揚げ物を食べる回数と体重には、どんな関係があるのか。成人の観察研究をまとめた解析と長期追跡から、肥満になりやすさと平均の体重増加の違いを整理する。週の回数を安全基準にしない読み方、油や調理法で残る疑問、遺伝と腸内細菌の研究、好きな料理を残しながら献立を見直す方法を考える。
唐揚げは好きだが、揚げ物はなるべく食べていないつもりだった。ところが弁当のコロッケ、外食の天ぷら、家族の皿から取ったフライまで思い返すと、「なるべく」の中身があやしくなる。好きで選ぶ料理と、いつの間にか付いてくる料理が、同じ食卓に並んでいる。
揚げ物の研究でよく使われるのは、食べる頻度である。ただし、頻度が高い人で肥満が多いことと、回数を減らせば決まった重さだけ痩せることには距離がある。成人を対象とした観察研究のメタ分析では、摂取が最も多い群は最も少ない群に比べて過体重・肥満との関連が認められた一方、追跡研究だけをまとめた結果には不確かさが残った。[7]
そこで、今回は油全般の優劣や外食の良し悪しから離れ、揚げた料理の「回数」が何を表しているのかを考える。禁止する料理を増やす前に、体重を追った研究が捉えたものを確かめたい。
揚げ物が多い人では、肥満も多いのか
最初に全体像を見よう。成人の揚げ物摂取と過体重・肥満などを調べた観察研究のメタ分析では、摂取が最も多い群と最も少ない群を比べた過体重・肥満の相対リスクは1.16、95%信頼区間は1.07〜1.25だった。相対リスクは比較対象との比を示す数字で、この結果は高摂取群の指標が相対的に高かったことを表す。[7]
この数字を「食べた人の16%が太る」とは読めない。比較しているのは集団同士の比であり、個人の発生確率を直接示していないからだ。また、この解析の研究間のばらつきを示す指標は71.0%と高く、著者らも結果の解釈に慎重さを求めている。研究を束ねた値だけで、すべての食卓に同じ答えを配るのは難しい。[7]
研究の型で分けると、さらに表情が変わる。ある時点の食事と肥満を比べる横断研究をまとめた値は1.14、95%信頼区間1.03〜1.27だった。一方、食事を調べた後の経過を追うコホート研究をまとめた値は1.19、95%信頼区間0.97〜1.47である。後者の区間は関連がない場合に相当する値をまたいでいた。[7]
横断研究は9件、コホート研究は2件だった。したがって、「多くの研究をまとめたのだから、将来太ることまで十分に確定した」と読むより、現在の肥満との結びつきは見えるが、その後の発生を調べた材料は限られている、と捉えるのが妥当だ。追跡の結果が曖昧だから無関係とも、全体の結果が有意だから原因が確定したとも言えない。[7]
食卓で使うなら、この全体像は点検の入口になる。揚げ物が続いていると気づいたときに、どの料理が重なっているのかを見直す理由にはなる。しかし、この比から自分の体重の増減を計算したり、昨日のフライを今朝の体重の原因に決めたりすることはできない。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
体重の増え方と、過体重になることは別の結果だ
地中海地域の男女9,850人を追った研究は、この違いをよく示している。参加者の平均年齢は38.1歳で、追跡期間の中央値は6.1年だった。揚げ物摂取が多いほど体重増加が大きい傾向はあったが、その差は小さく、統計学的に有意ではなかった。[1]

写真: ウィキ太郎(WikiTaro) / CC0 / Wikimedia Commons
一方、研究開始時に過体重・肥満でなかった6,821人に絞ると、異なる結果が出る。揚げ物を週4回超食べる群は、週2回未満の群と比較して、追跡中に過体重・肥満になるオッズ比が1.37、95%信頼区間1.08〜1.73だった。オッズ比は、出来事が起きる見込みを起きない見込みとの関係で比べた指標で、体重の増加率そのものではない。[1]
同じ論文の中で、平均の体重増加には明瞭な差がなく、過体重・肥満の発生には関連がある。矛盾に見えるが、調べた対象と結果が違う。前者は全体の重さの変化、後者は開始時に過体重・肥満でなかった集団での発生を見ている。結果を並べて初めて、この研究の輪郭が分かる。[1]
たとえば読者が知りたいのは、「揚げ物を減らしたら何kg落ちるか」かもしれない。しかし、この研究が比較したのは生活の中で食べる頻度が異なる人々である。一定の回数を減らすよう割り付け、その後の減量を比べた試験ではない。示された関連を、そのまま減量の見積もりに置き換えることはできない。[1]
回数の区切りにも注意したい。週4回超と週2回未満は、この研究で群を比べるための条件だ。その間に全員共通の境界線が見つかったわけではない。「ここまでなら安心」という保証より、頻度が多い生活の中身を点検する手がかりとして使うほうが、研究の意味に合っている。[1]
回数、食事の中の割合、お腹まわりで見え方が変わる
スペインの成人33,542人、年齢29〜69歳を対象とした横断研究では、回数とは違う物差しを使った。食事から取るエネルギーのうち、揚げ物がどれほどを占めるかを調べ、身長、体重、腹囲を測定している。食事全体のエネルギー摂取などを考慮した解析でも、揚げ物由来のエネルギーの割合が最も高い群で肥満との関連が見られた。[6]
全身の肥満について、最高摂取群と最低摂取群を比べた調整後オッズ比は、男性1.26、95%信頼区間1.09〜1.45、女性1.25、1.11〜1.41だった。腹部肥満についても男性1.17、1.02〜1.34、女性1.27、1.13〜1.42である。著者らの結論では、関連が認められたのは揚げ物由来のエネルギー摂取が最も高い群だった。[6]
同じ「揚げ物を食べる人」でも、食事の中での位置づけは違う。天ぷらが主菜の日と、小さな添え物として付く日では、回数だけを書いても献立の姿はそろわない。この研究が摂取エネルギーの割合で比べたことは、頻度だけに視線を固定しないための参考になる。ただし、この研究も、盛り付けを変えたときの減量効果を直接試したものではない。[6]
より新しい英国の追跡研究では、食事と身体計測の情報がある27,427人を平均8.1年追った。揚げ物摂取の最も高い群は最も低い群に対し、全身の肥満のハザード比が1.31、95%信頼区間1.10〜1.56、腹部肥満は1.27、1.12〜1.45だった。ハザード比は追跡中の出来事の起こり方を比べる指標である。[2]
この研究で新たに肥満と判定された人は、全身の肥満で1,472人、腹部肥満で2,893人だった。体重に関わる状態と、お腹まわりに関わる状態を分けて追うことで、結果の見取り図が広がる。体重計だけを見て「自分には関係がない」と判断するより、健診で得られた情報も別の手がかりとして扱いたい。[2]
ここまでの研究の違いは、買い物にも置き換えられる。まず回数を知り、次に何をどれくらい選んでいるかを見る。さらに体重や健診の情報を確かめる。頻度の研究と摂取割合の研究、全身と腹部の結果を同じ数値に押し込めず、それぞれが照らす部分を利用する考え方だ。[1][2][6]
結果を比較するときは、効果の大きさを示す指標も分けておきたい。スペインの横断研究が示したのは、その時点で肥満に当たる人のオッズの比であり、英国の追跡研究が示したのは、その後に肥満が起こるハザードの比である。見た目が似た数字でも、観察した時間と計算の対象が異なる。どちらの数字が大きいかだけで、国による揚げ物の影響の強弱を順位づけすることはできない。[2][6]
同様に、腹部肥満との関連は、お腹の脂肪がどれだけ増えたかを直接表す数字とは区別したい。英国の研究は腹部肥満の発生を扱い、スペインの研究は測定した腹囲から腹部肥満との関連を調べた。体重を見直す際に腹囲の情報も気に留める理由にはなるが、揚げ物の回数を変えた後の腹囲の減少幅を予測する材料にはならない。測ったものを確かめると、期待する変化の置き場所も明確になる。[2][6]
数字で読む揚げ物と体重
相対リスク1.16:成人の観察研究の統合値。最高摂取群と最低摂取群の過体重・肥満を比較した値である。[7]
95%信頼区間0.97〜1.47:コホート研究だけをまとめた相対リスク1.19の不確かさの範囲である。[7]
中央値6.1年:地中海地域の男女9,850人を追った期間。平均の体重増加の群間差は有意でなかった。[1]
オッズ比1.37:開始時に過体重・肥満でなかった人で、週4回超と週2回未満を比べた発生との関連である。[1]
ハザード比1.27:英国の追跡研究で、最高摂取群と最低摂取群を比べた腹部肥満との関連である。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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