大豆食品とダイエットの科学 豆腐や納豆を選ぶ前に知りたい減量研究の条件

豆腐や納豆を食べれば体重は減るのか。大豆製品のメタ分析、食品を使った比較試験、イソフラボン錠剤の研究を照合し、食事全体を変えた効果と大豆単独の効果を分けて考える。小さな体重差の意味や閉経後の女性で結果が異なる理由を確かめ、追加より献立の中の役割から選ぶ手掛かりを示す。

豆腐と納豆の売り場には、減量用という表示がなくても「体によさそう」という期待が集まる。買い物かごに入れることと、体重計の数字が動くことの間には、献立という長い通路がある。実際、大豆たんぱく質を多く含む食品を用いた減量試験では、大豆を増やした群も比較群も体重が減り、減り方に明確な差はつかなかった。[5]

一方、大豆製品の試験を統合した解析では、特定の対象では小さな体重減少が報告されている。[16] 大豆への期待をすべて捨てる必要はないが、豆腐、豆乳、たんぱく質を使った置き換え食、成分を取り出した錠剤を、同じ「大豆」の一言で扱うと話がずれる。[5][10][12][13] この違いを食卓の言葉に戻すことが、今回の読みどころである。

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大豆製品をまとめた研究の差は、どのくらいか

まず全体を見渡す。メタ分析とは、複数の研究結果を統計的にまとめ、効果の方向や大きさを調べる方法である。大豆製品と減量を扱った2019年のメタ分析には、過体重または肥満の人を対象にした22試験、計870人が含まれた。研究者が集めたのは、介入群と比較群に無作為に割り付ける試験である。[16]

報告された集団別の結果では、アジアの過体重・肥満の参加者で、体重の差は−0.37 kg、体格指数であるBMIの差は−0.27 kg/m2、体脂肪率の差は−0.36%、腹囲の差は−0.35 cmで、統計的に有意だった。[16] いずれも変化の幅は小さい。体重差を「大豆で減量に成功」とだけ紹介すると、効果の縮尺が消えてしまう。

閉経前の女性では体重−0.59 kg、腹囲−0.59 cmという差も報告された。[16] ここで重要なのは、対象を絞った集団別の解析だという点である。アジアの参加者の結果が、そのまま日本の読者全員の予測値になるわけではない。閉経前の集団で差が出たことから、閉経後には役立たないと逆向きに断定することもできない。

さらに、このメタ分析で扱う「大豆製品」は、豆腐や納豆を毎日の食事に取り入れる場合より広い範囲を指す。著者らは、大豆たんぱく質、イソフラボン、大豆繊維に言及している。[16] 成分も食べ方も異なる試験をまとめた結果を読むときは、自分が今から買おうとしている食品との距離を残しておきたい。

例えば、店頭で納豆を手に取った人が「平均でこれだけ痩せる」と期待するには、納豆そのものを比べた条件が要る。ここで示した集団の平均差から、納豆のパック数や豆腐の量への換算はできない。[16] 数字は献立を決めるための見取り図にはなるが、食品に貼る減量保証には使えないのである。

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食品を増やしても、減量の上乗せは見えなかった

日常の食事に近い比較として、大豆たんぱく質に富む食品を使った試験が参考になる。対象は25〜49歳、BMIが28〜33の過体重の女性で、12週間にわたり摂取エネルギーを1日500 kcal減らすよう助言された。大豆群は加えて、摂取エネルギー1,000 kcal当たり大豆たんぱく質15 gを取るよう助言され、食品の提供も受けた。試験を完了したのは47人だった。[5]

完了者の体重変化は、大豆群が−3.18%、比較群が−4.04%だった。追跡途中の情報も用いる解析でも、両群の減量は同程度だった。体脂肪率の変化や腹囲にも群間差は認められなかった。[5] 大豆食品のある食事で減量できたことと、大豆が減量を増やしたことを分けると、この結果は理解しやすい。

大豆群が減ったのだから効果がある、と紹介するだけでは比較群の存在が消えてしまう。逆に、数値上は比較群の方が減っているから大豆が妨げた、と読むのも行き過ぎである。試験の結論は、調べた量と条件では大豆食品による減量の上乗せを支持しなかった、という範囲にある。[5]

この読み方は、夕食の主菜を選ぶ場面に役立つ。豆腐を使う日を設けるなら、何を豆腐に替えるのか、主菜以外をどう組み合わせるのかを先に考えられる。「大豆を取った」という達成感だけでは、この試験で行われた食事全体の調整を再現したことにならない。[5] 食品名を増やすより、食事の中の担当を決める方が、研究の条件を取り違えずに済む。

例えば普段の献立を書き出し、主菜を豆腐にする案と、普段の主菜に豆腐の小鉢を添える案を並べてみる。この作業では、自分が何を変えようとしているかを具体的にできる。研究で行われたのは、食事への助言と大豆食品の提供を含む介入だった。[5] 冷蔵庫に新しい食品を入れるだけの行動とは、区別しておきたい。

豆乳と置き換え食は、比較相手まで見る

豆乳については、閉経前で過体重または肥満の女性14人を無作為に分けた小規模試験がある。豆乳または同量の脱脂乳を1日720 mL飲み、8週間、消費量に基づき1日500 kcal少ない食事を続けた。体重減少は豆乳群4.27 kg、脱脂乳群3.76 kgで、群間に有意差は認められなかった。体脂肪率、腹囲、除脂肪量の変化にも明確な群間差はなかった。[12]

数字だけを切り出せば、豆乳で体重が落ちた話になる。しかし、この試験は普段の食事をそのままに豆乳だけを加えた試験とは条件が違う。食事のエネルギーを減らす取り組みが両群に組み込まれていた。[12] しかも対象は少数であり、「脱脂乳と差を検出しなかった」という結果を、どの飲み物に替えても同じと広げることはできない。

液体の置き換え食を使った別の無作為化試験では、BMIが27〜40の男女を、大豆由来と乳由来の群に分け、1日1,200 kcalの低エネルギー食で12週間比較した。完了者の減量率は大豆群9.0%、乳群7.9%で、有意な群間差はなかった。報告された95%信頼区間は、それぞれ7.3〜10.6%、5.8〜8.8%だった。[13]

信頼区間は、推定した効果にどれほど幅があるかを示す目安である。この研究で大豆群の減量率が数値上大きくても、統計的に支持された優劣の差はなかった。さらに、無作為に割り付けられた人数は大豆群51人、乳群39人だったのに対し、完了者は30人と22人だった。[13] 最後まで続けられた人の数字であることも、見出しから落とせない。

家庭での豆乳選びを、この試験の低エネルギー食に寄せる必要はない。ここから受け取れるのは、大豆由来の材料も減量用の食事構成に使われていたが、乳由来より大きく減るとは確認されなかった、という点である。[12][13] 豆乳に替えた日だけ体重の変化を待つより、飲み物を含めて献立のどこを変更したかが説明できる方が、食事を選び直しやすい。

同じ置き換え食の試験には、体重以外の結果もある。開始から6週間の総コレステロールとLDLコレステロールの低下率は、大豆群でそれぞれ15.2%と17.4%、乳群で7.9%と7.7%で、大豆群の低下が有意に大きかった。[13] LDLコレステロールは血液中の脂質を評価する指標の一つである。減量率に明確な差がなくても、別の評価項目で差が出ることはある。

ここを一緒にすると、「血液検査の値が改善した食品だから、体重もより減るはずだ」という読み違いが起こる。体重の結果と脂質の結果には、それぞれ別の数字が付いている。[13] 検診の数字が気になる人にとっても、どの指標の話かを分けて医師と確認する方が、減量の見出しだけで食事を選ぶより話が具体的になる。血液検査の変化を、豆腐や納豆に共通する効果として約束することも控えたい。

豆乳の小規模試験でも、体重だけでなく体脂肪率と腹囲、除脂肪量が調べられていた。すべてで有意な群間差を認めなかったが、研究に参加したのは豆乳群7人、脱脂乳群7人である。[12] この規模の結果は、選択肢としての可能性を考える手掛かりになる一方、両者の効果が厳密に等しいと確定する材料としては限りがある。試験の題名にある印象と、比較から実際に確認されたことの間にも、目を向けたい。

数字で読む大豆と減量

22試験・870人:大豆製品を扱ったメタ分析の規模である。[16]

−0.37 kg:同メタ分析では、アジアの過体重・肥満の集団にこの体重差を認めた。[16]

47人・12週間:大豆食品による減量の上乗せが見られなかった試験の完了者数と期間である。[5]

14人・8週間:豆乳と脱脂乳を比較しても、減量差は統計的に有意にならなかった。[12]

229人・12か月:イソフラボン錠剤で体組成への有意な効果を認めなかった試験の規模である。[10]

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