
楽しいという評価と、長く続くという結果を分ける
砂のコートで行うビーチテニスを調べた研究では、高血圧のある成人24人が運動と座って休む条件の両方を経験した。条件の実施順を無作為に決めるクロスオーバー試験で、各条件のあとに同じ参加者を比べる設計である。運動条件は準備運動と試合、間の休息を含め45分だった。[4]
運動後の楽しさの評価は90%を超え、運動中には生理的な負荷も確認された。研究者は、体への負荷に比べて本人が感じる努力感が小さいことを指摘している。[4] 「楽しかった」と「体を使った」は両立しうる。運動というと歯を食いしばる姿を思い浮かべる人には、選択肢を広げる結果だろう。
ただし、この試験が確かめた楽しさは、その運動を終えた時点での評価である。参加者が長期に通い続けた割合を示す数字とは違う。[4] 誘ってくれる相手、移動のしやすさ、予約の取りやすさなどは、自分が始める際に別途検討したい条件だ。楽しい種目を見つけることと、生活の中に入る形を見つけることは、それぞれ確認してよい。
運動習慣のない女性の研究では、人とのつながりに関する運動の動機が高まったのはバドミントン群だった。一方、楽しさに関する動機の増加はランニング群だけで報告された。[10] 「球技なら必ず一人で走るより楽しい」という印象には、少し待ったがかかる。仲間を求める気持ちと、運動自体の楽しさは、質問の上でも異なる側面として扱われている。
この違いは、相手がいる運動を選ぶときのよい問いになる。打ち合うことが好きなのか、仲間と会うことが好きなのか、上達を確かめたいのか。研究結果を本人の好みの代わりに使うより、運動のどこに惹かれるかを言葉にしてみるとよい。バドミントン群で変わった動機を、自分にも自動的に当てはめる必要はない。[10]
ビーチテニスの試験では、運動しなかった条件と比べて、運動後24時間の収縮期血圧が6mmHg、拡張期血圧が3mmHg低かった。いずれも統計学的に有意な差だったが、夜間の拡張期血圧の差は有意ではなかった。[4] 血圧の結果を体重の成果に言い換えず、測った健康指標として受け取ることが大切だ。高血圧がある人の運動選択や治療については医師に相談する。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
選手の体力研究は、減量ランキングには使わない
ラケット競技を調べると、競技選手のトレーニング研究も数多く見つかる。その中には、研究をまとめて効果を計算するメタ分析もある。しかし、研究の型が優れていることと、自分の疑問に直接答えることは別だ。対象が競技選手で、測っているのが走る速さなら、一般の人の減量効果を順位づける材料にはならない。[8][19]
ラケット競技選手のプライオメトリックトレーニングを検討した系統的レビューとメタ分析は、無作為化比較試験14件、計746人を含んでいる。これは、跳ぶ動作などを使ったトレーニングを加える効果の検討であり、ラケット競技を始めること自体の比較ではない。筋パワー、筋力、短距離走の速さ、方向転換、反応時間には小さいから中程度の効果が認められた。[8]
効果の大きさを異なる測定尺度の研究間で比較できる形にそろえると、筋パワーは0.46、筋力は0.50、短距離走の速さは0.45、方向転換は0.76、反応時間は0.67だった。[8] これらは体重のkgや改善率の%を表す値とは異なる。方向転換の数値を体脂肪の減少量に換算することもできない。何を測った効果量かを添えることで、ラケット競技に必要な動作への追加訓練の効果として位置づけられる。
その一方、バランスと柔軟性には明確な効果の証拠がなく、結果ごとの証拠の確実性は非常に低いものから中程度まで幅があった。[8] ラケットを振れば、あらゆる体力要素が同時に伸びるという話にはできない。まして、この追加トレーニングの結果から体脂肪がどれだけ減るかを決めることはできない。
競技水準の異なる健康なテニス選手を比べた別の系統的レビューとメタ分析では、16件の研究が採用された。上位選手は下位水準の選手より、下肢の筋パワー、持久力、敏捷性で中程度、速度で小さい差を示した。年齢によって差の大きさにも違いがあった。[19] 敏捷性とは、素早く動きを切り替える能力として捉えればよい。
これは競技水準による違いの整理であり、「上位選手と同じ練習をすれば誰でも同じ体になる」という介入の結果とは異なる。[19] テレビで見る選手の体を、始める前の合格基準にするのは順序が逆だ。初心者は選手の体形や練習量の再現より、自分が参加できる場と教わる内容を確かめるところから考えたい。
ここまでの研究には、答えている問いの違いがある。女性の介入研究は体力の変化、ビーチテニスの試験は運動後の血圧、選手のメタ分析は追加訓練や競技水準による体力差を扱う。[4][8][10][19] それらを「痩せる運動」という大きな箱に一緒に入れると、どの効果が実際に確認されたのかが曖昧になる。自分の目的が体重なら体重のデータを、体力なら体力のデータを探す。この読み分けが、期待を現実に近づける。

よくある誤解
「選手が細いのだから、始めれば同じように細くなる」という見方には飛躍がある。バドミントンの競技レビューは選手の身体的特徴を記述し、テニスの健康レビューは低い体脂肪率との関係を示している。しかし、それだけでは開始前後の減量幅は分からない。[3][5] 競技で活躍している人の現在の姿と、初心者がこれから経験する変化を分けたい。
「体重が動かなければ、この運動は効いていない」という判断も狭すぎる。運動習慣のない女性のバドミントン研究では、最大酸素摂取量、限界まで運動できる時間、最大パワー出力などの改善が報告された。[10] 体力づくりを目的に含めるなら、その成果を体重の未達で消してしまうのは惜しい。逆に、体力が伸びたから体脂肪も減ったはずだと、測っていない成果まで追加することも避けたい。
「打ち合いの合間に休むから、運動量が足りない」という決めつけも、間欠的な競技の性質を取りこぼす。バドミントンは短い強い動作と休止から成り、有酸素系と無酸素系の両方を使う。[3] ただし、短い休止があるという共通点だけで、特定のトレーニング法と同じ効果まで保証されるわけではない。競技の名前より、その場でどんな運動をしているかを確かめるほうが実用的だ。
研究の数字を読む際には、改善した項目の隣に、変わったと確認できない項目も置いておきたい。追加の跳躍トレーニングで筋パワーが改善しても、柔軟性には明確な証拠がなかった。[8] ひとつの利点から全身の万能さを想像しない読み方は、運動への期待を小さくするためでなく、何を続ける理由にできるかをはっきりさせるためにある。
今日からできること
次の回数や時間は、自分で始め方を決めるための例である。教室で相談し、経験やその日の体調に合わせて動く量を調整したい。
- 初めて参加する人は、今週中に初心者向けのテニスかバドミントンの教室を1回体験し、指導者と基本の打ち方を練習する。
- 打ち合いを始める人は、次の参加日に相手と5分間の短いラリー練習を試し、途中で休みを取りながら打つ動作に慣れる。
- 続けてみたい人は、まず2週間、週1回を目安に教室や仲間との打ち合いに参加し、無理なく通えるペースを探す。
- 仲間と始めたい人は、今週中に1人を誘い、次に一緒にラケットを握る日を決める。
- 参加後は毎回、楽しかった動作と難しかった動作を1つずつ書き、次の練習で取り組む内容を決める。

コートの外にも、通える運動の選択肢を
コートでの打ち合いと別の運動を続けたい人にとって、オンザショア立川店の常温ヨガやピラティスは、通える種目を増やす選択肢になる。営業時間は曜日によらず8:00〜23:30、休業日を設けず年中無休で営業している。ラケット競技に参加する日と、別の種目を行う日を分けて考えられる。
店があるのは東京都立川市曙町2-14-10のエトロワビル3Fで、JR立川駅北口から徒歩1分の距離だ。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガやパーソナルトレーニングもあり、ヨガのレッスンだけで25種類以上を用意している。
体験で受けるヨガは60分、料金は税込1,980円となる。持参品を考える際は、ヨガマットに加えてバスタオル2枚とフェイスタオル1枚のレンタルが体験料金に入っていることも手がかりになる。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。
店舗トップで種目を見て、料金ページと体験予約で参加の準備を進められる。ラケットを握る日とともに、別の運動に通う日も手帳に書き込もう。
参考文献
- The science of badminton: game characteristics, anthropometry, physiology, visual fitness and biomechanics. — Phomsoupha et al., 2015, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-014-0287-2
- Recreational beach tennis reduces 24-h blood pressure in adults with hypertension: a randomized crossover trial. — Carpes et al., 2021, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-021-04617-4
- Health benefits of tennis. — Pluim et al., 2007, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsm.2006.034967
- Effects of plyometric training on measures of physical fitness in racket sport athletes: a systematic review and meta-analysis. — Deng et al., 2023, PeerJ. DOI: 10.7717/peerj.16638
- The impact of badminton on health markers in untrained females. — Patterson et al., 2017, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2016.1210819
- Effect of calcium intake, tennis playing, and body composition on bone-mineral density of Brazilian male adolescents. — Juzwiak et al., 2008, International journal of sport nutrition and exercise metabolism. DOI: 10.1123/ijsnem.18.5.524
- Physical fitness and stroke performance in healthy tennis players with different competition levels: A systematic review and meta-analysis. — Lambrich et al., 2022, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0269516
冒頭の写真: テニス、ネットボール、バスケットボール用に整備されたコートの様子(写真: RegionalQueenslander / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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