ゲーミフィケーションで運動は続くか アプリの達成と本当に動いた量を分ける科学

ポイントや家族の協力で歩数は増えても、アプリの利用日数だけでは運動量を判断できない。ゲーミフィケーションの試験から、介入終了後に残る差、効果が出なかった研究、体重や体脂肪との違いを確かめる。順位やバッジの達成に追われず、実際に動く行動へつなげる仕掛けの選び方を考える。

歩数の画面には立派なバッジが並んでいる。先週より順位も上がった。それなのに、思い返すと椅子から離れた場面はあまり増えていない。画面の中の達成感と、体が実際に動いた量は、同じようには進まないことがある。[14][15]

反対に、家族と達成状況を共有するだけの小さな遊びが、歩く量の上乗せにつながった試験もある。[7] 大切なのは、ゲームが好きかどうかだけで決めず、何を数え、誰と比べ、仕掛けが終わった後に何が残ったかを見ることである。

ダイエットのために始める場合も、まず運動行動の変化を確かめたい。身体活動を増やす研究と、体重減少を確かめる研究では、答えている問いが違う。[11][13] 本記事では、体を使ってゲームを操作する方法よりも、日常の歩行にポイントやレベル、協力のルールを重ねる方法に焦点を当てる。

隣り合って座る二人の手元と脚片方が持つタブレットに表示された神経衰弱のゲーム画面 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

ゲームの仕掛けは、日常の行動に重ねられる

ゲーミフィケーションとは、ゲーム以外の場面にゲームの要素を取り入れることである。運動の研究では、目標を達成したらポイントを得る、レベルが進む、仲間と協力する、といった設計が使われている。[7][11] 運動そのものを対戦競技に変えなくても、歩いた結果に別の意味を与えられる。

たとえば「今日は歩こう」という曖昧な予定を、家族と共有した目標に置き換える。達成が自分の画面だけで終わらず、家族の進み具合にも関係する。こうした協力や支え合いを促す設計を試したのが、地域で暮らす家族を対象とする試験である。[7] 単に画面をにぎやかにする話とは、少し性格が異なる。

ここで区別したいのは、測る道具と、測った結果に意味を持たせる仕掛けだ。家族の試験では、比較対象の人たちも歩数を測り、目標を決め、達成状況の連絡を受けていた。その上にゲームのルールを足す価値を調べている。[7] 機器を持つこと全般の評価は既存の機器・アプリの記事に譲り、ここでは仕掛けを足した差を見る。

選ぶときの問いも具体的になる。「このアプリは楽しそうか」に加え、「どの行動をすると達成になるか」を確認するのである。画面を開くこと、順位を見ること、目標まで歩くことは、それぞれ別の行動だ。実際、ゲーム付きのアプリで利用日数が増えても、歩数目標の達成日数には差が出なかった分析がある。[14]

だから、バッジが増えた日を否定する必要はない。ただ、そのバッジが散歩の結果なのか、画面の操作の結果なのかを見分けたい。歩行を増やす道具として使うなら、評価したい対象は手元の操作より、外に出た行動である。この区別は、利用の多さと客観的な身体活動がそろわなかった試験を暮らしに置き換えるための視点となる。[15]

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平均では活動量が増えるが、比較相手で差が変わる

全体像を示すのは、ランダム化比較試験を集めた系統的レビューとメタ分析である。ランダム化比較試験は参加者を無作為に振り分けて方法を比べる研究で、メタ分析は複数の試験の結果を統合する手法だ。身体活動を扱った16研究、2407人の統合では、ゲームの仕掛けによる効果は小から中程度だった。[11]

異なる測定方法を共通の尺度にそろえた効果量は0.42で、95%信頼区間は0.14〜0.69である。[11] 信頼区間は推定の不確かさを示す範囲だ。この0.42は歩数や減量の割合ではなく、体重が同じ割合で減ると読むこともできない。統合された結果が指すのは身体活動の変化である。[11]

比較相手を見ると、評価はさらに明確になる。待機している人など、活動を促す介入を受けない群との比較では効果量0.58だった。一方、ゲーム要素を含まない身体活動の介入を受けた群との比較では0.23となる。[11] すでに目標や働きかけがあるところへ遊びを加える差は、何もしない相手との比較より小さかった。

これは、日常の選び方にもつながる。すでに歩数を確認し、自分に合う目標で歩けている人が仕掛けを追加するとき、期待したいのは今の方法からの上乗せである。宣伝で示される大きな変化が、何と比べた変化なのかを確かめたい。研究でも比較条件によって大きさが違っている。[11]

また、介入終了後、平均14週間の追跡での効果量は0.15と、介入中より弱かった。[11] 始めるきっかけとして役立つことと、外からの働きかけがなくても同じ量を続けられることは分けて見るべきである。始めた時期の好調さだけを基準にすると、後の自分に厳しい採点をしやすい。終了後の数字まで含めて期待を置くほうが、研究の姿に近い。

統合研究では成人と若者、健康な人と慢性疾患のある成人を分けた比較でも、効果の統計的な差は確認されなかった。年齢、性別、体格指数による効果の変わり方も明確には見つからなかった。[11] ただし、これはどの人にも同じように効いたという意味にはならない。群を分けて見ても違いを捉えられなかったという結果であり、個々の暮らしに合う方法がすでに確定したわけではない。

日常では、仕掛けの有無だけでなく、もともとの支援も比較するとよい。家族から声をかけてもらう方法と、ひとりで歩数だけを見る方法なら、人の支援まで一緒に変わる。ゲームのルールだけの違いを知りたい場合は、目標や連絡の条件をそろえた試験が手がかりになる。[7] 新しい機能を試す際にも、すでに役立っている習慣を何まで変えるのか、一度立ち止まって考えたい。

家族と協力する試験では、終了後にも差が残った

家族の協力を組み込んだ試験には、94家族、成人200人が参加した。平均年齢は55.4歳で、女性が56.0%だった。ゲームを使う期間は12週間、その後も12週間追跡している。[7] 学生だけの実験と比べ、家族のいる大人の生活を考える際に参考になる対象である。

全員が普段の歩数を把握し、増やす目標を自分で選び、日々の達成状況について連絡を受けた。ゲーム群には、目標達成に応じたポイントとレベルが加わった。設計の狙いは家族内の協力、互いへの責任、支え合いを促すことだった。[7] 競争で相手を追い抜く以外にも、人とつながる仕掛けはある。

介入中、ゲーム群の普段からの歩数増加は1661歩、比較群は636歩だった。条件を調整した群間差は1日953歩、95%信頼区間は505〜1401歩である。[7] この数値はゲーム群全員に同じだけ増えた保証ではなく、群を比べた平均の差として捉える。

目標を達成した日の割合も、ゲーム群0.53、比較群0.32だった。[7] 目標を達成したかという指標と、実際に何歩増えたかという指標が同じ方向を示した点が、この試験の読みどころだ。画面上の進行だけでなく、歩行行動の変化にも結びついている。

終了後にはゲーム群の活動量は下がったが、普段からの増加量を比べた調整後の群間差は1日494歩、95%信頼区間170〜818歩で、比較群を上回っていた。[7] 続いた部分と小さくなった部分が同居する結果である。「仕掛けを外しても全部残る」とも「終われば全部消える」とも言い切れない。

一方、肥満のある母親と10〜16歳の子ども39組を対象にした9週間のランダム化試験では、自己記録にゲーム要素を加えても、母親にも子どもにも歩数の上乗せは確認されなかった。[4] 家族という共通点だけで同じ結果を予想するのは難しい。家族を誘うこと自体より、対象とルールを含む組み合わせで判断する材料である。

この試験では母親の加糖飲料の摂取が両群で減っていた。[4] 同時期に起きた望ましい変化を、すべてゲームの成果と呼ばない姿勢も大事だ。家族で歩き始めた後に食生活も変わったとしても、どの工夫が何に結びついたかは、ひとまとめにせず眺めたい。

目標達成日の割合には、歩数の総量とは違う情報がある。目標を低く置けば達成の表示は得やすくなるため、達成率だけで歩行量の多さを判断しないほうがよい。この家族試験では各人が増やす目標を選び、達成日の割合に加えて、普段からの歩数増加も評価していた。[7] 自分で使う際も、目標を選ぶ自由と、実際の変化を確かめる視点を一緒に持ちたい。

数字で読むゲームの仕掛けと身体活動

16研究・2407人:身体活動を扱うランダム化比較試験の統合対象。[11]

効果量0.23:ゲームなしの活動介入に対する上乗せ。95%信頼区間0.05〜0.41。[11]

1日953歩:成人の家族試験での介入中の調整後群間差。95%信頼区間505〜1401歩。[7]

1日538.0歩:心血管リスクの高い成人で、12か月のゲーム介入中に認めた調整後群間差。[17]

113日対81日:成人のアプリ利用分析での平均利用日数。ただし目標達成日数に群間差はなかった。[14]

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