週3回の予定が2回になった週、筋トレの効果は目減りするのか。25研究のメタ分析は量をそろえた比較で筋肉の差を見いださず、別の22研究では筋力の差も主に量で説明された。週2回と3回の試験、60歳を超えた人の分析、毎日に分けた試験、忙しい時期の維持まで、回数と量を切り分けて確かめる。
週3回と決めていた筋トレが2回で終わった週、その週の努力は3分の2に目減りしたのだろうか。
水曜の枠が残業で消えると、予定表の空欄がそのまま失点に見える。回数を成績表のように数えている人ほど、一度の欠席が重く響く。けれども回数という数字は、その週に何をしたかをほとんど語っていない。スクワットのセットを金曜に足した週も、ただ抜けただけの週も、記録の上では同じ「2」である。
問いを少しだけ言い換えると、見える景色が変わる。減ったのは回数なのか、それとも週全体でこなした量なのか。研究者はこの二つを切り分けて比べてきた。その答えには、肩の荷が下りる部分と、少し厳しい部分の両方が含まれている。

減ったのは回数か、量か
頻度という言葉には二つの意味がある。一定の期間に行うトレーニングの回数と、特定の筋肉群を鍛える回数である[1]。週3回ジムに通っても、脚の日、胸の日、背中の日と分けていれば、脚を鍛えるのは週1回だ。逆に週2回でも、毎回全身を動かせば、脚は週2回になる。「週◯回」と書かれた論文を読むときは、どちらの回数かを先に見ないと話がかみ合わない。
もう一つの言葉が量である。研究には、回数だけを変えて量をそろえた比較と、回数と量が一緒に変わる比較がある[4]。週1回に5セットまとめる人と、1セットずつ週5日に分ける人は、週の合計がどちらも5セットなので前者に入る[16]。週1回に5セットの人と、5セットを週3回行う人なら、週の合計は5と15で、後者の比較になる。後者で伸びに差が出ても、回数が効いたのか量が効いたのか、この形では切り分けられない。
具体的に置くと、週の合計を12セットと決めた人なら、週2回は1回6セット、週3回は1回4セットになる。変わるのは1回の長さと通う日数で、合計の数字は動かない。1回が短くなれば通う手間が増え、1回が長くなれば後半の集中が切れるかもしれない。どちらが楽かは人によるが、この先で読む論文の多くが比べたのは筋肉と力の結果で、その楽さとは別の話である。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
同じ研究者が3年で書き換えた答え
2016年のメタ分析は10研究を集め、筋肉の成長の効果量が、高い頻度で0.49、低い頻度で0.30と報告した[1]。効果量は、変化の大きさを標準偏差で割ってそろえた数字で、kgのような単位を持たない[12]。著者らは、量をそろえた比較で週2回は週1回より筋肥大に優れるとし、主な筋肉群は少なくとも週2回鍛えるべきだと推論した。週3回が週2回より良いかは、まだ分からないとしている。対象は慢性の病気やけがのない人で、4週間以上の実験に限られ、同じ部位の週の回数をそろえたうえで通う回数だけを比べる解析は、研究が足りず計算できなかった[1]。「筋トレは週2回以上」という言い方は、この結論と同じ形をしている。
3年後、同じ筆頭著者の2019年のメタ分析は、採用する研究を25本に広げた。この25本には、量をそろえた研究も、そろえなかった研究も含まれる。量をそろえた比較では、高い頻度と低い頻度に有意差はなかった。筋肉の成長を直接測った研究でも、筋トレの経験者でも、上半身でも下半身でも、差は出ていない。結論は「量がそろえば、頻度は筋肥大に有意にも実質的にも影響しないという強い証拠がある」に変わり、週の頻度は好みで選んでよいと書かれた[3]。通う人の言葉に直せば、合計が保てるなら、予定に合う回数を選んでよいということだ。研究を増やしたら、結論の向きが変わったのである。
同じ25本のうち、量をそろえなかった研究だけをメタ回帰(研究の条件と結果の関係を線で読む解析)にかけると、高い頻度が有利という結果は出た。ただし週1回と週3回以上の差は控えめだった[3]。
別のレビューは、測り方ごとに研究を仕分けている。部位を直接測った10研究は、全体として週1回でも週2〜3回と同程度の筋肥大を示した。除脂肪量を機器で推定した21研究も、多くは頻度の間に有意差を報告していない[4]。測り方を変えても、量がそろっていれば大きな差は見えにくい。セット数まで含めた量の話は「筋トレは週何回・何セットが体組成に効くか 筋肉と脂肪で違う量の答えを読む」の記事に譲る。

力は回数とともに伸びて見え、量をそろえると差が消える
筋肉の大きさと、力の強さは別の成績である。22研究を集めた筋力のメタ分析では、効果量が週1回0.74、週2回0.82、週3回0.93、週4回以上1.08と階段のように上がった。ところが量をそろえた研究だけで見ると、頻度の有意な効果はなくなった[2]。著者らは、回数の効果に見えたものは主に量によると読み、多い頻度は量を増やす手段として使えると書いている。階段の1段目にも目を向けたい。週1回の時点ですでに高い位置にあり、最上段との開きはその半分に届かない。1回の時間を延ばすより、もう1日足すほうが楽な人には、回数は量を増やす道具になる。
この分析は、人や種目で分けた結果も載せている。頻度の効果が有意だったのは、複数の関節を使う種目の最大挙上重量、上半身、若い成人、女性である。一つの関節の種目、下半身、中高年以上、男性では有意にならず、限界まで追い込んだ研究でも追い込まなかった研究でも有意な効果はなかった[2]。分けて見た結果なので、これだけで「女性は回数を増やすべき」とまでは読めない。研究の大半が筋トレ未経験の人を対象にしていた点も、著者ら自身が注意している。それでも、回数を増やしたときの差が、複数の関節を使う種目や上半身に出やすいという手がかりにはなる。
週2回と週3回を真正面から比べた試験
週2回か週3回かという問いに最も近いのは、17人が脚の筋トレをこの回数で行った試験である。比べ方が面白い。同じ6週間で比べるだけでなく、同じ18回を終えた時点でも比べた。18回に届くのは週3回なら6週、週2回なら9週である。6週間と18回の時点で、最大挙上重量の伸びは両群で近く、効果量の差は約0.3で週3回が上だった。一方、等尺性(関節を動かさずに力を出す)と等速性の筋力の伸びは、週2回の群のほうが大きかった[13]。どの測り方で見るかによって、優劣の向きが入れ替わる。
体幹をひねる筋力を調べた試験もある。男性33人、女性25人を週1回、週2回、週3回、運動しない対照に分け、12週間鍛えた。筋力の平均の伸びは順に4.9%、16.3%、11.9%である。週1回の群は対照との差がなく、週2回と週3回の群は対照より伸び、この2群の間に有意差はなかった。扱う重さの伸びも、週2回と週3回の群が週1回の群より大きかった。著者らは週2回を勧めている[9]。週2回の数字が週3回を上回って見えるが、有意差がないので、週2回のほうが優れているとも言えない。3回目が2回目と同じだけ積み上がる形には、なっていない。
冒頭の問いに戻ると、週2回が週3回の3分の2の価値しかない、という比例の関係は、これらの試験からは出てこない。もっとも、どちらも人数の少ない試験で、1本の結果を全身と全員に広げることはできない。
数字で読む筋トレの週の回数
0.49と0.30:2016年のメタ分析の筋肥大の効果量。順に高い頻度、低い頻度[1]。
25研究:2019年のメタ分析が採用した研究の全体の数で、量をそろえなかった研究も含む。量をそろえた比較では頻度の高低に筋肥大の有意差がなく、量をそろえなかった研究のメタ回帰では高い頻度が有利で、差は控えめだった[3]。
0.74〜1.08:筋力の効果量。週1回の0.74から週4回以上の1.08まで上がるが、量をそろえた研究では頻度の効果は有意でなかった[2]。
16.3%と11.9%:体幹をひねる筋力の12週間の平均の伸び。順に週2回の群、週3回の群[9]。
18回:週3回なら6週、週2回なら9週で届く回数。脚の筋トレの試験はこの時点でも比べた[13]。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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