年末年始の体重増加は戻るのか 平均の小ささと春まで残る重さを論文で読む

年末年始に増えた体重は、仕事や日常が戻れば自然に減るのか。成人の追跡研究、日本の大学生の調査、休暇中の体重測定を使った試験から、平均の増加量と個人差、春まで残る変化を読む。予防策が効いた試験と、研究全体では確実とは言えない結果を並べ、休みの前後に確認したい行動を考える。

仕事始めの朝、いつもの服を着て体重計に乗る。休みの間は見なかった数字が増えている。食卓も通勤も元に戻るのだから、体重もそのうち戻るはずだ。そう考えて、体重計を洗面台の下にしまう。

だが、休みの終了と体重の回復は、研究では同じ出来事ではない。成人を秋から追った研究では、休暇中の平均増加は0.37kgと小さかった一方、その後の測定で増加分が十分に戻ったとは確認されなかった。[20] カレンダーは普段の週に戻っても、体重まで一緒に戻るとは限らない。

年末年始の食事を楽しむことと、体重の変化を放置しないことは両立させたい。ここで読むのは、特定の料理の善悪ではなく、休みの前後をつないで測った研究である。平均ではどの程度増え、誰がどのくらい戻り、予防の工夫にはどこまで根拠があるのか。短い休暇を、長い体重管理の中に置いて考える。[1][2][20]

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正月太りの平均は、想像より小さいことがある

休暇中には大幅に増える、という印象と実測値を比べた古い重要な研究がある。成人195人を対象に、秋から春にかけて体重を繰り返し測った前向き観察研究である。前向きとは、過去を思い出してもらうのではなく、対象者をその後の時間に沿って追う方法を指す。対象は参加しやすい人を集めた集団で、体重測定は6〜8週間の間隔で行われた。[20]

休暇前の変化は平均0.18kgの増加、休暇中は0.37kgの増加、休暇後は0.07kgの減少だった。休暇中の増加には統計的な有意差があったが、前後の変化にはなかった。休暇中の変化のp値は0.001未満、休暇前は0.09、休暇後は0.36だった。差の大きさと統計的な判断は、併せて読む必要がある。体重計で見落としそうな平均差も、集団を追うと見える場合がある。[20]

この研究の休暇中の増加は、平均0.37kgに対して標準偏差が1.52kgだった。標準偏差は、個人の値が平均の周りにどの程度散らばるかを表す。平均が小さくても、個人の値はその周りに広く分布している。増えた人とそうでない人が同じ集計に入っており、集団の真ん中の数字と、自分の変化は別に確認する必要がある。[20]

成人の休暇中の変化を扱った2017年の文献レビューでは、成人研究で0.4〜0.9kgの増加が報告されていた。一方、大学生の研究は体脂肪への影響を認めても体重の有意な変化を認めず、子どもの研究も限られていた。レビューは既存の研究を読み合わせる形式である。成人の結果を家族全員に広げるのではなく、対象の違いを残して読むべき資料だ。[6]

さらに、祝いの期間を広く扱った系統的スコーピングレビューは39研究を整理し、体重変化を調べた23の観察研究のうち70%で有意な増加を認め、平均増加量を0.7kgと報告した。スコーピングレビューは、研究領域にどのような知見があるかを広く見渡す方法である。体重変化の観察に加えて、食行動の決定要因と予防介入も整理したレビューである。食物の刺激と食べすぎを調べた研究は4本で、結果にはばらつきがあった。[14]

こうした数字を、忘年会で食べた量の採点に使う必要はない。論文が扱うのは、休暇をまたいだ期間の変化である。ある夕食の翌朝の数字だけから、休暇全体の増加量やその後の経過までは読めない。少なくとも、研究と同じ問いを立てるなら、休み前と休み後を比べる出発点が要る。[20]

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春になれば戻る、とは追跡研究が言っていない

先ほどの成人研究では、秋の開始時点から翌春までの正味の増加が平均0.48kgだった。さらに165人が次の秋の測定に戻り、春から秋にかけて有意な追加変化はなかった。研究者は、秋冬に増えた分が春夏に逆転しなかったことから、成人期の体重増加への寄与を考察している。春の忙しさだけに回復を任せてよい、という結果ではない。[20]

春までの正味増加は、平均0.48kgに対して標準偏差2.22kgだった。休暇中の変化だけでなく、春まで残る変化にも幅がある。最初の195人のうち次の秋まで測定できたのは165人であり、追跡結果はこの参加者についての集計である。[20]

別の手がかりは、成人111人を無作為に分けた体重測定の試験である。無作為化比較試験は、介入を受ける群と比較する群を偶然の割り当てで作る方法である。この試験の対照群は、休暇中に平均2.65kg増え、休暇後の14週間で平均1.14kg減った。それでも増加分の57%が残り、休暇前から追跡終了までの正味の増加は1.51kgだった。[8]

この結果は、「戻るか、戻らないか」の二択では捉えにくい。いくらか減っても、元の位置までは戻っていない場合がある。新年の最高値より低くなったことと、休み前の体重を取り戻したことは違う。体重計にとっては、去年の数字も比較相手である。[8]

より長い観察として、ルーマニアの成人120人を休暇前、直後、1年後に測った研究もある。平均体重は68.25kgから69.40kgへ増え、1年後は69.45kgだった。体組成は、生体電気インピーダンス法という体に電気を流して推定する方法で評価され、内臓脂肪面積の推定値も増加後の水準が続いていた。[16]

この研究では、休暇前から直後、さらに1年後という測定点をそろえ、体重の変化と内臓脂肪の変化の関連も調べた。休暇中と追跡期間全体のどちらでも、両者の変化には有意な関連があった。短い期間の増加を長期の観察から切り離さず、体重と脂肪分布の変化を併せて追う意義を示している。[16]

日本でも起こるが、大学生の数字は大人全員の数字ではない

海外の冬の休暇は、日本の年末年始と期間も文化も違う。日本の資料としては、大学生339人を調べた横断調査がある。対象は男性141人、女性198人、平均年齢19.4歳で、冬の体重変化と元に戻るまでの期間、食事や活動、座っている時間、飲酒、睡眠を本人に尋ねている。[9]

冬に体重が増えたという回答は男性の51.1%、女性の68.2%だった。増加量は男性で平均2.3kg、女性で2.0kgと報告された。増加を報告した人のうち61.8%は1か月以内に戻ったと答え、38.2%はそれより長くかかった。日本でも冬の増加と回復までの時間を調べる意味がある一方、ここでの体重は測定者が実測した値ではなく自己申告である。[9]

横断調査は、ある時点で状況を尋ねて関連を調べる形式だ。冬の前から測定して経過を追った研究とは異なる。戻るまでの日数も記憶に基づく回答なので、海外の実測研究と数字をそのまま比べ、「日本ではもっと増える」「日本では戻りやすい」と結論することはできない。[9][20]

この調査では、男性の長い体重保持期間には休暇中の座位時間の長さ、女性では飲酒頻度の高さと睡眠の短さが関連した。座位時間とは、座って過ごす時間である。しかし、女性の冬の増加そのものには、運動頻度が高いことや平日の座位時間が短いことも関連していた。単純な生活習慣の善悪の表に変換すると、この結果を取り違える。[9]

この調査が示すのは生活習慣と体重変化の関連である。増加を報告した人の増加量の標準偏差は男性で1.2kg、女性で1.1kgと、同じ性別の中でも幅があった。増えたかどうかと、増加分をどれだけ長く保持したかは別に分析されている。日常に持ち帰るなら、運動だけでなく、座る時間、飲酒の機会、眠る時間の変化も確認する項目になる。[9]

日本の調査は性別ごとに関連する要因を分析している。女性では冬の増加そのものに、インスタント食品やレトルト食品の摂取が少ないことも関連した。増加と長期の保持で関連要因が異なるため、それぞれの問いを分けて読む必要がある。[9]

数字で読む年末年始の体重変化

0.37kg:成人195人の前向き観察研究で測った休暇中の平均増加量。標準偏差は1.52kgで、個人差も大きい。[20]

0.48kg:同研究で、秋の開始時点から翌春までに残った平均の正味増加量。[20]

57%:成人111人の無作為化試験の対照群で、休暇後14週間にも残っていた増加分の割合。[8]

38.2%:日本の大学生のうち冬の増加を報告した人で、戻るまでに1か月を超えたという回答の割合。[9]

−0.49kg:成人272人の試験で、体重記録などを組み合わせた群と比較群との調整後の平均差。[4]

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