
体重以外の健康にも、同じ答えは当てはまらない
家事を評価する物差しは体重だけに限られない。しかし、別の健康指標でよい関連があったから、減量にも効くと読み替えることはできない。たとえばシンガポールの縦断研究は、55歳以上の地域住民の家事と、フレイルや死亡との関連を追ったものだ。[2] フレイルは体の機能や健康の弱まりを捉える概念で、この研究ではフレイル指数を用いて評価した。[2]
登録時と3〜5年後の両方で家事の状況を確認すると、65歳以上では、軽い家事を一貫して多くしていた群の、後のフレイル前段階・フレイルに該当するオッズ比は0.61だった。重い家事では0.56で、95%信頼区間はそれぞれ0.40〜0.94、0.34〜0.90だった。[2] 高齢期の生活機能という観点では、家のなかで役割を持って動くことを無視できない結果だ。
さらに、シンガポールの研究では、登録時だけ家事が多かった人と、後の調査でも多かった人を区別している。[2] ある日に大掃除をしたという話より、生活のなかで家事への参加が続いているかを見ようとする設計だ。対象者を時間を追って調べる強みはここにある。一方で、家事を続けられる健康状態や生活条件の影響を完全に切り離せるとは限らず、続けたことの効果そのものとして受け取るのは慎重にしたい。[2]
この研究で「軽い家事が多い」を分ける境界には、週420分以上という値が使われた。これは集団内の中央値を使った分析上の区分である。[2] その数字を、そのまま全員が目指す家事のノルマにしてはいけない。分け方のための数字と、介入試験で確かめられた目標量は、役割が異なる。
死亡との関連を見ても、軽い家事を一貫して多く行うことは、女性では全死亡のリスクが41%低いことと関連したが、男性では同様の関連は認められなかった。[2] これを「家事は女性にだけ有効」と受け止めるのは早い。家事の種類も、健康のどの側面を見たかも、研究ごとに違うからだ。
英国の成人7,456人を平均9.6年追った別のコホート研究では、家事に死亡が少ないという関連は示されなかった。十分に要因を調整した分析で関連が残ったのは、スポーツと日曜大工だった。[16] 家事を含めれば、すべての活動が同じように長寿へつながるという見通しは立たない。
高齢者で家事と良好な機能との関連が見えることと、働く世代の減量目標に掃除を追加することの間には距離がある。[2][4][7] 親が家の仕事を続けられていることを大切にする場面と、自分の体脂肪を減らしたい場面では、使う物差しを選び直したい。研究に体重の結果がなければ、生活機能の改善を減量の代わりとして説明しない。それぞれに価値があるからこそ、区別する意味がある。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
疲れた家事を、さらに増やす前に
家事には、体の動きとともに責任が付いてくる。床を拭く動きだけを取り出した実験では分からない、終わらせる仕事の重さがある。退職した中国の高齢者25,501人の調査は、育児、介護、買い物・調理、洗濯・掃除と健康との関係を分けて検討した。[10]
この横断的な分析では、健康の指標として本人が申告した直近2週間の不調を使った。多くの家事の種類で有意な関連は認められず、女性の洗濯・掃除では、不調に該当するオッズが高かった。オッズ比は1.17、95%信頼区間は1.06〜1.29である。[10] 著者らは、家事を身体活動だけでなく心理的・社会的な側面から捉えることを提案している。[10]
この結果から、掃除が不調の原因だと決めることはできない。それでも、家事を一律に「健康によい運動」と呼ぶと、実際の生活の一部を落としてしまうことは分かる。[10] 日常の家事を終えた人に、消費量を増やすためもう少し掃除を勧める。その提案が役立つかは、本人にまだ余裕があるか、どの作業を担っているかを聞いてから考えたい。
家事と意図的に行う運動の違いを示す、小規模な比較試験もある。健康な65〜79歳の女性10人が、就寝3時間前に30分間、軽い有酸素運動、同じ強度の家事、座ったままの条件を、順序を入れ替えて経験した。[3] 有酸素運動とは、この試験では一定の歩調で行う運動である。[3]
家事のあとも運動のあとも深部体温は上がったが、主観的な睡眠の評価は有酸素運動のあとが高かった。評価点は、座った条件91.0点、家事88.1点、有酸素運動108.6点だった。[3] 体を温める変化が近くても、そのあとの睡眠の感じ方までそろうとは限らない。この試験は減量の研究ではなく、対象も少ないため、家事をすると眠れなくなるという一般論には広げられない。[3]
家事の疲れと運動の充実感を、同じものにしなくてよい。運動のために家事を増やす発想だけでなく、家事を分担して自分で選べる活動を残す発想もある。これは家事分担による減量効果を約束する提案ではなく、家事には心理的・社会的側面もあるという研究を、暮らしの設計に反映する考え方だ。[10] 動いた体を認めることと、さらに仕事を足すことは別々に選べる。

よくある誤解
「家事をしても運動としてはゼロ」という見方は、実測結果と合わない。家事中のエネルギー消費は測定されており、作業や人によっては中程度の強さにも達する。[9][13] ジャージに着替えたかどうかで、体の活動が始まったり消えたりするわけではない。家事をしていた日を、まったく体を動かさなかった日として扱うのは粗い評価になる。
「長時間の家事をすれば、それだけ痩せる」という見方も行き過ぎである。消費量を測る実験は長期の減量を確かめておらず、肥満との関連は国や対象によって逆方向にも報告されている。[4][7][9][13] 家事を多く担っている人の体重が思うように変わらなくても、動きがすべて無意味だったとも、本人の努力が足りなかったとも判定できない。
「家事と運動は、同じ強さなら健康への働きも同じ」という考えにも留保が付く。高齢女性の小さな比較試験では、同じ強度の家事と有酸素運動で、その後の睡眠の主観評価が異なった。[3] 死亡との関連を追う研究でも、家事とスポーツの結果は一致していない。[16] 動きの強さに加え、活動の種類と、何を結果として測るかを確認しておきたい。
家庭で役立つのは、家事を運動と認めるかどうかの二択から離れることだ。すでにある活動を認めたうえで、好きな運動をしたいのか、疲れを減らしたいのか、体重を変えたいのかを分けて考える。研究が示す家事の多面性は、生活のすべてを減量という目的だけで採点しないためにも役立つ。[2][3][4][7][10]
今日からできること
- 今日から3日間、家事のあとに作業名と実際に動いた時間を記録する。待ち時間は別に書く。[9][13]
- 今週は2回、床の掃き掃除を自分のペースで5分ずつ行う。すでに掃除を担っている人は、普段の作業の一部をその5分に充てる。[13]
- 家族と暮らしている人は、今週の洗濯・掃除を週2回分、家族と交代して行う。[10]
- 今週は家事を終えたあとに、室内で自分のペースで歩く時間を1回5分、2日設ける。[3]
- 週末に10分、自分で楽しむ運動のために翌週の家事の分担を話し合う。[10]

家の仕事から離れて、自分で動きを選ぶ
家事を終えたあとに自分で楽しむ活動を持ちたい人にとって、オンザショア立川店の朝8:00から夜23:30まで、年中無休の営業は、通い方を考える手がかりになる。JR立川駅北口から徒歩1分で、住所は東京都立川市曙町2-14-10のエトロワビル3Fだ。
家事とは別に取り組む活動を考えるなら、まず種目の違いから見ていこう。用意されているのは、溶岩プレートのあるスタジオで行うホットヨガに、常温ヨガやピラティスなど。ヨガのレッスンだけで25種類以上あるので、家の仕事とは違う動きに取り組む入口として、内容を見ておきたい。ヨガを体験する場合は60分で税込1,980円を支払い、ヨガマットとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚をレンタルできる。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。スタジオの案内で内容を読み、料金の詳細と体験予約のページへ進める。今週の家事を分担し、自分で楽しむ動きのために家を出る日を決めよう。
参考文献
- Longitudinal associations of housework with frailty and mortality in older adults: Singapore Longitudinal Ageing Study 2. — Lee et al., 2022, BMC geriatrics. DOI: 10.1186/s12877-022-03591-6
- Distinct effects of low-intensity physical activity in the evening on sleep quality in older women: A comparison of exercise and housework. — Seol et al., 2021, Experimental gerontology. DOI: 10.1016/j.exger.2020.111165
- Relationship of obesity to physical activity, domestic activities, and sedentary behaviours: cross-sectional findings from a national cohort of over 70,000 Thai adults. — Banks et al., 2011, BMC public health. DOI: 10.1186/1471-2458-11-762
- Gender differences in the relationships between housework and metabolic markers: a longitudinal cohort study in China. — Wang et al., 2022, BMC public health. DOI: 10.1186/s12889-022-12566-6
- Gross and relative energy cost of domestic household activities in Asian men. — Goh et al., 2016, European journal of clinical nutrition. DOI: 10.1038/ejcn.2016.134
- The effects of housework on the health of retired older adults: a preliminary investigation from the Tongji-Dongfeng cohort study, China. — Wen et al., 2013, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0057232
- Measurement and prediction of METs during household activities in 35- to 45-year-old females. — Brooks et al., 2004, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-003-1018-9
- Effect of intensity and type of physical activity on mortality: results from the Whitehall II cohort study. — Sabia et al., 2012, American journal of public health. DOI: 10.2105/AJPH.2011.300257
冒頭の写真: 玄関の外に置かれた透明な袋入りの洗濯物と、その上に添えられた手書きのメモ(写真: Yitz / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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