急速減量はリバウンドするのか ゆっくり痩せる安心感を比較試験から見直す

急いで痩せると体重は戻りやすいのか。急速減量と緩徐減量の比較試験を軸に、目標達成率、減った体重が戻る割合、体組成と代謝の変化を読む。初期の減量幅と維持期の支援を分けて考え、短期間の成果だけで食事法を選ばず、痩せた後の暮らしまで計画するための科学的な見通しを示す。

「健診までに痩せたい」と考えると、急ぐほどあとで戻るのかが気になる。肥満の成人を対象に、同じ15%の減量を12週間と36週間で目指した比較試験では、維持期を完了した人が失った体重を戻した割合は、急速群70.5%、緩徐群71.2%だった。[1]

ゆっくり進めれば体重が戻らない、という約束を比較試験はしていない。ただし、これは肥満の成人が病院で受けた食事介入の結果である。[1] 自己流の短期減量にそのまま当てはめず、速さと方法、対象を一緒に読む必要がある。

来月の服のサイズを考えるときも、研究を見る視線は減量後の暮らしまで延ばしたい。目標へ到達した割合と、その後に戻った割合は別の成績だ。この記事では、減量期の比較から維持期の支援へと順にたどる。

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急速と緩徐を比べた試験は何をしたのか

中心となるのは、減量の速さと長期的な体重管理を調べた無作為化比較試験である。無作為化とは、参加者を偶然の方法で群に分け、もともとの違いが結果に偏りを生むのを抑える手続きだ。この試験では、肥満の成人を急速または緩徐の減量プログラムに割り付け、その後の維持期まで追った。[1]

登録されたのは、年齢18〜70歳、体格指数が30〜45の204人である。体格指数は体重を身長の2乗で割った指標で、研究の対象範囲を表す。実際に無作為化されたのは200人で、緩徐群103人、急速群97人だった。したがって、標準体重の人が美容目的で少し痩せる場合を直接調べた試験ではない。[1]

減量期は急速群が12週間、緩徐群が36週間で、どちらも開始時の体重から15%の減量を目標とした。違うのは主に目標へ向かうプログラムの期間であり、目標自体は共通である。次の維持期に入る条件は、割り当てられた期間に12.5%以上減量することだった。[1]

ここが読み落とされやすい。全員がそのまま長期維持の比較へ進んだのではない。減量期に条件を満たし、維持期を開始したのは緩徐群51人、急速群76人で、報告された達成率はそれぞれ50%と81%だった。急速群では、決められた時間内に維持期の入口へ到達した人が多かった。[1]

この達成率は、病院で目標、期間、参加条件を定めた食事介入の成績である。この論文の要約には両群の具体的な食事内容が示されていないため、プログラム全体の結果として読む。[1] 方法を選ぶ場面では、速さだけでなく誰がどの条件で行ったかを確認したい。

維持期の追跡は144週間で、主な評価項目はその終わりにどれだけ減量を維持していたかだった。[1] 短期の達成率と長期の再増加率を別々に評価しているのである。会社の健診までに間に合ったかと、その翌年も同じ暮らしを続けられたかは、同じ通知表では測れない。

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戻る割合が同じでも、数字の読み方は違う

維持期を完了した人では、減った体重のうち戻った割合は緩徐群71.2%、急速群70.5%だった。95%信頼区間は緩徐群58.1〜84.3%、急速群57.8〜83.2%である。信頼区間は推定の不確かさを示す幅で、平均値だけで精密な予測ができるわけではない。[1]

この割合の分母は開始時の体重ではなく、減量期に失った体重である。「70%戻った」を、開始時より体重が70%増えた、と読むとまったく別の話になる。試験を完了した人の両群では、失った体重の大部分が戻ったが、その戻り方に急速群だけの明らかな不利は示されなかった。[1]

完了した人だけを比べると、途中で参加をやめた人の扱いが問題になる。そこで研究者は、割り付けに基づいて評価する解析も行った。この解析では再増加率は両群とも76.3%で、95%信頼区間は緩徐群65.2〜87.4%、急速群65.8〜86.8%だった。解析方法を変えても、速さによる違いが見えないという方向は同じだった。[1]

研究の結論は、144週間以内に戻る体重の割合に減量の速さは影響しなかった、というものだ。[1] 対象と期間を離れて「一生差がない」とまで広げることはできない。ただ、「急いで痩せた人は必ず早く戻る」という断定には、この比較試験が反例となる。

一方、平均して多くの体重が戻った事実も消してはいけない。[1] 急速群が緩徐群より悪くなかったという相対的な結果と、両群とも維持に苦労したという絶対的な結果は両立する。速さを選ぶだけで維持の問題が解けたわけではない。減量期の終了を、支援も記録も終える日と決めてよいかは別に考える必要がある。

より広い視野を与えるのが、過体重または肥満の成人を対象とした行動的減量プログラムの系統的レビューとメタ分析だ。系統的レビューは条件を定めて研究を集め、メタ分析は結果を統計的に統合する方法である。この研究は249試験、59,081人のデータを分析した。[12]

プログラム終了時の減量が大きいほど、その後の体重再増加は速いという関連があった。初期減量1 kgにつき、再増加速度は年0.13〜0.19 kg速かった。ただし、初期に大きく減ったことによる体重の低さは、終了後少なくとも5年間は残っていた。[12] 大きく減った群が多く戻したことと、開始時から見て成果が残ったことを同時に読むべきだ。

これは減量速度を無作為に割り付けた直接比較ではなく、プログラムの特徴と終了後の変化の関連を調べた分析である。[12] 「多く痩せる行為が再増加を引き起こす」と因果まで決められない。249試験中140試験(56%)で偏りのリスクが不明と評価されていた点も、数字への信頼を考える材料となる。[12]

早く減った人と、早く減らす介入は同じではない

中年の肥満女性を対象とした研究でも、初期に速く減った人が長期的に不利という結果ではなかった。平均年齢59.3歳の参加者は、6か月の生活習慣介入と、その後1年間の継続支援を受けた。最初の月の実際の減量速度で、速い群、中間群、遅い群に分けられた。[11]

速い群の区分は週0.68 kg以上、中間群は週0.23 kg以上0.68 kg未満、遅い群は週0.23 kg未満である。18か月時点の開始時からの減量は、それぞれ10.9 kg、7.1 kg、3.7 kgだった。6〜18か月の再増加は2.6 kg、1.8 kg、1.3 kgで、群間に有意差はなかった。[11]

大切なのは、速い群に分類された理由だ。研究者が各人に違う速度を割り付けたのではなく、実際に起きた変化で群分けしている。[11] 参加者の行動や取り組み方など、速さ以外の違いが結果に関わった可能性を除けない。ここで得られるのは、実際の初期減量と長期の成果との関連である。

身体の中で何が起きるかも、測る時点によって印象が変わる。肥満の35人を対象とした小規模な無作為化試験では、ほぼ同じ量の体重を急速群は4週間、緩徐群は8週間で減らし、その後4週間の維持期を設けた。体重の減少は約9%で、体組成の変化は両群で同程度だった。[13]

体組成とは、脂肪など身体を構成する中身を分けて見ることだ。この試験では減量中、安静時のエネルギー消費の低下が急速群で有意だった一方、空腹時の空腹感の増加は緩徐群で有意だった。ところが体重を安定させ、エネルギー収支が釣り合った段階では群間差が見られなかった。[13]

減量途中の測定だけを切り取り、「急ぐと代謝が傷む」「ゆっくりなら食欲は変わらない」と単純化できない結果である。[13] 人数が少なく、維持の追跡も短い研究として読む。代謝の推定は「基礎代謝の計算式はどれだけ当たるのか」の記事に、筋力トレーニングの量は「筋トレは週何回・何セットが体組成に効くか」の記事に譲る。

一方、別の無作為化試験では体組成に違いが出た。体格指数28〜35の過体重または肥満の57人を、1日1,250 kcalの食事を12週間続ける緩徐群と、1日500 kcalの超低エネルギー食を5週間続ける急速群に分けた。その後は4週間の体重安定期を置き、9か月追跡している。[8]

減量は緩徐群8.2 kg、急速群9.0 kgで、追跡後の再増加は4.2 kgと4.5 kg。どちらも群間に有意差はなかった。一方、食事介入後の除脂肪量の減少率は急速群8.8%、緩徐群1.3%で、急速群の方が有意に大きかった。除脂肪量は脂肪を除いた身体の成分を指す。全参加者では、その減少率と後の体重再増加に関連があった。[8]

体重の戻りに差がなくても、減った中身まで同じとは限らない。体組成の変化が同程度だった短期試験と、除脂肪量の減少率が異なった試験の両方がある。[8][13] 後者は食事のエネルギー量と期間も異なる比較で、除脂肪量の減少率と再増加の結果は、因果ではなく関連として報告されている。[8]

数字で読む減量の速さと維持

12週間と36週間:同じ15%減量を目指した急速群と緩徐群の期間である。[1]

81%と50%:維持期へ進む減量条件を満たした割合。急速群、緩徐群の順に示した。[1]

70.5%と71.2%:維持期完了者が失った体重を戻した割合で、急速群、緩徐群の順である。[1]

35人:体組成や代謝を直接比較した短期試験は、この人数で行われた。[13]

年0.13〜0.19 kg:初期減量1 kgに関連した、その後の再増加速度の増分である。[12]

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