の総量と、主食のうち米が占める割合の両方を扱っている点も、この研究の特徴だ。
日本と中国の結果を、どちらかが正しくもう片方は間違いだと片付ける必要はない。対象者も食事の組み立ても、調べた期間や体重変化の捉え方も異なる。[1][9] 普段の食卓に引き寄せるなら、ご飯の盛りだけを見て結論を出す前に、その食事のおかずや、別の時間に食べているものにも目を向けたい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
「減らす」と「置き換える」は違う問いである
白米の量を変えるとき、茶碗から減った分の行き先は人によって違う。主菜を増やす人も、野菜を増やす人も、食後の別の食べ物で埋める人もいる。「ご飯を減らした」という言葉だけでは、食事全体がどう変わったのかが抜け落ちる。この違いを具体的に検討したのが、シンガポールの成人を追った研究である。[20]
対象は中国系、インド系、マレー系の21〜65歳の3064人で、平均追跡期間は6.0年だった。食事の変化と体重変化の関連を、社会人口学的な条件や生活習慣を考慮して分析したところ、白米の摂取が1日当たり1サービング増えることは、体重が0.25kg多く増えることと関連した。[20]
サービングは研究で使う食品の摂取単位である。この数字を、家庭の茶碗を使った「ひと盛り増やすと必ず増える体重」に翻訳することはできない。研究の数字は、集団で食事が変わったときの関連の大きさを示している。家庭の茶碗へ移す際には、まず研究での摂取単位と普段の盛りの違いを考えたい。
さらに重要なのは置き換えの分析だ。白米を1日1サービング減らし、その代わりに全粒穀物を食べる場合、体重増加が0.68kg少ない関連があった。野菜への置き換えでは0.33kg、皮なしの鶏肉では0.79kg、卵では0.87kg少ない関連だった。[20] 各食品への置き換えを統計的に評価した値として読むのが、この比較の前提だ。
食事の質は、印象だけで評価されたわけでもない。研究者は食事摂取頻度の質問票で食べ方を調べ、2種類の食事の質の得点を使った。一方の得点が5点改善すると体重増加が0.34kg少なく、もう一方では10点の改善で0.35kg少ない関連があった。体重と腹囲は健診で測定され、食事の変化と腹囲の変化にも同様の関連がみられた。[20]
数値を比べて「卵が最強」と順位を付けるより、白米を何に替えるかによって関連が違うことに注目したい。研究では食事の質の改善も体重増加の少なさと関連していた。[20] ご飯だけを抜いて食事の残りを見ない方法と、主食・主菜・野菜の関係を組み直す方法を、同じ変更として扱うのは粗い。
例えば、弁当のご飯を残すことだけを目標にすると、変更の成否は残した量で決まってしまう。置き換えとして考えるなら、何を残し、代わりに何を選び、食事全体がどうなったかまでが対象になる。選んだ食品の名前に加え、白米と入れ替えたのか、食事に足したのかまで確かめると、研究の問いと自分の変更を対応させやすい。[20]
この研究は、減量の速さを示す資料としてよりも、年齢を重ねる中での体重増加をどう抑えるかを考える資料として役立つ。平均6.0年の追跡で捉えた食事の変化は、年単位の体重管理を考えるための情報である。[20]
米の種類を替える試験では、差はどこまで確かか
生活の中での関連を追う研究に対して、白米と玄米を割り付けて比べる試験は、米の種類を変更した影響に近づける。成人を対象としたランダム化比較試験、つまり参加者を無作為に群へ割り付ける試験を集めた系統的レビューとメタ分析がある。この論文では13試験を採用し、複数の試験の結果をまとめて差を推定するメタ分析を行った。[3]
体重の統合結果に使われたのは6試験で、玄米は白米に比べて平均1.63kg体重が低く、95%信頼区間は−2.15〜−1.11kgだった。腹囲では5試験を統合して−2.56cm、95%信頼区間は−4.86〜−0.26cmだった。[3] 玄米への変更に、体重や腹囲で有利な可能性を示す数字である。
ただし、この分析は結果の確かさを低い、または非常に低いと評価している。体重の結果では、研究間のばらつきを表す指標が97%と大きかった。[3] 平均の差が出たことと、似た結果が安定して再現することは別の問題だ。異なる試験を束ねた平均を、家庭の炊飯器で再現する予約表にはできない。
また、通常の玄米をまとめた分析では、脂質や血糖の指標に有意な効果はなかった。発芽玄米では別の結果も報告されており、米の加工や種類をひとまとめにする読み方にも注意が要る。[3] 今回の中心は白米の量と体重であり、全粒穀物一般の性質や食後血糖の詳しい仕組みは、「全粒穀物とダイエット、白米を玄米に替える前に知りたい体重と満腹感の研究」と「GI・GLとダイエットの科学」の記事に譲る。
数字で読む白いご飯と体重
437人:日本の働く人を追い、1年間の3kg以上の体重増加を調べた対象者数。[1]
−2.08kg:中国の観察研究で、米の摂取が多い群にみられた体重増加の少なさ。米を増やした試験の減量値とは異なる。[9]
0.25kg:シンガポールの観察研究で、白米が1日1サービング増えることと関連した体重増加の差。[20]
−1.63kg:玄米と白米を比較した6試験の体重差の統合値。根拠の確かさは低い、または非常に低いとの評価だった。[3]
−0.23kg:有色米の長期摂取について、3試験をまとめた体重差。大きな減量を示す数字ではない。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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