ビタミンCを補えば、体重や腹囲は減るのか。血中濃度と肥満の関連を調べた研究、減量中に補給した比較試験、運動のきつさを測った実験を並べる。不足を補う意味と脂肪を減らす効果を区別し、同じ摂取量でも濃度が違う理由や、サプリの大量摂取に飛びつかず医師に確認したい点まで整理する。
サプリの袋を裏返し、ビタミンCの含有量を読む。食事を軽くした日は野菜まで減った気がして、量の大きい表示に目が止まる。栄養の不足を埋めたい気持ちと、せっかくなら体重にも働いてほしい気持ちが、同じ袋に重なっている。
ビタミンCの研究には、その期待を引き寄せる結果がある。血中濃度が低い人ほど腹囲や体脂肪の指標が大きいという関連だ。一方、実際に補給する比較試験では、体重の減り方に明確な上乗せが見えない結果もある。[10][17] 「足りているか」と「増やすと痩せるか」は、別々に確かめる問いになる。
血中濃度と腹囲が並んでも、原因の向きは決まらない
血液中のビタミンCと体格を調べた研究に、座って過ごすことが多い非喫煙の成人118人の横断研究がある。横断研究は、ある時点で人々の状態を比べる方法だ。男性35人、女性83人で、男女とも血中ビタミンC濃度はBMI、体脂肪率、腹囲と逆方向に関連していた。BMIは身長と体重から表す体格の指標である。[10]
この結果は、濃度が高い人のほうが、これらの肥満の指標が小さい傾向にあったという意味になる。相関係数は−0.383〜−0.497で、女性では体重の影響を調整した後にも関連が残ったが、男性では残らなかった。[10] 男女を合わせた短い見出しだけでは、この違いが落ちてしまう。
ただし、参加者にビタミンCを飲んでもらって腹囲が縮んだことを示す結果とは区別したい。体格と濃度を同時に測っただけでは、先にどちらが変わったかは分からない。同じ研究の中に補給の試験もあるため、観察した関連と介入した結果を読み分けることが特に大切だ。[10]
関連をそのまま日常に置き換えると、「腹囲が気になるから濃度を上げればよい」という答えになりやすい。しかし、血中濃度は食べた量だけを映す値ではなく、体重や以前の不足状態によっても変わることが、食事を管理した研究で示されている。[15] 腹囲からビタミンC不足を自己診断するのも、血中濃度を体脂肪の直接の原因と決めるのも早い。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
同じ量を摂っても、同じ濃度にはならなかった
食事をすべて研究側が用意した試験では、30〜59歳の男性68人を対象に、ビタミンCを少なくする期間と補い直す期間を設けた。研究中は喫煙と飲酒をしない条件だった。補給し直す段階で同じ量を摂っても、血中濃度には大きな個人差があった。[15]

写真: AntanO / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
1日117 mgを4週間摂った後の濃度は26.8〜85.8 µmol/Lに分布した。µmol/Lは血液の一定量に含まれる物質の量を表す単位だ。体重が大きいほど到達した濃度は低く、以前に不足していた状態がどこまで回復したかも関わっていた。[15] 食べた量をそろえれば血液の値もそろう、という単純な関係には収まらなかった。
試験の初めには1日60 mgを1か月摂り、状態を安定させた。その後、1日9 mgで1か月過ごす不足期と、1日117 mgで1か月過ごす補給期を組み合わせ、この周期を2回実施した。[15] 研究側が食事を用意したことで、摂取量の違いを抑えたうえで、体重やそれ以前の不足状態が濃度にどう関わるかを調べられた。
ビタミンCの薬理を扱うナラティブレビュー、すなわち関連する知見を文章で整理した総説でも、肥満の人は健康体重の人と同じ血液・組織の濃度に達するために、より多い経口摂取を要することが述べられている。同時に、摂取不足だけでなく、酸化ストレスなどによる利用の増加も不足に関わると整理している。[2] 不足のリスク要因には、喫煙、低栄養、加齢、社会的孤立、大きな手術なども挙げられている。[2]
食事管理試験では、補い直す過程を繰り返したこと自体にも意味があった。最初の補給し直す期間の後には、参加者の3分の1で血中濃度がまだ一定の水準に達していなかった。次の補給後に最初と同じ濃度に達した人は10%にとどまった。[15] 表示の摂取量に加え、どんな栄養状態から補い始めたか、どの時点で測定したかも、結果を読む条件になる。単発の値だけを見て摂取量との対応を決めると、この時間的な違いが隠れてしまう。
時間を追う研究では、摂取量と体重変化は結びつかなかった
ある時点の濃度と腹囲に関連があるなら、その後の変化にも同じ関係があるのだろうか。この問いに近いのが、独立した3つの集団、計7,569人を調べた前向き研究だ。食事からのビタミンC摂取量と、その後の年間の体重変化・腹囲変化との関連を調べている。[11]
全体として、摂取量と体重または腹囲の変化には有意な関連がなかった。研究者は肥満に関わる遺伝的な特徴も組み合わせて調べたが、一般的な結論は、摂取量がその後の体重・腹囲の変化と関連するという見方を支持しない、というものだった。[11] 血中濃度の横断研究とは、測ったものも時間の扱いも異なる。
遺伝的にウエストとヒップの比が高くなりやすい人では、摂取量が多いほど腹囲の増加がわずかに大きいという関連もあった。ただし、体重変化を調整すると統計的には境界的となり、著者らは公衆衛生上の意味も疑問としている。[11] これを逆方向に大きく取り上げ、「ビタミンCでお腹が太る」と言い切るのも不適切だ。
血中濃度と食事からの摂取量は違う。さらに、今の体格と将来の変化も違う。この研究を横断研究への単なる反論とするより、問いを先へ進めた結果として受け取りたい。今の濃度に関連があっても、食事で多く摂る人がその後に痩せるという予測まで成立するとは限らないのである。[10][11]
補給試験では、減量と運動の感覚が別々に動いた
肥満の成人20人を対象にした無作為化試験では、ビタミンCを管理したエネルギー制限食を続けながら、1日500 mgの補給かプラセボ、つまり比較用の偽薬に割り当てた。期間は4週間で、開始時と終了時にトレッドミルを歩いて運動の反応を調べた。参加者は男性4人、女性16人だった。[17]
体重は両群とも約4 kg減り、減少量は同程度だった。呼吸で取り込む酸素と吐き出す二酸化炭素の比である呼吸交換比にも、群による変化の違いはなかった。[17] 食事制限を伴う減量の成績を、補給したビタミンCだけの効果として数えることはできない。
一方、運動中の心拍数と、自分で感じたきつさの尺度は、補給群でより低下した。きつさの尺度の変化は補給群−1.3、比較群+0.1で、全般的な疲労感にも改善が見られた。[17] 体重で差が出なくても、本人が運動をどう感じたかには違いがあり得るという、小規模な試験の予備的な結果である。
歩く試験は予測最大酸素摂取量の50%の強さで60分行われた。心拍数の変化は補給群で毎分−11拍、比較群で−3拍だった。全般的な疲労の点数も、補給群では5.9低下し、比較群では1.9上昇した。[17] 運動中の測定と別の日の質問票を組み合わせ、体重以外の反応も拾っている。
同じ論文の介入部分では、肥満の成人20人が参加し、結果に示された解析人数はビタミンC群6人、プラセボ群8人だった。8週間で、ビタミンC群は−5.9 kg、プラセボ群は−6.5 kgと、両群で体重が有意に減った。脂肪組織が分泌するアディポネクチンという物質は両群で増えたが、補給はその血中濃度に影響しなかった。[10] 体重の減少、血液の指標、運動の感覚を、同じ結果として一括りにしないことが研究を読む足場になる。
この補給試験で疲労感は、運動を行う日とは別の日に質問票で測られた。一方、運動中のきつさは、歩いている最中の尺度で測った。[17] 「疲れにくくなった」という短い表現の中にも、普段の気分に近い感覚と、その場の運動の負担感がある。自分の経験を重ねるときも、家事の後に疲れるのか、同じ運動がきついのかで、相談したい内容は変わる。この違いを残すほうが、感覚の変化を体脂肪の変化に直結させずに済む。
数字で読むビタミンCと体重
118人:血中濃度とBMI・体脂肪率・腹囲の関連を調べた非喫煙成人の横断研究。[10]
7,569人:食事からの摂取量と、その後の体重・腹囲の変化を調べた前向き研究。[11]
26.8〜85.8 µmol/L:同じ量を補い直した食事管理試験での血中濃度の幅。[15]
20人:減量中の補給で、運動のきつさと体重を分けて測った試験の対象者。[17]
−1.6と−1.0 kg/m2:キトサンにビタミンCを加えた群と、キトサン単独群のBMIの変化。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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